魔王の番

にーにゃ

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「ええ、ええっ
やはり直接わたくしに仰りたかったのですねっ」




「・・・
我は誰とも婚約するつもりはない
それはローゼ殿下、そなたともだ」



俺にはもう、ルリという番がいる
まだ、ルリには何も話してはいないが
この件が片付いたら話すつもりだからいい
そうでなくとも、今目の前にいる俺の言葉すら理解できない者などと婚約するつもりは一切ない



俺の言葉を理解できているのか出来ていないのか分からないが、驚いた表情を浮かべた後暫くすると、再び期待に満ちた眼差しで俺を見てきた。




「・・・、まあっ、分かりましたわ
オブシディアス魔王陛下、少しの間人払いをお願いしますわ」




婚約の件についてあっさりと了承したローゼに、婚約の件で来たのではないのかと少し疑う。
取り合えずローゼの要望通りに人払いをした。



「これでよいか」




「ええ、感謝いたします
これで、2人きりですわね」




それがどうしたと言うのか
それに、完全に2人きりではない
主な使用人は下がらせたが、至る所に護衛が隠れている




「それで」



人払いさせた目的は何かを聞くために促す。



「嫌ですわっ、オブシディアス魔王陛下
これで話しやすくなったのではありませんか?
わたくしはオブシディアス魔王陛下のお心の準備が整うまでお待ちしますわっ」



・・・・・
何を言っているんだ




ローゼの言葉に絶句する。
ここまで話が通じない者とは思いもしなかったからだ。



何故、この者に時間を割けなければならないのか
怒りが込み上げてくるが、ぐっと我慢をする
このような頭の弱い者でも、一大国の王族なのだ
もしローゼを殺しでもすれば、スマラグドス王に何を要求されるのか、或いは取り上げられるか
自国が不利になるような事だけは避けたい



痛む頭をおさえ、ローゼを見る。




「決心がついたのですね」




・・・・・




「そなたは我との婚約の件について話しているのか」




「・・・」




「答えなければ我は退出しよう」




答えないローゼに席を立つ振りをする。



「えっ!お待ちになって!
そうですわっ
わたくしはオブシディアス魔王陛下のお言葉をお待ちしておりますっ」



焦ったようにそう言うローゼ




「婚約の件については親書にて返事をしただろう
そして、我の言葉でもそなたと婚約はしないと言ったはずだ
これ以上、何を申せと?」




冷たく言い放つ




「そっ、そんなっ
わたくしのこの美貌に惚れていたのではないのですか!?
わたくしを好いていたではありませんかっ
どうしてっ、そのような酷い事を仰るのですかっ」




「何を勘違いしたのか分からぬが、そなたを好いたことなど1度もない
話は以上だ」








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