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しおりを挟むホリーは学園の3年生になり、卒業まであと少しとなっていた。
そんな時、自国に帰ったドーソンから手紙が届いた。
内容は、魔道具師になりたいと言った、ルドルフのことだった。
彼の『面白い話』はゲルツがガーランド公爵の子ではないかもしれないという内容。
後に広まったこともあり、ルドルフの話が役立ったかどうかは微妙なところではあるが…
ケンドルが帰るときに、『3年間、10位以内の成績をキープ』を守れたら、身元保証人を紹介することを約束していたらしい。それに加えて、もちろん家族の許可を取ることも約束させられたとか。
その条件をクリアし、魔道具師の試験にも合格したのでケンドル様も約束を守ったそうだ。
そのルドルフが『いつか自分が発明した魔道具をホリーが嫁ぐ伯爵家に見せに行きたい』と魔道具師になれるきっかけを作ってくれた私に感謝しているという内容の手紙だった。
きっかけを作ったのって私?ケンドル様よね?
まさか、嫌がらせされた私を助けにドーソンがケンドル様たちとやってきたから?
つまり、嫌がらせがなければ隣国の人との接点もなかったと言いたいのね。なんか複雑。
だけど、頑張ってくれたらいいな。
卒業したら、すぐにヴィクトル様と結婚する。
ケンドル様とキャロライン様よりも早く。
その争いは何?と思ったけど、卒業して寮を出たら式までは実家に帰るものだと思っていたの。
だけど、卒業してから結婚式までの期間を開ける意味がわからないってヴィクトル様が。
そう言われればそうなんだけどね。
学園の休みの度に伯爵家にも行っていたから、すっかり馴染んでしまったし。
こちらの社交界もキャロライン様や友人たちのお陰で不安はあまりないし。
男爵令嬢なのに私の後ろに隣国の公爵家が見えるせいか、あるいは将来の伯爵家の嫁だからか、嫌味を言われたり蔑まれたりすることがないのはホッとする。
マナーに関しては、母に感謝するしかない。
母みたいに公爵令嬢として育っていないので、公爵令嬢になるのは抵抗があった。
男爵令嬢として育ってきたけれど、おそらく普通の男爵令嬢より厳しく育てられた。
伯爵家に嫁ぐことになって、正直、ここが心地いい立場かも?と思ったけれど、上と下に挟まれるのもなかなか微妙な立場だと気づいて…
やっぱり貴族の爵位って面倒だわ。
学園を卒業して、ヴィクトル様と結婚した。
初夜は……ガッツリといただかれてしまい、疲労困憊の私をニコニコしながら介抱してくれた。
結婚前よりも更にスキンシップが過剰になってる。
夜になると、子犬が狼さんに変身するけれど、ヴィクトル様といると幸せだと思えるわ。
その数日後、びっくりする報告を聞いてしまった。
それはなんと、『侯爵』位になるということ。
え?なんで?
数年前に不祥事で消えた侯爵位があって、伯爵位の中で功績を挙げたのがうちの伯爵家で、その功績の中に私の実家との薬草も入っていて…つまり国に認められたということなんだけど、結婚したこのタイミングってひょっとして侯爵になるのが結婚待ちだったってことじゃない?
つまり、伯爵家に嫁いだつもりだったけど、初めから侯爵になるのが決まっていたってこと。
騙された気分だわ。……でも、侯爵位って意外と一番いいかも…ね?
<終わり>
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