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第13話 初代聖剣アーリアル
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ようやく巡り込んできた復讐の機会。あの日、命からがら逃げ帰った俺に待っていたのは断罪と嘲笑だった。
彼奴らは何もわかっちゃいねぇ、あの化け物じみた強さで3000もの兵をたった二人で全滅させががった。それを言ったところで誰一人として信じてくれなかったし、証明してくれる副官の姿ももう近くにいない。オマケに僅かに生き延びて捕虜になっていた味方の兵を、治療した上に解放なんてしやがるから、逃げ帰る道中そこら中の街で全滅の噂話が広がっちまった。
そのせいで俺は責任を取らされ、本国に送り返されて幽閉されるのを待つだけだったが、運がいい事に各地で反抗勢力が次々と立ち上がり、人手不足の中プレデミー領から援軍要請がやってきた。
「ジェラルドよ、分かっていると思うがこれが最後のチャンスだと思え。もし次も敗戦するようなら死罪は免れないと心得よ」
「あぁ、分かってるよ」
帝国の軍律は厳しい、余裕で勝てる相手に全滅させられた挙句、あの戦いで一気に流れが敵に傾いた事は俺にだって分かる。これだけでも十分軍法会議にかけられる可能性があると言うのに、この上更に敗戦を重ねるようなら即刻首をはねられても仕方がない。言わばこれは俺の命を賭けた戦いでもあるのだ。
まぁ、負けねぇけどな。
「それよりちゃんと援軍は来るんだろうな」
「心配するな、敵はたった500程度だと言うし、グレアム卿に援軍を出すよう遣いを出している」
「だったらいいが」
敵の数はおよそ500、プレデミーの防衛兵力が300で俺に用意されたのが1000の騎馬隊だ。これだけでも十分な数だが、今から相手にするのはあの化け物女だからな、用心にこしたことはねぇ。
王国一の槍騎馬隊だか知らないが、裏切り者はどうも信用ならねぇ。次は油断も遊びもなく本気で潰しに掛からないと痛い目を見るのはこっちの方だ。
「じゃいくぜ、ついて来い!」
俺は1000騎の騎馬隊を引き連れ出陣した。
***************
「父上、書状には何と?」
「プレデミー領が反乱軍の攻撃にあっているから援軍を寄越せと言ってきた」
書状を受け取りながら素早く目を通す。
「すぐに軍の手配をします」
経緯はどうあれ、今帝国側からの依頼を断るわけにはいかない。すぐに軍を手配して出撃しなければならない。
「待て、援軍は出さない」
「……それはどう言う事ですか?」
「言葉の通りだ、我が軍は誰一人としてこの領から出る事は許さん」
「しかし、このままでは帝国軍に目を付けられてしまいます。最悪敵の真っ只中に取り残される事だって」
もし帝国が我が軍を敵だと認識してしまった場合、この領地は反乱軍と帝国軍の両方から攻撃を受ける事になってしまう。
「そんなに何かしたいのであれば一つ遣いの手配をしろ」
「遣い、ですか? それはどちらに」
「ノースランド領にいるランスベルト王子にだ」
「……父上、貴方はまさか再び罪を犯そうとされているのですか?」
「勘違いするな、今更レガリアに寝返ろうとは思ってもいない。ただ今のこの国にには憎むべき悪と、それを倒す象徴が必要なのだ」
「……分かりました、すぐに手配いたします。ですがお忘れなきよう、私もその憎むべき悪の一人なのです。最後までご一緒させていただきます」
「すまんな」
***************
「ええい、邪魔よ」
迫りくる敵兵を馬上よりの槍でなぎ倒す。
一刻も早く敵を掃討し、セレスティナの援護に回らなければならないと言うのに、次から次へと群がってくる。
恐らく援軍が駆けつけた事で敵の指揮も上がったのだろう、先ほどまで総崩れだったのに、徐々に息を吹き返している。
「遅くなりました、領主館の制圧終了しました」
領主館の制圧に向かっていたクラウスの一軍が合流したようだ。
