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ざわざわとした中、みんながチラチラと視線を向けているのは10歳くらいの令息。
今日はオリアナ王女殿下の8歳の誕生日パーティーで、近い年頃の令息令嬢とその親が招待されていた。
公爵家と侯爵家、それと伯爵家の一部の上流貴族のみであり、王女の配偶者及び友人を見定めていく場でもある。
王太子夫妻とオリアナ王女殿下が登場してパーティーが始まり、贈り物を渡すための挨拶を交わす時にソレは起こった。
「あら。あなた、お父様そっくり。私のお兄様?」
オリアナ王女殿下のその言葉に、場は凍り付いたかのように静まった。
言葉をかけられた令息は苦笑している。
誰もが王太子殿下に注目する中、その王太子殿下の視線は令息の母親であるディアンヌ・デルード伯爵夫人を見つめて動かなかった。
ただそれだけで、察しの良い貴族たちはわかった。
この令息は、『王太子殿下の隠し子』だと。
何事もなかったかのように、パーティーはそのまま続けられた。
しかし、誰もが頭の中では過去を思い出しつつ、デルード親子をチラチラと見ていた。
デルード伯爵はにこやかな表情で、妻子と話をしている。
ディアンヌ夫人にも動揺は見られず、にこやかだ。
その様子が周りには不気味だった。
伯爵は実子ではないことを知っていた?
夫人は王太子殿下と不貞をした?
いや、結婚前に妊娠していた?
忘れかけていたが、ディアンヌ・デルード伯爵夫人は、過去に何度か社交界で話題になった女性だ。
ディアンヌは、もともとは今の夫であるフランクと婚約していた。
だが、学園卒業後に結婚したのはフランクの父親とだった。
息子の婚約者を父親が奪ったのか?
ディアンヌが年上好みだったのか?
フランクに別の女性ができたのか?
デルード家が何も話さないため、誰も経緯を知らなかった。
もちろん、フランクの父親バレックは妻と離婚して独身であったため、ディアンヌと結婚しても問題ない。
だが、息子と同じ歳という若い令嬢をバレックが自分の妻にした理由は謎だった。
しかも、バレックは結婚半年ほどで事故で亡くなってしまったのだ。
それだけ聞くと、婚約者を奪われた息子が父親を殺害したのではないかという無責任な噂も流れたが、紛れもなく事故で、バレックの他にも一緒にいた護衛が暴走馬車に撥ねられた。
御者が居眠りをして御者台から落ちてしまい、制御不能となった馬車だったのだ。
そして、喪が明けてからフランクとディアンヌは結婚したのではなかったか。
それから1年も経たないうちに、子供が産まれたのではなかったか。
その時の子供が、今ここにいるルドルフと呼ばれた子供のはずなのだ。
だが、そのルドルフは王太子殿下の隠し子のようだ。
一体どういうことなのか。
オリアナ王女殿下の誕生日パーティーは、誰もが笑顔の中、頭の中は『???』だった。
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