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【閑話 2】
女性弁護士 Rさんは思った。
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どうやら…話はついたようだな。
うまくいくか、どうかまでは、責任は負えないが…まぁいい感じみたいじゃないか。
まぁ…あとはがんばれ、ぼんぼん。
これで、ぼんぼんの長年の悩みが、ちょっとは軽くなったろうから。成功報酬&弁護料の代わりに、働けと言ってこき使おう。うんうん、いい駒を手に入れたぜ。
さぁて…そうのんびりもできないな。
樹を剣も盾も不十分のままで、九尾の狐に対峙させたから…そろそろ撤退だな。
だが少しは、ばあさんも動揺したろう。今まで、面と向かって宣戦布告した奴はいなかっただろうしなぁ。それも…いちばん恐れていた樹が、堂々と反旗を翻したんだから、そりゃ…ドッキドキだろう。
では…樹と一緒にばあさんを脅しに行くか。
あっ!その前に、あたしもエネルギーを充電すっか!
このスマホの向こうにいるあいつから、元気と勇気を貰わないとな。
・
・
「大吾。」
『理香ちゃん?!なにかあった?葉月ちゃんがまだ帰って来ないの?』
ごめんな…葉月の事を内緒にして。
「あぁ…悪い、あたしがちょっと用事を頼んだんだ。」
『そう、それならいいの。葉月ちゃん、久住さんのことで泣いていたから…心配だったの。』
相変わらず…おまえは優しいよな。
「大丈夫だ。樹が…いろいろ乗り越えて、葉月の元へ行ってくれると思う。まぁ…そのいろいろが…超大変なんだけどな。」
『理香ちゃん…』
「なんだ?!」
『なにか…あった?』
「えっ?」
『なんとなくなんだけど…ちょっと…』
そう、大吾だけだ。あたしの中の微妙な心の動きを読めるのは…
こいつと…いつまで一緒にいられるかなぁ。
一緒にいたいなぁ、友達という立場でも…この際我慢するから
クスッ…
なんでこんな事思うんだろう…あたしらしくないよな…笑える。
いつもぶち当たって行くあたしなのに。
「なぁ…大吾。」
久住のばあさん相手に、あたしごときが持てる剣はない。捨て身しかない。
弁護士はやめるしかないな。いや…その前にクビかな。あの所長、結構ビビリだからなぁ。
『…やっぱりなにか…』
「なんにもねぇーよ。お前は、昔から心配性だよな。」
『嘘…!理香ちゃん、なんか変だもの。』
「ひでぇーな。この理香さんにそんな事を言えるのは、お前だけだぞ。他の奴らが言ったら…タダではすまねぇところだぞ。」
『…特別ってこと?』
「あぁ…大吾はあたしの特別。」
惚れてる男だ。
『じゃぁ聞かせて、いったいどうしたの?特別なら…あたしに聞かせて。理香ちゃんはあたしにとっても特別なのよ。だから、お願い。』
そんな事…言うなよ。
今日のあたしは、気弱なんだよ。信じられないだろうけど、気弱なんだから、特別なんて言われたら…頼りたくなるじゃんか…。
『理香ちゃん言って』
・
・
・
「弁護士…さ、結構…好きな仕事なんだ。」
あっ…つい、ポロッと心の声がでちゃったよ。
今からあのばあさんに脅迫じみた事を言おうと考えている。
でも、そんなあたしに、あのばあさんは黙ってはいないだろう。いろいろな圧力をかけてくるだろう。
そして、それは…どこまで及ぶかわからない…。
だがあのばあさんなら、どうすれば人をどん底に落とせるか、やり方を知っている。
どん底に落としたい人物の周りの大事な人達を、まず先に落として行くってことだ。
法曹界から身を引くことだけで、両親や大吾の壁になれるかはわからないけど…直撃は免れるかもしれないから…辞めようと思っている。
大吾…
でも…ちょっぴり寂しいんだ。この仕事…好きだったから
『どういう意味?』
あたしの好きなものは、仕事とおまえだ。そのひとつを失うと思うと…なんだか寂しくて、心細くて…なぁ…大吾。
・
・
「なぁ大吾…仕事をあたしが辞めることになったら……おまえの嫁にしてくれないか?」
『理香ちゃん?!!』
「料理、洗濯、掃除、ぜんぜんダメだけど…、性格もちょぃ問題ありだけど……なんかますます落ち込むよな。はぁ~何言ってんだろう。悪い…今、不安定な状態らしい。」
『…料理、洗濯、掃除…あたしは得意よ。そのちょぃ問題ありの性格も…あたしは素敵だと思うわ。』
大吾?