しかしこれでも数の上では五分と五分、シルメリアも魔法で撹乱させてくれてはいるが魔力の消費が多いようで、先ほどからマジックポーションを何本も使っている。
このままでは消耗戦になってしまい、援護に駆けつける前に戦力が尽きてしまう。何とかこの場を切り抜ける対策が見つけなければ、敵の援軍を抑えているセレスティナも倒され、いずれ全滅するのはこちらの方だ。
「報告します。敵の援軍の一部がセレスティナ様の部隊を突破し、こちらに向かっております」
やはり抑えきれなかったか、彼女も精一杯戦ってくれているのだろうが、そもそも1000騎の部隊をたった150人で抑え込もうとするのが無茶だったのだ。
「突破された敵の数は分かる?」
「およそ300騎です」
「分かったわ、アドルの部隊は突破した敵部隊の応戦に向かって、他のものは隊列を乱さずこのまま切り崩して行くわよ」
『『『了解しました』』』
仕方がないとはいえ、これで500の部隊を3つに分けてしまった。それぞれの戦場で数の上で不利な状況に陥っているし、徐々に兵達の疲れも見え始めている。
できれば一旦軍を引きたいところではあるが、このまま逃がしてくれるとはとても思えない。最悪背中を見せた時点で一気に殲滅される可能性だってあるのだ。
「ミレーナ様、このままではこちらが持ちません。一時撤退を」
「ダメよ、ここで撤退すれば敵の援軍と挟み撃ちにされてしまうわ、せめて領地の防衛部隊だけでも倒さないと」
この戦いには敗北も引き分けも許されないのだ、撤退するにも出来るだけ被害を最小限にとどめなければならない。少なくとも領地の防衛部隊を倒さなければ、左右から攻撃を受ける事になってしまう。
「報告します。北東より多数の騎影を確認」
「なんですって! それは何処の部隊!?」
この上更に敵の援軍なんてとてもじゃないけど抑えきれない。被害を最小限になどと悠長な事を言っていられなくなってしまった。
「報告します。北東よりの騎影はレガリアの軍旗を掲げております。恐らくノースランド領の部隊と思われます」
「!」
別の騎士が慌てて報告しに来た、最初に報告しに来た騎士は軍旗まで確認できていなかったのだろう。それで慌てて別の騎士が私の元に駆けつけたといったところか。
そんな時だった、怒涛の掛け声と共に無数の騎馬隊が戦場になだれ込んできた。
「レガリア王国第一王子ランスベルト・レーネス・レガリアだ、義によってウエストガーデン解放軍に助太刀する!」
「ノースランド第一公女フィーナ・ノースランドです、親愛あるウエストガーデン解放軍を援護します。」
ランスベルト王子と、フィーナ公女!? まさかお二人が直接救援に駆けつけてくれるなって。
だけどこれは絶好のチャンスといってもよい、お二人の援軍で一気にこちらの指揮も上がった。ここで一気に畳みければ勝機は確実にこちらに傾く。
「私はウエストガーデン公女ミレーナ・ウエストガーデン、援軍感謝します!」
「一気に畳み掛けるぞ!」
『『『おーーー!!』』』
さすが王子の参戦は心強い、これで兵の数も全てこちらが上回った。敵は大混乱で隊列を崩しその数を減らしている。
「ミレーナ公女、ここは俺に任せて敵の増援部隊の方へ。フィーナ、お前の部隊も援護に回ってくれ」
「ありがとうございます」
「わかりました」
すぐさま私は部隊を引き連れアドルの援護へと向かう。先に突破された300の敵を倒しておかなければ挟み撃ちにされてしまうし、王子の部隊へ向かわれても厄介だ。
300程度なら私とアドル、それにフィーナ様の部隊で一気に押し切れるだろう。
「お久しぶりですミレーナ様」
「援軍感謝しますフィーナ様」
馬を並走させながら簡単に挨拶をする。私たちの両親が友好な間柄だったので何度かお会いした事はあるが、まさか戦場で会うことになるとは思ってもみなかった。それにしても普段は妹のように人懐っ子かった彼女が、剣を持って戦える何んて考えすらしなかった。
「まずは目の前の敵を殲滅すればいいんですね?」
