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しおりを挟む次の日、ジュリアはリーザロッテの屋敷を訪れた。
「いらっしゃい、ジュリア。さあ、こっちよ。」
明るいサンルームにティータイムの用意がされていた。
「お兄様の案がどんな方法かわからないけど、いろいろ考えてみましょ。」
「ありがとう。助かるわ。」
そこにユリウスもやって来て、お茶を飲みながら話を始めた。
「俺たちの従兄弟にルシオっていう男がいるんだけど、ルシオの友人の妹の話なんだ。
その友人の親が妹を老人に売るらしい。
売るって言っても結婚はするから、ひどい扱いになるわけではないらしいが…
跡取りも孫もいる老人だから、子供はつくらない。好色老人の閨の相手ってわけ。
純潔の娘を子供も必要ない老人と結婚させる意味がわからないと思ったが、金が理由だ。
持参金不要で金は貰える。親が承諾したらしい。
その妹はイーサンに憧れを抱いているらしい。
既婚者になれば、相手をしてもらえるかもしれないと期待したが、老人はもう領地から出ない。
未亡人になるのが何年先かもわからない。
だから結婚前の今しかイーサンと会える機会がないかもしれない。
子供が必要ないなら、イーサンに純潔を捧げたいと言ったらしい。
既婚のフリをしてうまく誘えないか。
イーサンにも老人にもバレなければいいのではないか?と。」
「お兄様、それのどこが婚約解消に繋がるのです?」
「無理矢理、純潔を奪えば家門ごと罰せられる。
しかし、同意があれば純潔を捧げても罰せられはしない。
そして、子供が出来た場合、結婚を迫られれば男が未婚の場合受け入れることになる。
イーサンは避妊魔法をかけるだろうが、先に妹の体を魔法無効の状態にしておけば…」
「妹さんは憧れのイーサンの妻になり、子供も産める。
老人の金はイーサンの家が返せばいい。
イーサンはどっちにっしろ浮気三昧。
ジュリアはイーサンから逃れられ婚約解消できる。
いけるかも?」
「妊娠したら魔法無効がバレて怒らないかしら?」
「なんで避妊効果がなかったかなんて詳細に調べない限り大丈夫だ。」
「でも、もし子供ができていなかった場合は?」
「その時は…そうだなぁ。
じゃあ、イーサンと妹が関係を持った直後にルシオと妹の兄に目撃させたらどうだ?
結婚前の妹の純潔を奪ったと言って責任を取らせるんだ。」
「妹さんの演技力が必要だわね。」
「もし、上手くいかなくても純潔の未婚女性を相手にしたことになるわ。
お父様に婚約解消を上手く説得するキッカケになるかもしれない。」
その後、ユリウスからルシオ、ルシオから友人と妹に作戦が伝えられた。
妹さんは大変乗り気になり、指示された演技を張り切って練習しているらしい。
好色老人よりも憧れの浮気三昧男の方が断然魅力的だそうだ。
そして決行と定めたパーティーの日…
イーサンとジュリアは相変わらず入場後、別行動。
イーサンのお相手はいつも三回前後で交代。
浮気相手に執着しない、貴族間のルールみたいなものである。
相手に恵まれなければ、再び…と馴染みの相手もいるらしい。
本日のお相手を見定めているイーサンのところに、一人の女性が向かった。
「ごきげんよう、イーサン様。お噂をよく伺っていましたのよ?お会いできて嬉しいわ。」
「こちらこそ、お美しい方。お名前をお聞きしても?」
「ええ。キャシーと申します。私は前バロッディ侯爵様の…」
「あぁ。そうでしたか。お美しいキャシー様、是非あなたと語らいたい。お手をどうぞ。」
「え?ええ。どちらへ?」
「あなたに相応しい素敵なところへお連れします。ご満足いただけるかと。」
「そう?案内していただけるかしら?」
「もちろんです。」
二人がパーティーを抜け出ていく。
こっそり様子を伺っていたリーザロッテとユリウス、ルシオとその友人ロウは感心していた。
「あざやかな手口だなぁ。語らいたいって体でってことだろ?」
「満足できる素敵なところって、絶頂させるくらい気持ちよく感じさせるって意味だよな。」
「そういう意味ですの?言葉通りではないのね。
それにしても、キャシー様はうまく誤魔化せましたわね。」
そう、キャシーは前バロッディ侯爵様の…と口を濁した。
正確には、妻になる予定である。と続き、まだ結婚していない状態だ。
だが、イーサンは、妻である。と既婚者だと認識したのだ。
その上、リーザロッテのように男女の駆け引きや潜む隠語に気づかなければ、周りから見ればイーサンはいつも通りの浮気へのお誘い、女性側は単に素敵な場所でお話をするだけ。という男女の認識の違いが生じる。
そう思わせる会話になるよう誘導し、後にキャシーが不利にならないようにしたのだ。
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