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第1章楽しい人助け
2.早すぎる
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荷車には何もない。食料や飲料水もない。かなり不自然だが、その前にもっと不自然なことがあった。
1人だけ、たった1人でこの森を馬車で移動するのか? 服装的にファンタジーな世界のはず、だとしたら盗賊やその他の不確定要素があってもおかしくない。強ければ話は別だが、非常に弱く瞬殺だった。
結論として、この馬車を襲いに来た人間への罠だ。馬車を襲う盗賊や山賊達への罠。そうとなるとかなりマズイ。俺は今、この罠にかかった盗賊山賊の一味と言うことになるからだ。
だが、気付いた時には遅かった。荷車から業者台に戻り早急に逃げようとした時、左右正面から矢が飛んできた。勿論、狭い業者台の中で全てを避ける術はない。俺はとっさに業者台の左側へ急所を守る為に丸まりながら飛び降りた。
ドスドスドス!!
空中で矢が肩や脚、背中に突き刺さった。刺さった箇所から液体が流れ出るのを感じる。自分の血だろう。俺はそのまま茂みに突っ込み地面に転がった。
顔を上げると、茂みにはフルプレートメイルと腰に両刃の剣を装備して、弓を構えた騎士らしい人間がいた。俺を見ると、剣を抜き躊躇なく振り下ろしてきた。容赦ないことこの上ない。
俺はカエルが飛び上がるように騎士へ突っ込み、右手で相手の心臓へ掌底を放った。俺が使える対鎧用の技、鎧貫きだ。鎧の上から心停止させる技で、中国拳法の浸透勁のようなものだ。
俺の方が一瞬早く手応えはあった。だが、相手の剣は止まらず、そのまま剣は俺の頭を割った。
ザシュ!
俺はまた死んだのだった。
気がつくとあの暗い空間で、赤いパイプ椅子座っていた。目の前には、白いテーブルと赤いソファ、ソファには顔が黒く塗りつぶされたあの少女が脚を組んで座っていた。
「……早すぎる。まだ数時間しかたってない。しかも2人殺して自分も死ぬなんて馬鹿なの?」
声色は変わらないが、言い方が怒っている気がする。
俺はその言い分に対して反論した。
「それは仕方ないでしょう。知らない森の中で食料無し、金も無し、挙げ句の果てに言葉が分からない。そんな状況で商人の様な人間がいたら殺して物を奪うでしょう? 大した説明無く、何も持たせずに行かせた貴女が悪くないですか?」
「……うるさい。みんなから同じこと言われた。だからもう一度やり直し。さっさと欲しいものこれに書いて」
少女は白い紙と赤いペンを胸元から出してきた。ただ、胸が貧しいのでその行動は非常に悲しいものに見えてしまった。勿論指摘はしない。
俺はペンを持ち、紙に茶色のマント、黒塗りのナイフを10本、干し肉、水、金、その世界の言語の読み書きと書いた。それを少女に渡した。
「……武器ダメ。それ以外は良い。次死んだら終わり。人助け、して?」
「ええ、勿論……。私の出来る限りやりますよ。安心してください」
「……貴方に安心できる要素がない。嫌い……行ってらっしゃい」
少女がそう言うと、意識が薄れていった。薄れていく意識の中で『行ってらっしゃい』は言うんだと思った。
ドサ! バシャ!!