「えっ? はい。敵の本体はセレスティナが食い止めてくれているので、ここを一気に殲滅して救援に向かわないと」
「分かりました。こちらは私に任せてミレーナ様は援軍の本体の方へ向かってください」
「ですが、私たちで一気に殲滅した方が」
「問題ありません、私にはアーリアルがありますので」
アーリアル? それって聖剣アーリアル? 彼女が腰に携えている細剣は、以前戴冠の義で見た事のある聖剣とは大きさも太さも全く違う。それに今は帝国軍側の手に渡っていると聞いているし、この場にあるとはとても考えられない。
「フィーナ様、それって……」
「大丈夫です。私を信じてください」
彼女はそう言うと腰から細身の剣を抜き出し天に掲げた。
「盟約の元、フィーナ・ノースランドが命じます。初代聖剣アーリアルよ、
我が力となりて闇を切り裂く一陣の風となれ! 風の聖剣アペリオテレス!」
彼女の唱えたものが詠唱かキースペルは分からないが、眩いばかりに剣が輝いたかと思うと、振りかぶったと同時に一筋の風となって敵部隊の中央部を真っ二つに切り裂いた。
何なのこれ、今まで聖戦器にそんな力があるだなんて聞いた事がない。少なくともお父様が持っていた星槍は、自身を光の衣で覆い、打撃と防御を限りなく強くするだけのものだった。
それだけでも十分聖戦器の名に恥じない強さだったのに、フィーナ様が持つ初代聖剣と呼ばれる剣はそれ以上の強力な武器だ。
余りの常識はずれの攻撃で、敵と私の部隊はただ呆然とするだけだった。
唯一フィーナ様が率いる部隊だけが、崩れた敵軍めがけて突撃を開始している。
「さぁ、行ってください。私たちもこちらを殲滅してからすぐに向かいますので」
「分かりました、お願いします」
確かにあの威力を見せつけられれば敵も総崩れだろう、何といっても以前ローズさんの魔法で3000もの部隊を全滅にさせられているのだ。その話は帝国兵の中でも知れ渡っていると聞くので、誰しも逃げ出したい気分になるだろう。
私たちは200の部隊を引き連れセレスティナの援護へと向かった。
彼奴らは何もわかっちゃいねぇ、あの化け物じみた強さで3000もの兵をたった二人で全滅させががった。それを言ったところで誰一人として信じてくれなかったし、証明してくれる副官の姿ももう近くにいない。オマケに僅かに生き延びて捕虜になっていた味方の兵を、治療した上に解放なんてしやがるから、逃げ帰る道中そこら中の街で全滅の噂話が広がっちまった。
そのせいで俺は責任を取らされ、本国に送り返されて幽閉されるのを待つだけだったが、運がいい事に各地で反抗勢力が次々と立ち上がり、人手不足の中プレデミー領から援軍要請がやってきた。
「ジェラルドよ、分かっていると思うがこれが最後のチャンスだと思え。もし次も敗戦するようなら死罪は免れないと心得よ」
「あぁ、分かってるよ」
帝国の軍律は厳しい、余裕で勝てる相手に全滅させられた挙句、あの戦いで一気に流れが敵に傾いた事は俺にだって分かる。これだけでも十分軍法会議にかけられる可能性があると言うのに、この上更に敗戦を重ねるようなら即刻首をはねられても仕方がない。言わばこれは俺の命を賭けた戦いでもあるのだ。
まぁ、負けねぇけどな。
「それよりちゃんと援軍は来るんだろうな」
「心配するな、敵はたった500程度だと言うし、グレアム卿に援軍を出すよう遣いを出している」
「だったらいいが」
敵の数はおよそ500、プレデミーの防衛兵力が300で俺に用意されたのが1000の騎馬隊だ。これだけでも十分な数だが、今から相手にするのはあの化け物女だからな、用心にこしたことはねぇ。
王国一の槍騎馬隊だか知らないが、裏切り者はどうも信用ならねぇ。次は油断も遊びもなく本気で潰しに掛からないと痛い目を見るのはこっちの方だ。
「じゃいくぜ、ついて来い!」
俺は1000騎の騎馬隊を引き連れ出陣した。
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「父上、書状には何と?」
