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第17話 スザク奪還戦
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「それではランスベルト様、行ってまいります」
「あぁ、こちらの守りは任せておけ」
帝国軍がバイロン将軍に奪還されたガイウス領に向けて出撃したと報告を受け、私たちはウエストガーデン最大の街、スザクへ向けて出発した。
全軍を指揮するのは私、ミリーナ・ウエストガーデンと、解放の名の元に集まってくれたウエストガーデンの騎士達を中心に、力を貸してくれているシルメリア公女、そして救援に駆けつけてくれたフィーナ様の部隊を加えた総勢1000人の解放軍。
この戦いは私の領地奪還であるので、ランスベルト様は敢えてプレデミー領の守りをかって出てくれたのだ。
今スザクの防衛に残っている帝国軍はおよそ2000、バイロン将軍に向けて出陣したのが1000と聞いているので、残っているのは恐らく1000といったところだろう。
数の上では五分と五分だが、スザクの防壁はかなり強固なものになっている為、苦戦は免れないだろう。
だがこちらには地の利と私の星槍、そしてフィーナ様の聖剣がある。決して負ける事はないはずだ。
「カリナと雫は上手くやっているかしら?」
「大丈夫よ、敵の手に落ちているとは言え、かつては私たちが暮らしてきた街なんですもの。きっと上手くやっているわ」
カリナと雫は数人の兵を引き連れ先に街へ潜入させている。
目的は内側からの城門の開錠、私が率いる本体が正門で敵を引きつけている間に、フィーナ様率いる部隊が東門から突入する手筈になっている。
出来るだけ市街地を戦場にしたくはないが、正攻法で正門を落とす事は正直難しい。だから、東門から突入したフィーナ様に内側から正門を攻撃してもらうよう作戦を立てたのだ。
「それよりセレスティナ、怪我の方は大丈夫なの?」
先日の戦いよりまだ二日しか経っていない。いくら傷口が見当たらないとは言え、かなりの深手だったのだからそう簡単に全開するとは到底思えない。
フィーナ様もその事を見越して自ら突入部隊を志願してくれたのだ。
「大丈夫よ、無茶はしないから」
そう言って何時も無茶をするのが彼女の性格、いつもはただの遊びだが、今度は命がかかっているのだから正直不安が拭えない。
「ミレーナ様、先遣隊が戻りました。敵は外壁門を閉じ篭城戦の構えだそうです」
「わかったわ、予想通りね。アドルの部隊は左翼を、クラウスの部隊は右翼をお願い。出来るだけ正門に敵兵を集めたいから攻城戦の用意を」
「「はい」」
機動力を重視で来たから攻城兵器は持ってきていない。重騎士を前面に配置し弓矢で応戦しつつ城壁を登らなければならないだろう。
私の魔法とシルメリアの魔法で、出来るだけ城壁の敵を威嚇しなければならない。どこまで魔力が持つかわからないけれどやるしかないのだ。
「それじゃいくわよ」
『『『おぉーーー!!』』』
***************
「報告します、敵が正門に現れました」
「やはり正門か、他の門は最低限の人数を残して正門に集めろ。人数が足りなければ街の警備兵を門の近くに配備しておけ、時間さえ稼げば援軍出ている我が軍が戻ってくるはずだ。」
ここの外壁門は東西南北の四つあるが、そのどれも同じぐらいの防衛力が備わっている。だったら軍を一箇所にまとめ、一番大きな正門を攻撃するのが指揮官の常識だろう。
くそっ、ジェラルドがしっかり仕留めておけばこんな事にならなかったのに。
あいつのせいで1000騎の騎兵を失った挙句、当の本人は未だに戻ってきていない。負傷していたとは聞いているが、討ち取られたという報告は聞いていないので、恐らく処罰される事を恐れて何処かで隠れているのだろう。
「おい、グレアム卿に向かわせた使者はまだ戻らんのか」
