33 / 41
32
しおりを挟む
アルフォンス王は、グラスを片手に、傍らの女性になまめかしい言葉をかけると、少し赤くなった女性の頬に軽くキスをして「あとで…」とひとこと言って、その場を離れ、ようやく晩餐会に現れたプリシラへと足を向けた。
(バクルー王とプリシラを引き離したくて、ちょっとばかりバクルー王に宿題を出してやった。
バクルー国と、いささか因縁があるノーフォーク国に、もちろんノーフォーク国内のちっぽけな町にだが、昨夜、バクルー国の兵の格好をさせた我が兵を80人ほど、適当に遊んで来いと言って…送り出したが、お行儀よく…遊んだようだ。今頃ノーフォーク国から、バクルー王にいろいろ言ってきて、大変だろうなぁ。ノーフォークには、若いが なかなかのやり手の公爵がいる。この公爵とどう渡り合うのか…まぁ上手くまとめるだろうが、すぐには…無理だろう。
おそらくこの晩餐会には、間に合わない。
さて、ゆっくりプリシラを観賞させてもらおうか…。
プリシラは…すぐにわかった。
黒い髪は珍しいからなぁ…青いドレスか…あの色ボケの父王の瞳の色か…気分の悪い色を着てきたものだ。まったくどこまで、私をイラつかせる。
だが、近くに寄ってもっと見たい、どれほどナタリーに似ているのか…
どれほどあの色ボケの父王に似ているのか…見てみたい…
ほお~プリシラの斜め後ろにいる男…あの目つき、体の動き…あれがルイスと呼ばれる元サザーランドの男のようだなぁ…どうやら、ポリエッティの画策は大失敗か。バクルー王を暗殺できるとは思ってはいなかったが、主に矢を射った男は、反逆罪として捕らえられ、この場には現れないと踏んでいたのだが…まさか、そんな男をまた自分の懐に入れて…プリシラにつけてくるとはなぁ。
お優しいことだ、バクルー王は…。
さてどうしようか…どうやって近づこうか…
下手に近づくのは…危険だなぁ。さすがに、もと密偵と遣り合うのは避けたいものだ。
プリシラ?…えっ?何を見ているんだ?…あれは…確か、カーヴェ子爵とその娘だ。プリシアは何をそんなに…見ている?いったいなにが…)
アルフォンス王が不思議そうに、もう一度、プリシアに視線を移した。
その時だった、ルイスの側に従者が近寄り、なにやら伝言を渡したようだった。ルイスは…プリシラを見たが、従者になにかいうと、プリシラの側から離れて行くのが見え、思わずアルフォンス王の口元に笑みが零れ(運はどうやらこちらにあるようだ)と小さく笑うと、プリシラへとまた一歩足を進め、あと数歩と言うところだった。プリシラが突然、庭へと歩き出した。
(気づかれたのか?いや…気づいたのなら、人けのない庭などに、わざわざ出ないだろう。何を、まさかあの女、私を嵌めるつもりなのか?)
月明かりの中…
恐る恐る近づくアルフォンスの眼の前で…プリシアはステップを踏み出した。
軽やかに踊っていたが、その姿は寂しそうだった…。誰にも気づかれないように、庭に出たのだろうが…眼を瞑り踊る姿は、誰かに気づいてと言っているようで、伸ばした手の先に誰かを求めているように見え…アルフォンス王は、思わずその手を取った。
黒い瞳が大きく見開き…アルフォンス王を見た。
ナタリーの瞳だった…。
時が止まったかのように、ふたりはお互いを見ていたが、アルフォンス王の顔が歪み、プリシラの白く、細い手を力いっぱい握り締めた。
(あの女と同じ黒い瞳…。最後まで私に縋らなかった黒い瞳…。黒い…瞳か、じゃぁ…なぶり殺しだ…)
口元に笑みが浮かぶのがわかったが確認するように、アルフォンスは言った。
「プリシア。君は…黒い瞳なんだ。」…と
プリシラは握られた手を必死に振りほどこうとしたが、暴れれば暴れるほど、プリシラの白い手は色を失うほど、アルフォンス王により強く握ぎられた。
黒い瞳を揺らし、歪めたその顔に、気分を良くしたアルフォンス王は弾んだ声で
「誰も、来ないよ。プリシラ。」
「ぁ、あなたは誰なの?…」
「おまえの…」と言って、一瞬顔を歪ませたが…薄ら笑いを浮かべ
「おまえの兄だ。」
「あ、兄?!って、まさか…サザーランド国の…」
「…知っているのか?…自分の出生を…?」
そう言って、アルフォンス王は、その白い手を自分の口元に持って行き、その指を軽く噛んだ。
「・・!」
うっすらと滲んだ血を舐めながら…
「父親が同じだと…血の味はどうなんだろうと思っていたが…別に変わらんなぁ。」
そう言って、ペッと唾と一緒に吐くと口を拭いながら
「錆び臭いだけか…」と呟くと、プリシラを見た。
灰青の瞳が、じっとプリシラを見つめていたが…あの灰青の瞳が見ているのは…プリシラと同じ色の瞳を持つ、母ナタリーを捜しているんだとプリシラは思うと…悲しかった。