『だから…理香ちゃんが大好きな仕事を、もう満足って思って辞めるんだったら…いいわよ。』
「行く!惚れてる男が自分のところに、嫁に来いって言ってんだから、行くにきまってる。」
『り、理香ちゃん?!』
「なんだよ。返品不可だぞ!」
『だ、だって…ほ、惚れてるって、理香ちゃんが…』
「あたしは、昔から大吾に惚れてたよ。おまえは…そういう意味で言ったんじゃないのか?おまえは…あたしと同じじゃないのか?違うのか?」
『そ、そう言う意味!!同じ!!同じよ!』
「じゃぁ、おまえはあたしに惚れてんだな。」
『うん。』
「なんだよ…大吾もあたしに惚れているんだったら…もっと早く言ってれば良かった。
なぁ…大吾、仕事を片付けたらすぐ戻る。だから、帰ったらキスしような!」
『り、り、り…りかちゃん~!!』
「よっしゃ…元気と勇気と…愛をもらいました!これでHPは満タン、やれそうだぜ。」
『…うん。』
「じゃぁ、ちょっくら行ってくる。妖怪退治に」
『理香ちゃん…』
「帰ったら、キスな。」
『り、理香ちゃん!!』
さて、行きますか。早く終わらせないと、大吾が待っているからな。
うまくいくか、どうかまでは、責任は負えないが…まぁいい感じみたいじゃないか。
まぁ…あとはがんばれ、ぼんぼん。
これで、ぼんぼんの長年の悩みが、ちょっとは軽くなったろうから。成功報酬&弁護料の代わりに、働けと言ってこき使おう。うんうん、いい駒を手に入れたぜ。
さぁて…そうのんびりもできないな。
樹を剣も盾も不十分のままで、九尾の狐に対峙させたから…そろそろ撤退だな。
だが少しは、ばあさんも動揺したろう。今まで、面と向かって宣戦布告した奴はいなかっただろうしなぁ。それも…いちばん恐れていた樹が、堂々と反旗を翻したんだから、そりゃ…ドッキドキだろう。
では…樹と一緒にばあさんを脅しに行くか。
あっ!その前に、あたしもエネルギーを充電すっか!