「はい、未だ何も……」
どいつもこいつも役に立たない、これで彼奴らの裏切りが確定した。
この戦いが終われば兵を差し向けてやる。
「何としても正門を死守しろと伝えろ」
「はっ!」
今日一日持ちこたえれば明日には援軍に出た部隊が戻るはずだ、それさえ間に合えば私たちの勝ちだ。
***************
「そろそろ時間ね、今から東門を落とすわよ」
「「おぉーー!!」」
森の中から一軍を率いて突撃する。ミレーナ様に私の軍を一部預けているから今は僅か200騎程しかいない。こんな数で強固と言われるスザクの外壁門を落とせとは中々の無茶ぶりだが、最悪私の魔法で門を破壊すれば何とかなるだろう、修復には時間が掛かるかもしれないが、兵の命には変えられない。
「行くわよ」
私は剣先で空中に五芒星を描く。
先の戦いで使用した魔法もそうだがお姉さまに教えてもらった高位魔法、五行思想だ何だと言われたが正直よくわかっていない。
ミレーナ様はその威力に驚かれていたが、お姉さまは聖剣も星槍もない状態で私と同等の威力を放つんだから、今更ながら一時でも死んだと思った自分が恥ずかしい。
「風の聖槍、シルフィード!」
魔法陣から何本もの風の槍が城壁の敵兵目掛けて飛んでいく。
「早く外壁門を開けないとブチ破るわよカリナ」
***************
東門が騒がしくなってきた、どうやら戦いが始まったようだ。早く東門を開けないと。
「カリナさん、北側からの進入は無理です。警備の数が多すぎます」
「ありがとうございます雫さん」
潜入は上手くいったが、予想以上の警戒体制で中々門へと近寄れない。敵からすれば街中は内通者だらけと言ってもいい状態だから、警戒はより厳しくしているのだろう。
「このままじゃ間に合わないわ、無茶だけど一気に攻め込みましょう」
私たちは意を決して一斉に攻め掛かる。誰か一人でも城門の開閉部屋に乗り込めればいいのだ、後はレバーさえ操作できれば。
「敵だ! 門に近寄らすな!」
「ちっ」
見つかるのが早すぎる。防衛している兵が少ないとはいえ、こちらは僅か数人、上から弓矢で狙われたら一溜まりもない。
「カリナさん後ろ!」
誰かの叫びにとっさに体をひねるが
「くっ」
右肩に沸き起こる激しい痛み、何処かに隠れていた敵兵に後ろから弓矢で射られたようだ。寄りにもよって利き腕である右肩をやられるなんて。
「私に構わず門の開閉を」
私一人の命より今は門の開閉が重要だ、見上げれば城壁の上からこちらに向けて矢を射ろうとしている敵兵が見えた。ダメだやられる。
思わず目を瞑ってしまったが、一向に矢が刺さる感触がやってこない。ゆっくり目を開けると、私の前に刀を構えた一人の女性が。
「カリナさん大丈夫ですか!?」
「雫さん、何で戻ってきたんですか!」
どうやら私のピンチに気づき戻ってきてしまったようだ。
「見捨てるなんて事はできません、立てますか?」
刀を構えながら私を起こそうとしてくれる。
「ダメよ、私の事はいいから先に行って」
この傷では矢を避けながら走るなんてできない。早くこの場から離れないと一斉に矢を射られれば防ぎきれない。
「放ってなんて出来ません、私だってもう誰も死んでほしくないんです」
そうだった、彼女もお兄さんが……
「ごめんなさい、まだ諦めるのは早かったわね」
何とか立ち上がり、矢の死角になるところまで移動する。
「ここまでくれば城壁の弓矢は……」
「いたぞ! 捕らえる必要はない、殺せ!」
目の前に現れた20人近い剣兵、恐らく警備に当たっていた兵士だろう。城壁の敵ばかりに気を取られていた。
「雫さん逃げて! このままでは貴方も」
「嫌です。最後まで守り抜いてみせます」
無理よ、いくら強くても城壁の弓を避けながら20人も相手にするなんて……私が油断さえしなければ。
雫さんは必死に戦っているが城壁の敵が気になるのか、目の前の敵に集中できていない。何か、何かこの状況を切り抜ける方法はないの?
