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瑠璃side
しおりを挟む何が起きたのか全く分からないが、遠くからあいつらの叫び声が聞こえてきたので、あいつらの方がやられたことは分かった。
「瑠璃!!
よかった、無事で!!
無事って言っても酷い有様だけど、本当に生きててよかった!」
太陽の声が近くで聞こえた。
ぎゅっと手を握りしめられて、その温もりに幻聴でも何でもないことがわかった。
太陽!!
よかった、本当に
本当に、無事でよかったっ
泣きそうになったけど他にも人がいると思い出し、力が入らない手で太陽の手を握り返し、目は見えないけど必死に太陽の方に向こうとした。
「待て
暫くルリは休ませる
トリス、クラルを呼んでくれ
それと、人族の王共はあそこに放り込んでおけ」
低くて冷たい声が上から聞こえて、思わず固まった。
さっき、俺と話していた時と全く違う・・・
同一人物だよな?
「畏まりました」
「ヒナちゃん、ルリちゃんが心配なのはわかるけど、先に休ませないと」
ヒナちゃん!?
それにルリちゃん!?
「ああ、わかってる
だけど、瑠璃の側にいる」
太陽はその呼び名を受け入れているのか・・・
仲、いいんだな
でも、ルリちゃんは勘弁してほしい
「・・・
勝手にしろ」
太陽が側にいてくれるのは有難い
太陽が素で話しているってことはこの人達は信用できるって事だけど、会って間もない人達とずっと一緒にはいたくねえ
はあー
俺、これからどうなるんだ?
目が見えないからどこに連れて行かれたのかわからないけど、俺を運んでくれてるこの人が時々俺を気遣ってくれていることはわかった。
優しい人なんだろうな・・・
暫くすると、突然声が聞こえた。
「魔王様」
その事に俺はビクッと体が跳ねた。
ビビった
・・・気づいてないよな?
突然聞こえた声だけに驚くなんて、情けなさ過ぎて気を紛らわすためにもぞもぞと動いた。
そんな俺に、じっとしていろと言っているのか、ぎゅっと俺を抱き寄せた。
あ、あー・・・!
やめてくれ
今更ながら今抱かれている状況が恥ずかしくなってきた
「クラル、俺の部屋に運ぶ
すぐにルリを診てくれ」
「畏まりました」
「え!?どう、「しーっ」」
「ヒナちゃん、野暮ってものだよ?」
「はあ!?」
太陽が何か叫んでいたけど、誰かに口でも塞がれたのかそのあとの会話は聞こえなかった。
それより、この人の事、魔王様って言ってなかった?
・・・マジで!?
俺って魔王様に運ばれてるのかよ
ますます、大丈夫なのか、俺・・・
でも、そっか、この人が、魔王なんだ
なんか、納得だ
だから、どことなく安心感みたいなのがあるのか?
気を抜くと、すり寄ってしまいそうになる
・・・
って、いや!
俺が今、満身創痍なだけだよなっ
そうに、違いねえ!
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