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フランクの予想通り、ディアンヌは3日後にデルード家に帰ってきた。
この10年、どこかに閉まっていた女としての色気を纏ったまま………
「おかえり、ディアンヌ。随分と貪られてきた感じだな。」
「……ただいま。恥ずかしいから言わないで。」
ディアンヌもさすがにわかっている。あれは単なる子作りとは言い難い。
閨指導の時は、初めて経験したことで性欲が治まらず夢中になっているのだと思っていた。
請われるまま延長し、愛妾を断り、関係は終わった。
キャサリン王太子妃殿下と閨を共にしていなくても、側妃を断っていても、ウィルベルトには今までに何人かの愛妾がいたと思っていたし、愛妾がいない時は娼婦を相手にしていたのだと思っていた。
だから、キャサリン王太子妃殿下にお会いした時の言葉に驚いた。
ルドルフと登城した夜はウィルベルトに長い時間抱かれていたため、翌日起きたのは朝も遅い時間だった。
眠る前に今日も明日も泊まるように言われたので、寝過ごしてしまった。
入浴した後、昼食後にキャサリン妃殿下が来られたのだ。
挨拶を交わした後、キャサリンが言った。
「午前中にオリアナと一緒にルドルフに会ったわ。
ウィルベルト様にそっくりだけど、彼よりも愛想が良くて賢そうな子ね。」
……これはウィルベルトを貶しているのだろうか。
「オリアナはお兄様ができて喜んでいるわ。」
「王太子妃殿下との結婚前にできた子とは言え、申し訳ないことを致しました。」
「いいのよ。私たちは政略結婚。側妃や愛妾がいても当然だと思っているから。
彼は私に興味がないし。私もだけどね。
私はね、子供の頃から人見知りで泣き虫だったの。
ウィルベルト様との婚約が決まってお会いした時もね、泣いてしまったの。
誰も知ってる人がいない国に行きたくないって。
嫁ぐ頃には性格も変わるだろうと、我が儘は聞き入れられなかったけど。
彼はその頃から無口な人だったけど、目の前で彼を拒絶した私に心を閉ざしたわ。
だから、婚約中も結婚後も公務以外で会話は続かないわ。」
ディアンヌは驚いた。
ウィルベルトは、よく話すし、よく笑う。閨事でも情熱的で何度も求めてくる。
「だから、オリアナを妊娠した時にホッとしたわ。一人産めば嫁いだ面目が立つ。
あとは側妃に産んでもらえばいいと思って。
そう告げた時、彼もホッとしていたわ。彼も義務で仕事のように感じていたから。」
「ですが、側妃はいませんよね。」
「ええ。彼は愛妾すらいたことがないわ。一度、娼婦が呼ばれたと耳にしたことはあるけれど。」
「では一度だけでなく、こっそりと娼婦を招いていたのでは?
側妃が決まらず、性欲はそちらで、とか。」
「いえ、本当に一度だけみたいなの。
側妃を断るのは性欲がないと言ったとかで、試しに娼婦が呼ばれたのではないかしら。」
性欲がない?そんなバカな。ありすぎるほどだと思いますが?
そんな心の声が顔に出たのか、妃殿下が言った。
「彼が抱きたいのはあなただけなのではないかしら。
私との義務から解放されたら、他の女性に触れたくもなかったから性欲がなくなった。
それなのにあなたを公妾にしたのは、彼の望みがあなただけだから。」
そんなこと、思いもしていなかった。
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