「カリナさん後ろ!」
「!!」
あぁ、ごめんなさいミレーナ様、私はもう……
***************
「ミレーナ様、外壁門が開きます!」
「えっ?」
フィーナ様にしては早すぎる、という事は
「ミレーナ、敵よ」
見れば一軍が騎馬隊を率いて城壁群がっている味方の兵に襲いかかっている。
「助けに行くわよ、皆んな付いてきて」
今上と下から同時に攻撃を受けるのはまずい、私は地上部隊に目掛けて突撃する。
「くそっ、退け!」
私たちが到着するより早く、敵の隊長が退却を命じる。
「チャンスよ、敵の退却に合わせて中へと突入するわ」
門が開いている今、門の中へと攻め込む絶好の機会だ。フィーナ様には悪いがこのチャンスを見逃す手はない。
「待ちなさいミレーナ、危険よ」
「大丈夫、私にはスターゲイザーがついているわ」
セレスティナが止めるも私は軍を率いて強行突破する。
「もう、一個小隊付いてきて、絶対にミレーナから離れないで」
なんだかんだと言っても最後は私の力になってくれるのがセレスティナという人物だ、ローズさんとはまた違う心強さが彼女にはある。側にいるだけで私は安心して戦えるんだ。
「門を突破したわ、すぐに城壁の制圧を!」
「ミレーナ罠よ!」
「えっ!?」
見れば今入ってきた門が閉じようとしており、城壁の上から弓を構えた敵兵、そして周りには多数の剣兵の姿が。
「突破するわよ!」
今立ち止まっているのは死を意味する。ここは少々無茶でも剣兵の囲いを突破して体制を整えないと。
「逃がすな! 打て!」
城壁から一斉に矢が降り注ぐ。
「スターゲイザー!」
星槍が輝き出し辺りを包み込む。
降り注ぐ矢の雨が私を中心にはじき飛ばされていくが
「あぐっ」
「セレスティナ!」
防ぎきれなかった矢が彼女の体に突き刺さった。
「大丈夫、貴方は逃げて!」
「貴方を放ってなんて行けないわ」
「逃げろって言ってるのよ! 貴方はこの国を取り戻すために必要なの、私一人の犠牲なんて捨てていきなさい!」
私のせいだ、私が敵の挑発に乗ったばかりに。
セレスティナは止めてくれたのに、星槍を手に入れたことで調子に乗ってしまっていたんだ。
「一気に止めをさせ! 第二射放て!」
再び降り注ぐ矢の雨にもう一度スターゲイザーの光で防ぎきる
「くそっ、剣兵隊、取り囲んで始末しろ!」
いったい何人いるのだろう、私たちはすっかり敵へに囲まれてしまった。
「あぁ、こちらの守りは任せておけ」
帝国軍がバイロン将軍に奪還されたガイウス領に向けて出撃したと報告を受け、私たちはウエストガーデン最大の街、スザクへ向けて出発した。
全軍を指揮するのは私、ミリーナ・ウエストガーデンと、解放の名の元に集まってくれたウエストガーデンの騎士達を中心に、力を貸してくれているシルメリア公女、そして救援に駆けつけてくれたフィーナ様の部隊を加えた総勢1000人の解放軍。
この戦いは私の領地奪還であるので、ランスベルト様は敢えてプレデミー領の守りをかって出てくれたのだ。
今スザクの防衛に残っている帝国軍はおよそ2000、バイロン将軍に向けて出陣したのが1000と聞いているので、残っているのは恐らく1000といったところだろう。
数の上では五分と五分だが、スザクの防壁はかなり強固なものになっている為、苦戦は免れないだろう。
だがこちらには地の利と私の星槍、そしてフィーナ様の聖剣がある。決して負ける事はないはずだ。
「カリナと雫は上手くやっているかしら?」
「大丈夫よ、敵の手に落ちているとは言え、かつては私たちが暮らしてきた街なんですもの。きっと上手くやっているわ」
カリナと雫は数人の兵を引き連れ先に街へ潜入させている。
目的は内側からの城門の開錠、私が率いる本体が正門で敵を引きつけている間に、フィーナ様率いる部隊が東門から突入する手筈になっている。
出来るだけ市街地を戦場にしたくはないが、正攻法で正門を落とす事は正直難しい。だから、東門から突入したフィーナ様に内側から正門を攻撃してもらうよう作戦を立てたのだ。
「それよりセレスティナ、怪我の方は大丈夫なの?」
先日の戦いよりまだ二日しか経っていない。いくら傷口が見当たらないとは言え、かなりの深手だったのだからそう簡単に全開するとは到底思えない。
フィーナ様もその事を見越して自ら突入部隊を志願してくれたのだ。
