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しおりを挟むルーセント子爵家の長女アリアに縁談の話が来た。
相手はテッセン侯爵家次男ヴィンスである。
「本当に、アリア、の方でお間違いないでしょうか?」
ルーセント子爵である父は、しきりに確認をしていた。
アリアは双子の姉で、妹のサリナと間違っていないか念を押している。
「ええ。アリア嬢です。実は領地にいる母の話し相手になってくれないかと思っていまして。侯爵家は時期に兄が継ぎますし、僕は騎士を辞めたら領地で暮らすことになっています。数年は別居のようになりますが、領地は王都から近いので行き来すれば問題ないかと。」
テッセン侯爵と夫人は王都と領地で別居しているらしい。
夫人の体調が理由だとか。
兄夫婦は王都っで暮らしているため、ヴィンスの嫁が一緒に暮らしてくれれば安心ということらしい。
ヴィンスは22歳、アリアは18歳。
昨今の結婚年齢は、男が20~30歳、女が18~25歳になっている。
つまり、二人とも適齢期で間違いなかった。
「領地と王都で別居ですか。」
「ええ。あと三年くらいは。」
「であれば、結婚を三年後にしてもよろしいのでは?」
父の疑問ももっともである。
三年間、婚約者としてお互いを知る期間にすれば問題ないように思えるのに、何故か婚約期間を吹っ飛ばし即結婚を望まれていた。
「……母の望みでして。」
「夫人のお加減が?」
もう長くはないのかもしれない。
「今すぐどうこうというわけではありません。ひとまず入籍を済ませて安心させたいのです。実は明日から遠征でしばらく王都を離れますので。結婚式はそのうち領地でと考えています。あぁ、母と決めれば喜ぶでしょうね。」
「そうですか。」
父は考え込んでいる。ヴィンスの隣にいるテッセン侯爵を気にしながら。
でも、侯爵家からの縁談を子爵家が断れはしないので、父の不安は本当にアリアでいいのか、サリナではないのかというところだと思う。
「お父様、私、ヴィンス様に嫁ぎますわ。」
アリアは笑顔でそう答えた。
「ありがとう、アリア嬢。では早速、婚姻届に署名しよう。」
「領地の夫人に先にお会いしなくてよろしいのでしょうか?」
そこまで急ぐ必要ある?
嫁となる女性を母親に顔合わせをすることなく息子が結婚していいものなのかとアリアは疑問に思う。
嫁と姑は関係が難しいと言われているから尚更。
「っ大丈夫だ。君なら母と仲良くなれるはずだから。」
アリアは首を傾げた。まるでアリアのことを見知っているようにヴィンスは話す。
「私とヴィンス様、どこかでお会いしたことがありましたか?」
アリアはサリナと違い、あまり多くの夜会には出ていない。
それでも、アリアが我が儘な令嬢だという噂があることは知っている。
原因が妹のサリナにあることはわかっているが、アリアは何も言ったことはなかった。
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