「プレデミー領が反乱軍の攻撃にあっているから援軍を寄越せと言ってきた」
書状を受け取りながら素早く目を通す。
「すぐに軍の手配をします」
経緯はどうあれ、今帝国側からの依頼を断るわけにはいかない。すぐに軍を手配して出撃しなければならない。
「待て、援軍は出さない」
「……それはどう言う事ですか?」
「言葉の通りだ、我が軍は誰一人としてこの領から出る事は許さん」
「しかし、このままでは帝国軍に目を付けられてしまいます。最悪敵の真っ只中に取り残される事だって」
もし帝国が我が軍を敵だと認識してしまった場合、この領地は反乱軍と帝国軍の両方から攻撃を受ける事になってしまう。
「そんなに何かしたいのであれば一つ遣いの手配をしろ」
「遣い、ですか? それはどちらに」
「ノースランド領にいるランスベルト王子にだ」
「……父上、貴方はまさか再び罪を犯そうとされているのですか?」
「勘違いするな、今更レガリアに寝返ろうとは思ってもいない。ただ今のこの国にには憎むべき悪と、それを倒す象徴が必要なのだ」
「……分かりました、すぐに手配いたします。ですがお忘れなきよう、私もその憎むべき悪の一人なのです。最後までご一緒させていただきます」
「すまんな」
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「ええい、邪魔よ」
迫りくる敵兵を馬上よりの槍でなぎ倒す。
一刻も早く敵を掃討し、セレスティナの援護に回らなければならないと言うのに、次から次へと群がってくる。
恐らく援軍が駆けつけた事で敵の指揮も上がったのだろう、先ほどまで総崩れだったのに、徐々に息を吹き返している。
「遅くなりました、領主館の制圧終了しました」
領主館の制圧に向かっていたクラウスの一軍が合流したようだ。
しかしこれでも数の上では五分と五分、シルメリアも魔法で撹乱させてくれてはいるが魔力の消費が多いようで、先ほどからマジックポーションを何本も使っている。
このままでは消耗戦になってしまい、援護に駆けつける前に戦力が尽きてしまう。何とかこの場を切り抜ける対策が見つけなければ、敵の援軍を抑えているセレスティナも倒され、いずれ全滅するのはこちらの方だ。
「報告します。敵の援軍の一部がセレスティナ様の部隊を突破し、こちらに向かっております」
やはり抑えきれなかったか、彼女も精一杯戦ってくれているのだろうが、そもそも1000騎の部隊をたった150人で抑え込もうとするのが無茶だったのだ。
「突破された敵の数は分かる?」
「およそ300騎です」
「分かったわ、アドルの部隊は突破した敵部隊の応戦に向かって、他のものは隊列を乱さずこのまま切り崩して行くわよ」
『『『了解しました』』』
仕方がないとはいえ、これで500の部隊を3つに分けてしまった。それぞれの戦場で数の上で不利な状況に陥っているし、徐々に兵達の疲れも見え始めている。
できれば一旦軍を引きたいところではあるが、このまま逃がしてくれるとはとても思えない。最悪背中を見せた時点で一気に殲滅される可能性だってあるのだ。
「ミレーナ様、このままではこちらが持ちません。一時撤退を」
「ダメよ、ここで撤退すれば敵の援軍と挟み撃ちにされてしまうわ、せめて領地の防衛部隊だけでも倒さないと」
この戦いには敗北も引き分けも許されないのだ、撤退するにも出来るだけ被害を最小限にとどめなければならない。少なくとも領地の防衛部隊を倒さなければ、左右から攻撃を受ける事になってしまう。
「報告します。北東より多数の騎影を確認」
「なんですって! それは何処の部隊!?」
この上更に敵の援軍なんてとてもじゃないけど抑えきれない。被害を最小限になどと悠長な事を言っていられなくなってしまった。
「報告します。北東よりの騎影はレガリアの軍旗を掲げております。恐らくノースランド領の部隊と思われます」
「!」
別の騎士が慌てて報告しに来た、最初に報告しに来た騎士は軍旗まで確認できていなかったのだろう。それで慌てて別の騎士が私の元に駆けつけたといったところか。
