夫の子ではないけれど、夫の子として育てます。

しゃーりん

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そして『酔っ払って岩に頭をぶつけて死んだ男』身元がカールだと判明して妻に遺体が引き渡された頃、ラフォーレ侯爵がカールに会いに行ったのだ。


「え?!カールは死んだのか?」

「戻って来ないと思ったら転倒して死んでいたなんて。息子も病気で死んだばかりなのに……
カールの叔父様、埋葬費を出してくれませんか?もう何も残っていないのです。」 

「はあ?何で私が。息子が死んだのなら、やった薬代を返してほしいくらいだ!」

「薬代を?叔父様が?いつですか?」

「半年前くらいだな。」 
 
「……間に合わなかったのね。だから、そのお金でカールは女遊びに走ったんだわ。」
 

カールの妻は金を渡した侯爵のせいだと言うように、彼に殺意を向けてきた。
どこかもう壊れてしまった女なのかもしれない。

どんなに愛し合っていたとしても、貴族として暮らしてきたカールが平民の暮らしに馴染むのは時間がかかったのだろう。
おそらく、結婚前に渡した宝飾品などを売って生活を維持してきたようだが、それも手持ちが無くなった頃に子供が病気になって金に困ったのだ。

売れる物は売り尽くしたといった感じの部屋の中にも刃物くらいはあるはず。

身の危険を感じた侯爵は慌てて飛び出し、一応、母親である自身の姉にカールが亡くなったことを伝えてやった。

『埋葬費くらいは出してやってくれ』と。


侯爵は後に姉から聞いた。
カールの妻は、カールの遺体をそのままにして姿を消していたらしい。 
姉は仕方なく遺体を引き取り、埋葬したとか。
勘当したとは言え、腹を痛めた我が子だから。
しかし、婚約者を捨てて平民女を選んだカールは、他の誰からも参られることもない侘しい場所に埋葬されるしかなかった。
 

 

ラフォーレ侯爵がフォルティアの部屋へとやってきて驚くようなことを言ってきた。


「フォルティア、お前がカールを殺したのか?そうなんだろう?口を封じたんだ!」 


フォルティアは侍女レニと顔を見合わせて呆れた。


「お義父様、無茶なことをおっしゃいますね。妊婦の私が人殺しを?」

「じゃ、じゃあ、そこの侍女がやったんじゃないのか?」


言い掛かりもいいところね。


「誰かに殺されたと聞きましたか?事故で処理されているのではないのですか?」

「そうだが……ほらっ!なぜ知っているんだ!!」


あら。口が滑ってしまったわ。面倒だから侯爵を巻き込みましょう。


「事故で処理されるように兄が対処してくれましたから。」

「やはり、殺したのか!」
 
「私ではありませんよ。殺したのはディカルド様です。」


フォルティアがそう言うと、侯爵は何を言っているんだ?というような表情をした。


「カールという男は侯爵家に金を恵んで貰いに来たようです。
ですが、ディカルド様がカールを突き飛ばしたら、その男は転倒して後ろの岩に頭をぶつけて亡くなってしまって。ディカルド様は自分が殺してしまったことに動転したのでしょうね。遺体から逃げるように走った結果、馬車道に飛び出してしまった。それがディカルド様の死の真相です。」


ラフォーレ侯爵は目を見開いて固まっていた。 
 
 
 

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