このスマホの向こうにいるあいつから、元気と勇気を貰わないとな。
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「大吾。」
『理香ちゃん?!なにかあった?葉月ちゃんがまだ帰って来ないの?』
ごめんな…葉月の事を内緒にして。
「あぁ…悪い、あたしがちょっと用事を頼んだんだ。」
『そう、それならいいの。葉月ちゃん、久住さんのことで泣いていたから…心配だったの。』
相変わらず…おまえは優しいよな。
「大丈夫だ。樹が…いろいろ乗り越えて、葉月の元へ行ってくれると思う。まぁ…そのいろいろが…超大変なんだけどな。」
『理香ちゃん…』
「なんだ?!」
『なにか…あった?』
「えっ?」
『なんとなくなんだけど…ちょっと…』
そう、大吾だけだ。あたしの中の微妙な心の動きを読めるのは…
こいつと…いつまで一緒にいられるかなぁ。
一緒にいたいなぁ、友達という立場でも…この際我慢するから
クスッ…
なんでこんな事思うんだろう…あたしらしくないよな…笑える。
いつもぶち当たって行くあたしなのに。
「なぁ…大吾。」
久住のばあさん相手に、あたしごときが持てる剣はない。捨て身しかない。
弁護士はやめるしかないな。いや…その前にクビかな。あの所長、結構ビビリだからなぁ。
『…やっぱりなにか…』
「なんにもねぇーよ。お前は、昔から心配性だよな。」
『嘘…!理香ちゃん、なんか変だもの。』
「ひでぇーな。この理香さんにそんな事を言えるのは、お前だけだぞ。他の奴らが言ったら…タダではすまねぇところだぞ。」
『…特別ってこと?』
「あぁ…大吾はあたしの特別。」
惚れてる男だ。
『じゃぁ聞かせて、いったいどうしたの?特別なら…あたしに聞かせて。理香ちゃんはあたしにとっても特別なのよ。だから、お願い。』
そんな事…言うなよ。
今日のあたしは、気弱なんだよ。信じられないだろうけど、気弱なんだから、特別なんて言われたら…頼りたくなるじゃんか…。
『理香ちゃん言って』
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「弁護士…さ、結構…好きな仕事なんだ。」
あっ…つい、ポロッと心の声がでちゃったよ。
今からあのばあさんに脅迫じみた事を言おうと考えている。
でも、そんなあたしに、あのばあさんは黙ってはいないだろう。いろいろな圧力をかけてくるだろう。
そして、それは…どこまで及ぶかわからない…。
だがあのばあさんなら、どうすれば人をどん底に落とせるか、やり方を知っている。
どん底に落としたい人物の周りの大事な人達を、まず先に落として行くってことだ。
法曹界から身を引くことだけで、両親や大吾の壁になれるかはわからないけど…直撃は免れるかもしれないから…辞めようと思っている。
大吾…
でも…ちょっぴり寂しいんだ。この仕事…好きだったから
『どういう意味?』
あたしの好きなものは、仕事とおまえだ。そのひとつを失うと思うと…なんだか寂しくて、心細くて…なぁ…大吾。
・
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「なぁ大吾…仕事をあたしが辞めることになったら……おまえの嫁にしてくれないか?」
『理香ちゃん?!!』
「料理、洗濯、掃除、ぜんぜんダメだけど…、性格もちょぃ問題ありだけど……なんかますます落ち込むよな。はぁ~何言ってんだろう。悪い…今、不安定な状態らしい。」
『…料理、洗濯、掃除…あたしは得意よ。そのちょぃ問題ありの性格も…あたしは素敵だと思うわ。』
大吾?
『だから…理香ちゃんが大好きな仕事を、もう満足って思って辞めるんだったら…いいわよ。』
「行く!惚れてる男が自分のところに、嫁に来いって言ってんだから、行くにきまってる。」
『り、理香ちゃん?!』
「なんだよ。返品不可だぞ!」
『だ、だって…ほ、惚れてるって、理香ちゃんが…』
「あたしは、昔から大吾に惚れてたよ。おまえは…そういう意味で言ったんじゃないのか?おまえは…あたしと同じじゃないのか?違うのか?」
『そ、そう言う意味!!同じ!!同じよ!』
「じゃぁ、おまえはあたしに惚れてんだな。」
『うん。』
「なんだよ…大吾もあたしに惚れているんだったら…もっと早く言ってれば良かった。
なぁ…大吾、仕事を片付けたらすぐ戻る。だから、帰ったらキスしような!」
『り、り、り…りかちゃん~!!』
「よっしゃ…元気と勇気と…愛をもらいました!これでHPは満タン、やれそうだぜ。」
『…うん。』
「じゃぁ、ちょっくら行ってくる。妖怪退治に」
『理香ちゃん…』
「帰ったら、キスな。」
『り、理香ちゃん!!』
さて、行きますか。早く終わらせないと、大吾が待っているからな。
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