「大丈夫よ、無茶はしないから」
そう言って何時も無茶をするのが彼女の性格、いつもはただの遊びだが、今度は命がかかっているのだから正直不安が拭えない。
「ミレーナ様、先遣隊が戻りました。敵は外壁門を閉じ篭城戦の構えだそうです」
「わかったわ、予想通りね。アドルの部隊は左翼を、クラウスの部隊は右翼をお願い。出来るだけ正門に敵兵を集めたいから攻城戦の用意を」
「「はい」」
機動力を重視で来たから攻城兵器は持ってきていない。重騎士を前面に配置し弓矢で応戦しつつ城壁を登らなければならないだろう。
私の魔法とシルメリアの魔法で、出来るだけ城壁の敵を威嚇しなければならない。どこまで魔力が持つかわからないけれどやるしかないのだ。
「それじゃいくわよ」
『『『おぉーーー!!』』』
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「報告します、敵が正門に現れました」
「やはり正門か、他の門は最低限の人数を残して正門に集めろ。人数が足りなければ街の警備兵を門の近くに配備しておけ、時間さえ稼げば援軍出ている我が軍が戻ってくるはずだ。」
ここの外壁門は東西南北の四つあるが、そのどれも同じぐらいの防衛力が備わっている。だったら軍を一箇所にまとめ、一番大きな正門を攻撃するのが指揮官の常識だろう。
くそっ、ジェラルドがしっかり仕留めておけばこんな事にならなかったのに。
あいつのせいで1000騎の騎兵を失った挙句、当の本人は未だに戻ってきていない。負傷していたとは聞いているが、討ち取られたという報告は聞いていないので、恐らく処罰される事を恐れて何処かで隠れているのだろう。
「おい、グレアム卿に向かわせた使者はまだ戻らんのか」
「はい、未だ何も……」
どいつもこいつも役に立たない、これで彼奴らの裏切りが確定した。
この戦いが終われば兵を差し向けてやる。
「何としても正門を死守しろと伝えろ」
「はっ!」
今日一日持ちこたえれば明日には援軍に出た部隊が戻るはずだ、それさえ間に合えば私たちの勝ちだ。
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「そろそろ時間ね、今から東門を落とすわよ」
「「おぉーー!!」」
森の中から一軍を率いて突撃する。ミレーナ様に私の軍を一部預けているから今は僅か200騎程しかいない。こんな数で強固と言われるスザクの外壁門を落とせとは中々の無茶ぶりだが、最悪私の魔法で門を破壊すれば何とかなるだろう、修復には時間が掛かるかもしれないが、兵の命には変えられない。
「行くわよ」
私は剣先で空中に五芒星を描く。
先の戦いで使用した魔法もそうだがお姉さまに教えてもらった高位魔法、五行思想だ何だと言われたが正直よくわかっていない。
ミレーナ様はその威力に驚かれていたが、お姉さまは聖剣も星槍もない状態で私と同等の威力を放つんだから、今更ながら一時でも死んだと思った自分が恥ずかしい。
「風の聖槍、シルフィード!」
魔法陣から何本もの風の槍が城壁の敵兵目掛けて飛んでいく。
「早く外壁門を開けないとブチ破るわよカリナ」
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東門が騒がしくなってきた、どうやら戦いが始まったようだ。早く東門を開けないと。
「カリナさん、北側からの進入は無理です。警備の数が多すぎます」
「ありがとうございます雫さん」
潜入は上手くいったが、予想以上の警戒体制で中々門へと近寄れない。敵からすれば街中は内通者だらけと言ってもいい状態だから、警戒はより厳しくしているのだろう。
「このままじゃ間に合わないわ、無茶だけど一気に攻め込みましょう」
私たちは意を決して一斉に攻め掛かる。誰か一人でも城門の開閉部屋に乗り込めればいいのだ、後はレバーさえ操作できれば。
「敵だ! 門に近寄らすな!」
「ちっ」
見つかるのが早すぎる。防衛している兵が少ないとはいえ、こちらは僅か数人、上から弓矢で狙われたら一溜まりもない。
「カリナさん後ろ!」
誰かの叫びにとっさに体をひねるが
「くっ」
右肩に沸き起こる激しい痛み、何処かに隠れていた敵兵に後ろから弓矢で射られたようだ。寄りにもよって利き腕である右肩をやられるなんて。