何か落ちた音がした。
目を覚ますと今度は平原だった。高い位置に太陽がある。多分、今は昼頃だろう。
何かが落ちた音が気になるが、まず俺は装備が反映されているかを確認した。
服装は同じだが茶色のマントを羽織っていた。しかし他の物がない。不思議に思い辺りを見渡すと、地面に干し肉と銀色のコイン、そして、何故か濡れている地面を見つけた。多分水だ。この出来事に俺は思わず呟いてしまった。
「やられた……。」
そう、少女は文字通りに用意したのだ。最初に聞いた音は干し肉と水が落ちた音で、水だけ用意したのだ。あの少女は何処か抜けている。仕方がない。俺はそう思うことにした。
だが今回、森と違い平原であり、開けた場所なので視界良好、遠くに城が見える。近くに道もあり、そこを歩いて行けば自ずと城に着くだろう。
1番欲しかった水を失い、少し意気消沈の状態で城に向かい歩いて行った。
1人だけ、たった1人でこの森を馬車で移動するのか? 服装的にファンタジーな世界のはず、だとしたら盗賊やその他の不確定要素があってもおかしくない。強ければ話は別だが、非常に弱く瞬殺だった。
結論として、この馬車を襲いに来た人間への罠だ。馬車を襲う盗賊や山賊達への罠。そうとなるとかなりマズイ。俺は今、この罠にかかった盗賊山賊の一味と言うことになるからだ。
だが、気付いた時には遅かった。荷車から業者台に戻り早急に逃げようとした時、左右正面から矢が飛んできた。勿論、狭い業者台の中で全てを避ける術はない。俺はとっさに業者台の左側へ急所を守る為に丸まりながら飛び降りた。
ドスドスドス!!
空中で矢が肩や脚、背中に突き刺さった。刺さった箇所から液体が流れ出るのを感じる。自分の血だろう。俺はそのまま茂みに突っ込み地面に転がった。
顔を上げると、茂みにはフルプレートメイルと腰に両刃の剣を装備して、弓を構えた騎士らしい人間がいた。俺を見ると、剣を抜き躊躇なく振り下ろしてきた。容赦ないことこの上ない。
俺はカエルが飛び上がるように騎士へ突っ込み、右手で相手の心臓へ掌底を放った。俺が使える対鎧用の技、鎧貫きだ。鎧の上から心停止させる技で、中国拳法の浸透勁のようなものだ。
俺の方が一瞬早く手応えはあった。だが、相手の剣は止まらず、そのまま剣は俺の頭を割った。
ザシュ!
俺はまた死んだのだった。
気がつくとあの暗い空間で、赤いパイプ椅子座っていた。目の前には、白いテーブルと赤いソファ、ソファには顔が黒く塗りつぶされたあの少女が脚を組んで座っていた。
「……早すぎる。まだ数時間しかたってない。しかも2人殺して自分も死ぬなんて馬鹿なの?」
声色は変わらないが、言い方が怒っている気がする。
俺はその言い分に対して反論した。
「それは仕方ないでしょう。知らない森の中で食料無し、金も無し、挙げ句の果てに言葉が分からない。そんな状況で商人の様な人間がいたら殺して物を奪うでしょう? 大した説明無く、何も持たせずに行かせた貴女が悪くないですか?」
「……うるさい。みんなから同じこと言われた。だからもう一度やり直し。さっさと欲しいものこれに書いて」
少女は白い紙と赤いペンを胸元から出してきた。ただ、胸が貧しいのでその行動は非常に悲しいものに見えてしまった。勿論指摘はしない。
俺はペンを持ち、紙に茶色のマント、黒塗りのナイフを10本、干し肉、水、金、その世界の言語の読み書きと書いた。それを少女に渡した。
「……武器ダメ。それ以外は良い。次死んだら終わり。人助け、して?」
「ええ、勿論……。私の出来る限りやりますよ。安心してください」
「……貴方に安心できる要素がない。嫌い……行ってらっしゃい」
少女がそう言うと、意識が薄れていった。薄れていく意識の中で『行ってらっしゃい』は言うんだと思った。
ドサ! バシャ!!
何か落ちた音がした。
目を覚ますと今度は平原だった。高い位置に太陽がある。多分、今は昼頃だろう。
何かが落ちた音が気になるが、まず俺は装備が反映されているかを確認した。
服装は同じだが茶色のマントを羽織っていた。しかし他の物がない。不思議に思い辺りを見渡すと、地面に干し肉と銀色のコイン、そして、何故か濡れている地面を見つけた。多分水だ。この出来事に俺は思わず呟いてしまった。
「やられた……。」
そう、少女は文字通りに用意したのだ。最初に聞いた音は干し肉と水が落ちた音で、水だけ用意したのだ。あの少女は何処か抜けている。仕方がない。俺はそう思うことにした。
だが今回、森と違い平原であり、開けた場所なので視界良好、遠くに城が見える。近くに道もあり、そこを歩いて行けば自ずと城に着くだろう。
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