元婚約者に未練タラタラな旦那様、もういらないんだけど?

しゃーりん

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11.

 
 
今、僕アドバスは騎士団を正式に退団してきた。

荷物があったので、伯爵家の馬車に迎えを頼んでいた。それに乗り込み、実家へと向かう。

今後は次期パドレ伯爵として学ばなければならない。

跡継ぎが5年も騎士に専念できたのだ。こちらの未練も、もうない。




そもそも、僕が騎士になりたかったのは初恋が理由だった。

10歳の時だったか。何かの集まりで会った女の子に一目惚れをした。
その子が本で読んだ騎士様に憧れていると言ったのだ。

単純な僕は、騎士になりたくなった。

もちろん僕は、その女の子と結婚したいと両親に言った。
母に、『どのお嬢さんかしら?』と聞かれて見渡した。なかなか見つからない。ようやく見つけたと思った女の子はさっき外で話した時とどこか違った。こんな髪色だったかな?と思いながら、母に女の子を指さした。
『あぁ、あのお嬢さんには婚約者がいるのよ。残念ね』

僕は落ち込んだ。母に名前も聞いたけど忘れてしまった。騎士になることも忘れてしまった。

だが14歳の時に婚約者として紹介された令嬢は、その初恋の女の子だったのだ。
ロザリー。うん。そんな名前だった。髪色も淡い茶色だった。 
あの時母は彼女には婚約者がいると言っていたけれど、解消になったのだと思った。

そうだ。彼女が憧れていた騎士にならなければ!

僕は、学園で騎士科に入りたいと父に頼んだ。
父は騎士になることに難色を示したが、卒業後5年間だけという約束をもぎ取った。つまり23歳からは跡継ぎの猛勉強をしなければならないが。

ロザリーに騎士になることを告げると驚いていたが、頑張ってねと言ってくれた。
『鍛えたいの?』とも聞かれたが。

僕は頑張った。たとえ5年でも彼女が憧れていた騎士を名乗るために。

騎士科を卒業後は、1年間は訓練が続く。なので卒業1年後に結婚式をすることになった。

訓練は最初の4か月は体力作りに座学。1年後に希望する部署や配属先がどんな業務であるかを学んだ。
そして野営をしながら西の辺境まで移動。3か月実習。
一度王都に戻り、次は東の辺境まで移動。3か月実習。
それを終えると配属先が決まるのだ。

そして西の辺境に行っている時にロザリーが駆け落ちをした。

一度、王都に戻ってきた時にそれを聞かされた。既に婚約解消になっていた。

僕の婚約者が駆け落ちしたことを知った同僚たちは、『騎士は浮気しやすいし浮気されやすい』と変に慰めの言葉をくれた。

僕は、何のために騎士になるのかわからなくなりながらも実習を最後までこなした。

配属先は王都の巡回という貴族としては人気のないところを選んだ。
ロザリーが戻ってきた時に、街で見つけられるかもしれないと思ったからだ。
彼女は実家から除籍された。もう貴族ではない。それはわかっている。
だけど、ロザリーがなぜ駆け落ちしたのかが僕にはわからなかった。

彼女は後悔して、必ず僕のところに戻ってくる。そう思い続けることが騎士を続ける意味になった。
 
しかし、少しして実家に呼び出された。
新たに僕の婚約を結んだという。

勝手なことを……僕が会わなければ婚約解消されるかもしれないと思い、婚約者に会わなかった。

だが、両家は着々と結婚式の準備を整え、僕は祭壇の前に立たされた。
どうでもよくなり、誓いの言葉は述べた。
ベールを上げるように言われ、ようやく見た僕の妻は……美人だった。
キスをどこにしたのかさえ記憶にない。

いつの間にか伯爵邸に戻っていて酒を飲んでいた。
侍従に『奥様となられたロザリア様が寝室でお待ちですよ』と言われた。
ロザリア?僕の妻はロザリーだ。そう思ったことは覚えている。

だから、僕はロザリーのつもりでロザリアを抱いたのだ。

朝、目が覚めて驚いた。髪色はロザリーと似ている。だが、目の色は違う。
思わず『うわぁっ!』と言った。ロザリーじゃない。え?ロザリアと言ったか?なんて紛らわしい名前なんだ!何度もロザリーと口走った気がするぞ?

ダメだダメだ。僕はまだロザリーを愛しているんだ。
 
『離婚してほしい』これは、妻に対する誠実さを示すつもりで言ったのだ。
……思い返せば不誠実極まりないが。

だが、ロザリーを愛している僕は、この3年間に何度も妻に離婚を切り出した。断られたが。

 
そう言えば、結局妻はどういうつもりで離婚を断っていたのだろうか。


 
 




 

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