真剣な顔で、ステップを踏む少女に、微笑みながら、そして守るようにリードする父親…あんなふうに、娘を愛おしむ父親もいれば…娘とは知らずに憎む父親もいる。
悲しくて、つらくて…思いが言葉となって……出た。
「…あなたは…哀れな人だわ。」
「…それは…どういう意味だ…」
灰青の瞳が、怒りで青く変わっていき、プリシラの手を握るアルフォンスの手に、力が入り、よりきつくプリシアの手は、握り締められた。
「あなたは…本当に、母が愛した人なの?こんな人を母は思いつづけ、こんな人のために…」
「フッ…哀れか…そうかもなぁ。性悪女に騙され、心のない獣になった私は…もう…二度と人には戻れなくなってしまった哀れな男だ。」
プリシラは激しく頭を横に振り
「…違うわ!母の愛を疑い、母の愛に気が付かなかったことを哀れんでいるのよ。」
そう言って…プリシラはアルフォンス王を見た。
(私も母を見ていなかったのかもしれない。母が私を捨てて、男の人へと走るような人だと、信じてしまったのだから…同じだ。)
その瞬間、プリシラの胸に…小さな痛みが走った
(馬鹿みたい…同じように母の愛を疑う事で…父と感じるだなんて…本当に馬鹿みたい。)
プリシラの心のうちなど、わからないアルフォンス王はゆっくりと口元を緩めると
「ほぉ~まさかそんなことをおまえから言われるとはなぁ。母親…いや父親に似ているのか、その物言いは…イラつく女だ。」
そう言って笑うと、プリシアの首に手をかけ…
「大丈夫…女の細い首なら…一瞬だ。」
(愛した人を…そして愛した証の娘を…同じように手にかけようとするこの人は、やっぱり…哀れだ。)
プリシラは涙を零し…
(私も…踊りたかった、あの少女のように…)と目を瞑った瞼の裏に
淡い色のピンクのドレスを着た少女が、父親に頭を撫でられ、満面の笑みを浮かべながら、父親にぶら下がる様に踊る姿が浮かんだ。あんなに愛し、愛される父と娘の姿が…
羨ましかった。そう感じたとき…
瞼の裏に映っていた親子は…真剣な顔でステップを踏む幼い自分へと変わって行き、そんな私に微笑みながら、そして守るようにリードする父親の顔は……父親の顔は…
(あぁ…見えない。)
そう思った瞬間…目の前が、幕が下りたように…暗くなった。
(バクルー王とプリシラを引き離したくて、ちょっとばかりバクルー王に宿題を出してやった。
バクルー国と、いささか因縁があるノーフォーク国に、もちろんノーフォーク国内のちっぽけな町にだが、昨夜、バクルー国の兵の格好をさせた我が兵を80人ほど、適当に遊んで来いと言って…送り出したが、お行儀よく…遊んだようだ。今頃ノーフォーク国から、バクルー王にいろいろ言ってきて、大変だろうなぁ。ノーフォークには、若いが なかなかのやり手の公爵がいる。この公爵とどう渡り合うのか…まぁ上手くまとめるだろうが、すぐには…無理だろう。
おそらくこの晩餐会には、間に合わない。
さて、ゆっくりプリシラを観賞させてもらおうか…。
プリシラは…すぐにわかった。
黒い髪は珍しいからなぁ…青いドレスか…あの色ボケの父王の瞳の色か…気分の悪い色を着てきたものだ。まったくどこまで、私をイラつかせる。
だが、近くに寄ってもっと見たい、どれほどナタリーに似ているのか…
どれほどあの色ボケの父王に似ているのか…見てみたい…
ほお~プリシラの斜め後ろにいる男…あの目つき、体の動き…あれがルイスと呼ばれる元サザーランドの男のようだなぁ…どうやら、ポリエッティの画策は大失敗か。バクルー王を暗殺できるとは思ってはいなかったが、主に矢を射った男は、反逆罪として捕らえられ、この場には現れないと踏んでいたのだが…まさか、そんな男をまた自分の懐に入れて…プリシラにつけてくるとはなぁ。
お優しいことだ、バクルー王は…。
さてどうしようか…どうやって近づこうか…
下手に近づくのは…危険だなぁ。さすがに、もと密偵と遣り合うのは避けたいものだ。
プリシラ?…えっ?何を見ているんだ?…あれは…確か、カーヴェ子爵とその娘だ。プリシアは何をそんなに…見ている?いったいなにが…)
アルフォンス王が不思議そうに、もう一度、プリシアに視線を移した。
その時だった、ルイスの側に従者が近寄り、なにやら伝言を渡したようだった。ルイスは…プリシラを見たが、従者になにかいうと、プリシラの側から離れて行くのが見え、思わずアルフォンス王の口元に笑みが零れ(運はどうやらこちらにあるようだ)と小さく笑うと、プリシラへとまた一歩足を進め、あと数歩と言うところだった。プリシラが突然、庭へと歩き出した。
(気づかれたのか?いや…気づいたのなら、人けのない庭などに、わざわざ出ないだろう。何を、まさかあの女、私を嵌めるつもりなのか?)