そんな時だった、怒涛の掛け声と共に無数の騎馬隊が戦場になだれ込んできた。
「レガリア王国第一王子ランスベルト・レーネス・レガリアだ、義によってウエストガーデン解放軍に助太刀する!」
「ノースランド第一公女フィーナ・ノースランドです、親愛あるウエストガーデン解放軍を援護します。」
ランスベルト王子と、フィーナ公女!? まさかお二人が直接救援に駆けつけてくれるなって。
だけどこれは絶好のチャンスといってもよい、お二人の援軍で一気にこちらの指揮も上がった。ここで一気に畳みければ勝機は確実にこちらに傾く。
「私はウエストガーデン公女ミレーナ・ウエストガーデン、援軍感謝します!」
「一気に畳み掛けるぞ!」
『『『おーーー!!』』』
さすが王子の参戦は心強い、これで兵の数も全てこちらが上回った。敵は大混乱で隊列を崩しその数を減らしている。
「ミレーナ公女、ここは俺に任せて敵の増援部隊の方へ。フィーナ、お前の部隊も援護に回ってくれ」
「ありがとうございます」
「わかりました」
すぐさま私は部隊を引き連れアドルの援護へと向かう。先に突破された300の敵を倒しておかなければ挟み撃ちにされてしまうし、王子の部隊へ向かわれても厄介だ。
300程度なら私とアドル、それにフィーナ様の部隊で一気に押し切れるだろう。
「お久しぶりですミレーナ様」
「援軍感謝しますフィーナ様」
馬を並走させながら簡単に挨拶をする。私たちの両親が友好な間柄だったので何度かお会いした事はあるが、まさか戦場で会うことになるとは思ってもみなかった。それにしても普段は妹のように人懐っ子かった彼女が、剣を持って戦える何んて考えすらしなかった。
「まずは目の前の敵を殲滅すればいいんですね?」
「えっ? はい。敵の本体はセレスティナが食い止めてくれているので、ここを一気に殲滅して救援に向かわないと」
「分かりました。こちらは私に任せてミレーナ様は援軍の本体の方へ向かってください」
「ですが、私たちで一気に殲滅した方が」
「問題ありません、私にはアーリアルがありますので」
アーリアル? それって聖剣アーリアル? 彼女が腰に携えている細剣は、以前戴冠の義で見た事のある聖剣とは大きさも太さも全く違う。それに今は帝国軍側の手に渡っていると聞いているし、この場にあるとはとても考えられない。
「フィーナ様、それって……」
「大丈夫です。私を信じてください」
彼女はそう言うと腰から細身の剣を抜き出し天に掲げた。
「盟約の元、フィーナ・ノースランドが命じます。初代聖剣アーリアルよ、
我が力となりて闇を切り裂く一陣の風となれ! 風の聖剣アペリオテレス!」
彼女の唱えたものが詠唱かキースペルは分からないが、眩いばかりに剣が輝いたかと思うと、振りかぶったと同時に一筋の風となって敵部隊の中央部を真っ二つに切り裂いた。
何なのこれ、今まで聖戦器にそんな力があるだなんて聞いた事がない。少なくともお父様が持っていた星槍は、自身を光の衣で覆い、打撃と防御を限りなく強くするだけのものだった。
それだけでも十分聖戦器の名に恥じない強さだったのに、フィーナ様が持つ初代聖剣と呼ばれる剣はそれ以上の強力な武器だ。
余りの常識はずれの攻撃で、敵と私の部隊はただ呆然とするだけだった。
唯一フィーナ様が率いる部隊だけが、崩れた敵軍めがけて突撃を開始している。
「さぁ、行ってください。私たちもこちらを殲滅してからすぐに向かいますので」
「分かりました、お願いします」
確かにあの威力を見せつけられれば敵も総崩れだろう、何といっても以前ローズさんの魔法で3000もの部隊を全滅にさせられているのだ。その話は帝国兵の中でも知れ渡っていると聞くので、誰しも逃げ出したい気分になるだろう。
私たちは200の部隊を引き連れセレスティナの援護へと向かった。
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