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ディアンヌもウィルベルトとのことを何も考えていなかったわけではない。
だが、まだ12歳のルディアの母なのだ。
優先すべきはルディアで、ウィルベルトではなかった。
ルディアの結婚後は、ウィルベルトが望むのであれば離宮か、あるいはデルード家の近くで一緒に住むことも考えていた。
「あなたがルディアに会いに来ていたことは公にはなっていなかったけれど。
毎日ここから王城へ向かうと、怪しまれそうだわ。」
フランクという夫がいるのに、ウィルベルトという愛人を連れ込んでいる妻よね?私って。
「好きに言わせればいい。もう退位したんだ。愛する人の側にいたい。それだけだ。」
何度もディアンヌを諦めてきたというウィルベルトは、こうして毎日一緒に過ごせる時間を諦めたくないと言う。
ディアンヌは、自分の何がそんなにウィルベルトを惹きつけているのかはわからないけれど、ここまで愛されて嬉しくないはずがなく、ディアンヌにとっても今更別れることなど考えられない大切な人だ。
「ディアンヌ、今更な確認だが、閨指導係の時に渡された避妊薬は全部飲んでた?
それとも……意図的に飲まないことがあった?」
今更だ。とても今更だが、ルドルフがいることを知って13年も経ってから聞かれるとは思っておらず、引きつった笑いで答えるしかなかった。
「なるほどな。しかも、私の子供が欲しくてというわけではなく、デルード家のためだろう?
ルドルフがディアンヌに似ていたなら、私は知らないままだったのだからな。
でも結果的に今、私はディアンヌと共にいる。それで満足だ。」
共にいるのはデルード家で、ですけどね………
そもそも、ディアンヌがフランクと離婚して後宮に住んでいればこんなことにはならなかったのだが、ディアンヌはどうしてもフランクとデルード家を見捨てられなかったためにルディアを産んだ。
そしてルディアを産んだからと産み捨ててウィルベルトの元に行く気もなく、後宮に泊まる時もあればウィルベルトがルディアに会いに来る日もあるという変な関係が12年も続いていた。
そのためにルドルフが犠牲になってしまったが、あの子は王太子になっても国王になってもそれなりに楽しんでいるし、自分も家族を持ってウィルベルトの気持ちもわかるという。………とても出来た息子だった。
少なくともルディアが18歳になり結婚するまでのあと6年は、ウィルベルトはデルード家に住んで王城に通うという新しい形になるようだ。
ウィルベルトの侍従である、ギルはデルード家までついてきた。
彼は独身で、ウィルベルトの身の回りの世話をすることに栄誉を感じている。
そう栄誉。
ディアンヌの閨指導係も栄誉ある仕事だと熱く語っていたあの男だ。
そうかも?なんて思って気軽に引き受けたけれど、こんな未来が来るとはね。
ウィルベルトを迎えに来たり遊びに来たりするウィルベルトの側近で昔からの友人トールは、ディアンヌの顔を見て笑うことがあった。
理由を聞くと、学園でのディアンヌとフランクの会話をウィルベルトとよく聞いていたという。
そこで一方的にディアンヌのことを知っていたのか、と腑に落ちた。
大笑いしたのが、ディアンヌの兄が研究したいキモチワルイ内容のことや、『悪魔の人形』の話とか……と言われたので、『悪夢を見る呪いのお人形』だと訂正したらお腹を抱えて大笑いしていたけど。
とても変なデルード家だけど………みんなが幸せならいいかな。
<終わり>
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