月明かりの中…
恐る恐る近づくアルフォンスの眼の前で…プリシアはステップを踏み出した。
軽やかに踊っていたが、その姿は寂しそうだった…。誰にも気づかれないように、庭に出たのだろうが…眼を瞑り踊る姿は、誰かに気づいてと言っているようで、伸ばした手の先に誰かを求めているように見え…アルフォンス王は、思わずその手を取った。
黒い瞳が大きく見開き…アルフォンス王を見た。
ナタリーの瞳だった…。
時が止まったかのように、ふたりはお互いを見ていたが、アルフォンス王の顔が歪み、プリシラの白く、細い手を力いっぱい握り締めた。
(あの女と同じ黒い瞳…。最後まで私に縋らなかった黒い瞳…。黒い…瞳か、じゃぁ…なぶり殺しだ…)
口元に笑みが浮かぶのがわかったが確認するように、アルフォンスは言った。
「プリシア。君は…黒い瞳なんだ。」…と
プリシラは握られた手を必死に振りほどこうとしたが、暴れれば暴れるほど、プリシラの白い手は色を失うほど、アルフォンス王により強く握ぎられた。
黒い瞳を揺らし、歪めたその顔に、気分を良くしたアルフォンス王は弾んだ声で
「誰も、来ないよ。プリシラ。」
「ぁ、あなたは誰なの?…」
「おまえの…」と言って、一瞬顔を歪ませたが…薄ら笑いを浮かべ
「おまえの兄だ。」
「あ、兄?!って、まさか…サザーランド国の…」
「…知っているのか?…自分の出生を…?」
そう言って、アルフォンス王は、その白い手を自分の口元に持って行き、その指を軽く噛んだ。
「・・!」
うっすらと滲んだ血を舐めながら…
「父親が同じだと…血の味はどうなんだろうと思っていたが…別に変わらんなぁ。」
そう言って、ペッと唾と一緒に吐くと口を拭いながら
「錆び臭いだけか…」と呟くと、プリシラを見た。
灰青の瞳が、じっとプリシラを見つめていたが…あの灰青の瞳が見ているのは…プリシラと同じ色の瞳を持つ、母ナタリーを捜しているんだとプリシラは思うと…悲しかった。
真剣な顔で、ステップを踏む少女に、微笑みながら、そして守るようにリードする父親…あんなふうに、娘を愛おしむ父親もいれば…娘とは知らずに憎む父親もいる。
悲しくて、つらくて…思いが言葉となって……出た。
「…あなたは…哀れな人だわ。」
「…それは…どういう意味だ…」
灰青の瞳が、怒りで青く変わっていき、プリシラの手を握るアルフォンスの手に、力が入り、よりきつくプリシアの手は、握り締められた。
「あなたは…本当に、母が愛した人なの?こんな人を母は思いつづけ、こんな人のために…」
「フッ…哀れか…そうかもなぁ。性悪女に騙され、心のない獣になった私は…もう…二度と人には戻れなくなってしまった哀れな男だ。」
プリシラは激しく頭を横に振り
「…違うわ!母の愛を疑い、母の愛に気が付かなかったことを哀れんでいるのよ。」
そう言って…プリシラはアルフォンス王を見た。
(私も母を見ていなかったのかもしれない。母が私を捨てて、男の人へと走るような人だと、信じてしまったのだから…同じだ。)
その瞬間、プリシラの胸に…小さな痛みが走った
(馬鹿みたい…同じように母の愛を疑う事で…父と感じるだなんて…本当に馬鹿みたい。)
プリシラの心のうちなど、わからないアルフォンス王はゆっくりと口元を緩めると
「ほぉ~まさかそんなことをおまえから言われるとはなぁ。母親…いや父親に似ているのか、その物言いは…イラつく女だ。」
そう言って笑うと、プリシアの首に手をかけ…
「大丈夫…女の細い首なら…一瞬だ。」
(愛した人を…そして愛した証の娘を…同じように手にかけようとするこの人は、やっぱり…哀れだ。)
プリシラは涙を零し…
(私も…踊りたかった、あの少女のように…)と目を瞑った瞼の裏に
淡い色のピンクのドレスを着た少女が、父親に頭を撫でられ、満面の笑みを浮かべながら、父親にぶら下がる様に踊る姿が浮かんだ。あんなに愛し、愛される父と娘の姿が…
羨ましかった。そう感じたとき…
瞼の裏に映っていた親子は…真剣な顔でステップを踏む幼い自分へと変わって行き、そんな私に微笑みながら、そして守るようにリードする父親の顔は……父親の顔は…
(あぁ…見えない。)
そう思った瞬間…目の前が、幕が下りたように…暗くなった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる