魔王の番

にーにゃ

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力なく俺の胸に手を付いたまま俯くルリ
何かの魔道具でルリにとって辛い記憶を呼び起こしたのかどうか分からないが、精神が壊れる程辛い時に、側にいなかった己に心底悔やむ。




「・・・ルリ」




俺の呼びかけに、ルリが応えるように見上げる。
先程まで拒絶の色を映していたルリの瞳には、俺を拒絶する気配がなく、むしろ温かな眼差しで俺を映しているルリの瞳に驚愕した。




・・・元に、戻ったのか・・・?




「・・・ラス」




ニッコリとスマラグドス王の遣いの者たちが来る前に時折見せていた笑顔で俺の名を呼ぶ。




「ルリ?」




元に戻った、のか?
だが、何故これ程に違和感を感じる




そう、その一瞬の油断だった。
突然、何の前触れもなく、俺の胸を強く押したのだ。
するりと俺の腕の中から抜け出し、強く俺の胸を押した反動でそのまま後ろに倒れるルリ
咄嗟に手を伸ばし、ルリの腕を掴んだ。
が、視界の端にカーネリアンからの攻撃が見え、考えている暇などなかった。

即座に俺の腕の中にルリの腕を引っ張った反動のまま抱きしめる。



「ぐぅっ!!」




カーネリアンの攻撃をくらい、その勢いのまま吹き飛ばされる。
チラッと見えた先は、壁
激突は免れないが、ルリが怪我をすることだけはあってはならない
力を振り絞り、ルリを抱えたまま体の向きを変える。



バンッ、ドサッ



「ウッ、、ハッ、」



壁に激突した衝撃で一瞬、息が詰まる。
手に入れていた守護の魔道具で致命的な傷は避けられたものの、近距離からのカーネリアンの攻撃に耐えられなかったのか、背中全体が物凄く熱い




「ん、」




モゾッとルリが俺の腕の中で動いたのを見て、




「ルリ、何処も痛くはないか」




若干重い腕を持ち上げて、ルリの頬に手を添える。




「ん、何があったんだ」




何が起こったのか分からない様子のルリ
俺の胸に強く顔を押し付けていたからか、目を擦りながらゆっくりと俺の方を見た。




「ラス?」




「ああ、何処も怪我をしていないか?」




見たところ、出血は見られないか問題ないと思うが




「え、、ああ」



ルリは戸惑いながらも、己の体を確認して頷いた。




「、そうか、良かった」




その事に、安心する。


が、



パチッパチッパチッパチッ



「ふむ、お見事です
身を挺してその召喚者を守りましたか」




安心したのも束の間、カーネリアンがニヤニヤしながら手を叩き、近づいてきた。




「カーネリアン・・!」




咄嗟にルリをかき抱き、カーネリアンを殺気を込めて鋭く睨みつける。




「え、守る?」




ルリが俺の腕の中でボソッと呟いた。
ルリが発した言葉は本当に小さな声だったはずだが、カーネリアンには聞こえていたらしい






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