「私に構わず門の開閉を」
私一人の命より今は門の開閉が重要だ、見上げれば城壁の上からこちらに向けて矢を射ろうとしている敵兵が見えた。ダメだやられる。
思わず目を瞑ってしまったが、一向に矢が刺さる感触がやってこない。ゆっくり目を開けると、私の前に刀を構えた一人の女性が。
「カリナさん大丈夫ですか!?」
「雫さん、何で戻ってきたんですか!」
どうやら私のピンチに気づき戻ってきてしまったようだ。
「見捨てるなんて事はできません、立てますか?」
刀を構えながら私を起こそうとしてくれる。
「ダメよ、私の事はいいから先に行って」
この傷では矢を避けながら走るなんてできない。早くこの場から離れないと一斉に矢を射られれば防ぎきれない。
「放ってなんて出来ません、私だってもう誰も死んでほしくないんです」
そうだった、彼女もお兄さんが……
「ごめんなさい、まだ諦めるのは早かったわね」
何とか立ち上がり、矢の死角になるところまで移動する。
「ここまでくれば城壁の弓矢は……」
「いたぞ! 捕らえる必要はない、殺せ!」
目の前に現れた20人近い剣兵、恐らく警備に当たっていた兵士だろう。城壁の敵ばかりに気を取られていた。
「雫さん逃げて! このままでは貴方も」
「嫌です。最後まで守り抜いてみせます」
無理よ、いくら強くても城壁の弓を避けながら20人も相手にするなんて……私が油断さえしなければ。
雫さんは必死に戦っているが城壁の敵が気になるのか、目の前の敵に集中できていない。何か、何かこの状況を切り抜ける方法はないの?
「カリナさん後ろ!」
「!!」
あぁ、ごめんなさいミレーナ様、私はもう……
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「ミレーナ様、外壁門が開きます!」
「えっ?」
フィーナ様にしては早すぎる、という事は
「ミレーナ、敵よ」
見れば一軍が騎馬隊を率いて城壁群がっている味方の兵に襲いかかっている。
「助けに行くわよ、皆んな付いてきて」
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「くそっ、退け!」
私たちが到着するより早く、敵の隊長が退却を命じる。
「チャンスよ、敵の退却に合わせて中へと突入するわ」
門が開いている今、門の中へと攻め込む絶好の機会だ。フィーナ様には悪いがこのチャンスを見逃す手はない。
「待ちなさいミレーナ、危険よ」
「大丈夫、私にはスターゲイザーがついているわ」
セレスティナが止めるも私は軍を率いて強行突破する。
「もう、一個小隊付いてきて、絶対にミレーナから離れないで」
なんだかんだと言っても最後は私の力になってくれるのがセレスティナという人物だ、ローズさんとはまた違う心強さが彼女にはある。側にいるだけで私は安心して戦えるんだ。
「門を突破したわ、すぐに城壁の制圧を!」
「ミレーナ罠よ!」
「えっ!?」
見れば今入ってきた門が閉じようとしており、城壁の上から弓を構えた敵兵、そして周りには多数の剣兵の姿が。
「突破するわよ!」
今立ち止まっているのは死を意味する。ここは少々無茶でも剣兵の囲いを突破して体制を整えないと。
「逃がすな! 打て!」
城壁から一斉に矢が降り注ぐ。
「スターゲイザー!」
星槍が輝き出し辺りを包み込む。
降り注ぐ矢の雨が私を中心にはじき飛ばされていくが
「あぐっ」
「セレスティナ!」
防ぎきれなかった矢が彼女の体に突き刺さった。
「大丈夫、貴方は逃げて!」
「貴方を放ってなんて行けないわ」
「逃げろって言ってるのよ! 貴方はこの国を取り戻すために必要なの、私一人の犠牲なんて捨てていきなさい!」
私のせいだ、私が敵の挑発に乗ったばかりに。
セレスティナは止めてくれたのに、星槍を手に入れたことで調子に乗ってしまっていたんだ。
「一気に止めをさせ! 第二射放て!」
再び降り注ぐ矢の雨にもう一度スターゲイザーの光で防ぎきる
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いったい何人いるのだろう、私たちはすっかり敵へに囲まれてしまった。
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