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第1章

第5話 北東方面防衛戦

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王都「リルーダル」

「アバオロズ王 ポロスピレットから宣戦布告を受けました」と伝令兵が王の元まで報告しにやってきた。

「ポロスピレット?あぁあの借金だらけの没落領地か」とアバオロズ王はつぶやいた。

「ふん そんな辺境の地など1000人程度で十分だろ」と伝令兵にアバオロズは言った。

「ですが何も考え無しに宣戦布告するとは考えられません それに噂によると大規模な防衛線ができてると」と伝令兵は言った。

「兵士が30人程度しかいない領地が防衛を強めたところで勝てるわけない」
王は笑みを浮かべていた。

「まぁ新兵のいい訓練になるかもしれんなぁ 第十五軍団をパールに集結させ、攻撃をしろ」と伝令兵に伝えた。


ポロスピレット



工場で大量生産されたカノン砲や小銃が前線にどんどん運ばれ戦力の増強ができており、兵士はいつでも戦える状態になっていた。

おそらく王国軍は我々のことを舐めて、小規模な軍隊しか送ってこないだろう。この戦力であれば初戦は勝てるはずだ

そして開戦から1週間後、ついに王国軍が北東戦線に進軍を開始した。

「領主様、北東方面にて敵軍が現れました」とデルが私に言った。

「早速お出ましか」と私は言った。

「何人程度だ?」

「約1万の軍勢です しかし見かけからして新兵で構成された新規部隊と推測されます」

「よし 北東方面軍に伝達 カノン砲の射程圏内に入り次第、攻撃を開始せよ」と言った






「全く王国軍も酷いよなぁ こんな領地軍相手に1万人とはこんなん虐殺だぜ」

「しかも全然反撃してこないぞ ほらもうポロスピレットの街が見えてきたぞ こりゃ1時間で帰れるな」

「さっさと領地民から金巻き上げて帰ろうぜ」






「まもなく攻撃を開始する 総員攻撃準備」
ポロスピレット軍は前進する第十五軍団に狙いを定めていた。

「ラインを超えました いつでも攻撃可能です」

「わかった   全軍攻撃よーい 撃て!」

ポロスピレット軍は敵軍がラインを超えたところで一斉攻撃を開始した。

反撃してこないと思い、油断していた敵軍は突然の大攻撃に大混乱をおこした。

「大きな反撃はないんじゃなかったのか!」

「あ、あぁぁ!う、腕が!」

「どこに敵軍がいるんだ!」


「あそこだ、あそこに敵がいる!全軍死にたくなかったら突撃!進め!」と敵の軍団長は突撃命令を出した。

しかし基礎を終わらせたぐらいの兵士達なのだろう。

一人一人まとまって走っているため、カノン砲が近くに着弾すればまとめて殺すことができた。

こちらも兵士の練度が低かったため、カノン砲の大半は的外れな場所に着弾したが、数発はまとまっていた敵軍にヒットし1発で十数人を行動不能にすることができた。

大量の爆発により被害はあったものの未だに敵軍は勢いは収まっていなかった。

塹壕まで残り4kmに迫ったところで塹壕からのライフル銃の弾幕が張られた。

単発銃であったり、兵士には軽くの射撃訓練しかさせていないため、当たるのは少なかったが戦闘の中で精度が徐々に上がり、カノン砲・ライフル銃によって敵兵士は死に続けていた。

そして戦闘が開始されてから10分が経過したところで敵軍の動きが変わった。 

敵軍は塹壕の突撃からそこらの砲弾跡の穴に敵軍が集結し始めるようになった。

おそらく我々からの攻撃を食らわないようにするためだろう。

「どうする 塹壕まで残りだいたい2kmだが1km進むだけでかなりの兵士が死ぬ なぜあんな領地が大砲を沢山運用することが出来る 何をしたというのだ……」

周りを見渡すと腕がちぎれた人が悶えていたり、どこから飛んでくるか分からない攻撃に怯えていたりしてた もう軍隊の機能は停止した……

「ナータル軍長……既に軍の半分が死んでいます……皆いつ死ぬか分からない状態に怯えています」

どうすればいい 今この瞬間にも砲弾は雨のように降り続けている

油断をしすぎた  

奴らがこんな攻撃ができるなんて思っていなかった

何とか何とかパールに撤退することが出来れば、何とかなるはずだ……1人だけでも生きて帰れれば……

このまま攻撃しても死ぬだけだ 兵士を散開させ、1人でも多く撤退出来ればこのことを王国に伝えることが出来るはずだ……この攻撃の熾烈さを

「残っている兵士は散開しながらパールに向けて撤退せよ!」

王国軍は穴から飛び出し、持っている武器を捨て全力で撤退をした。

撤退する兵士を逃さんと攻撃が強まり、軍団に大損害を与えたところで戦闘が終わった。

王国軍は北東戦線の攻勢に失敗し、王国軍は約7000人が死亡

 ポロスピレット軍に全く攻撃をすることができず無傷であった。

初戦に大戦果を起こすことに成功した。

勝利に喜んでいたが1部の兵士達の顔は暗かった。

全力の攻撃を与えたのにも関わらず塹壕まで2km付近まで近ずかれてしまった。

1万人でこのぐらいなのだ。

このまま数が増えていけば防衛の手が足りず、

戦線が崩壊してしまうと考える兵士もいた。

さらにこの塹壕は大量の砲弾を撃ち込まれると恐らく壊れるだろうと懸念する者もいた。

各方面軍の軍将や軍務官を集めて作戦の見直しを行わなくては……



パール

「お、おい あれ第十五軍団じゃないのか」

パールにいた領民兵隊は壊滅的被害を負った第十五軍団を見て驚いた。

「なぜこんなボロボロなのだ 何があったのだ」と領民兵隊隊長が聞いてきた。

「奴らは領地を囲むように堀が掘られている その堀から攻撃を仕掛けてきたのだ 生き残りは1000人しかいない」
と震えながらも伝え続けた。

「彼らは大砲を駆使し、あの堀は我々の攻撃を防ぎ、大打撃を受けた 我々は必死に戦ったが何も出来なかった すまない」と私は謝罪した。

「第十五軍団が壊滅した今パールにいるのは2万人程度の領民で構成された民兵集団しかいない 早急に新たな軍隊を集めないと簡単に陥落してしまう」

「王国に援軍要請をしてみますがおそらく援軍到着まで2日はかかるでしょう」

「彼らがパールの防衛が薄いと気づかれればここに総攻撃を仕掛けてくるだろう」

「それまでに援軍が到着すれば良いが……」
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