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しおりを挟むグレッグからロザリーが娼婦だと言われ、衝撃を受けた。
おそらくロザリーは、元婚約者であるアドバスに娼婦になったことを知られたくなかったから王都に戻って来たばかりだと僕の勘違いに乗ったのだろう。
1年前に隣国から戻って来たが、平民になっているのでおそらく仕事が見つからなかったのだ。
稼げると声をかけられた仕事が娼婦で、客の身元がしっかりとして金払いがいいから始めたのかもしれない。
公爵令嬢に言った言葉はひどいが、バレてしまったからには助言をしようと思ったのではないだろうか。
娼婦という仕事に誇りを持って、堂々と。
それが逆に侮辱されたようにまだ若い令嬢には思えたのではないか?
そんな風に思った。以前のロザリーは優しく、それでいてハッキリ言う女性だったから。
だが、グレッグの次の言葉に、戸惑いを隠せなかった。
「さっきから彼女が踊っている相手、全員が彼女の客だった男だよ。中には婚約者と参加している男もいるってのに居心地悪いだろうな。今までなら関係を持った客とはもう関わらない約束で男が望まない限り踊ることは契約違反らしいがな。ほら。ご自慢の胸を男に摺り寄せているぞ?お前と来てるってのに節操がないよな。彼女がこの1年で客を取った人数68人だよ。もちろん、仲介した人数が、だ。それ以外の日は勝手に男を誘っていたらしいぞ。実態を知ったらどう思った?彼女が愛人だなんて知られると自分の女を派遣して弱みを握ろうとしているんじゃないかって疑われるぞ?68人のほとんどが婚約者もいる若い貴族令息なんだから。」
人数に驚いた。いや、娼婦なら少ないが。具体的すぎて引いた。
そうか。公爵令嬢の件もそうだが、客だった男に『婚約者にバラされたくなければ……』という脅しをかけることもできる。というか、ロザリーに会えば脅されているような気分になるかもしれない。
これは、よくない。
娼婦という仕事をしているロザリーが、関係を持った男たちが大勢いる場所に堂々と現れていることが異常で、更に目立ちたいと言っていた彼女の神経を疑う。嫌々娼婦をしているのではないことは明らかだ。
彼女はもう、僕が知っている昔のロザリーではないのだ。
もう未練は、ない。
グレッグは僕の役割を言った。
「お前は8日前、偶然元婚約者に出会った。王都に戻ってきたばかりだと言った彼女を怪しんで、見張ろうと思った。結婚した自分の邪魔をする気じゃないかと思ったから。あ、彼女をどこに連れて行ったんだ?」
「最初の2泊は宿に。それからは部屋を借りて今月と来月の家賃は払った。」
「なるほど。それも自分が見張るつもりだったと言えるだろう。問題は公爵の方だ。彼女が捜索対象に似ているのに言わなかった理由としては、妻に危害を加えないかと心配する気持ちが大きくて気づけなかったというしかない。
だが、俺からダンスパーティーと捜索対象の話を改めて聞き、彼女がそうではないかと気づいた。
公爵令嬢と同じような目に合う令嬢を作ってはならないと思い、関係者に彼女を確認してもらうためにお前が連れてきた。そういうことにしよう。
今、この場で彼女を公爵令嬢への不敬罪として連れ出せば、もうダンスパーティーには参加できないし、関係を持った男たちも知らんぷりできるだろう。」
公衆の面前でロザリーが罪を犯したと知らしめることで、彼女が今後誰かを脅すかもしれないという芽も摘んでしまうというわけだ。
関係を持った男たちは驚くだろう。だが、安心もする。
彼らはいい勉強になるだろう。関係を持った女性が信用できるかどうか。
見る目を養わなければならない。……目を養うのは僕もだが。
グレッグと共にロザリーの元へと向かった。
グレッグは仲間にも合図を送っていた。数人で囲み、連れ出すのだろう。
「ローズさんですね?いえ、ロザリーさん。あなたに不敬罪で訴えが出ています。抵抗すれば捕縛しますので大人しくついてきてくださいね。」
ロザリーの近くから人がいなくなった。
「え?何で?アドバス、どういうこと?」
「君は8日前から僕が見張ってたんだ。このダンスパーティーで君の顔を確認してもらった。」
「……私を騙したの?」
肩をすくめ、どうとでも取れる行動をした。騙されたのはこっちだろう。
ロザリーは連行された。
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