諦めていた自由を手に入れた令嬢

しゃーりん

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王家主催のパーティーで、我が国の王子殿下と隣国の皇女殿下が楽しそうに踊っていた。 
 
その姿を見て、シャーロットは諦めていた自由が手に入るかもしれない、と希望の光を見出した。
 


 
シャーロットはマッケンジー公爵家の長女。
父と兄が家族で、母はシャーロットを産んで亡くなったらしい。

そのことで、父と兄からは恨まれて育った。

8歳でニコルソン王子殿下の婚約者になるまで、公爵令嬢とは思えない暮らしをしてきた。
まるで5歳児のような身長しかなかったシャーロットを哀れに思い、王宮で引き取ったのは現在の王妃様の指示だった。

それから十年もの間、シャーロットがマッケンジー公爵家に戻ることは一度もなかった。 



  
シャーロットとニコルソンはあと二か月で学園を卒業する。
その半年後には結婚することが決まっていた。

しかし、シャーロットとニコルソンの仲は決してよくない。
憎まれたり嫌がらせを受けるわけではないが、ニコルソンがシャーロットのことを疎ましく思っていることには気づいていた。

それがあからさまになったのは、ニコルソンに好きな人ができてからだった。

相手は、ナディア・カスピス男爵令嬢。

……せめて、伯爵令嬢だったらよかったのに、と誰もが思ったかもしれない。


実際、シャーロットは国王夫妻に、これまで二度、婚約解消を申し入れてきた。
しかし、ニコルソンの相手が男爵令嬢であるということと、シャーロットの将来を不安に思う王妃様によって、婚約が解消されることはなかった。


しかし、今度こそは受け入れられるかもしれない。
 
王宮でもなく、実家の公爵家でもないところで自由に暮らす希望が見えてきた。




夜会の数日後、シャーロットが王太子妃教育を受ける部屋へと向かっていると、前から宰相がやってきた。


「宰相様、近いうちに陛下にお会いしたいのですが。」

「かしこまりました。後ほど日時をお知らせいたします。」

「よろしくお願いいたします。」


宰相にはシャーロットの考えが読めているはず。
シャーロットが声をかけるであろうと、ここにいたに違いない。

そう思いながらシャーロットが宰相の後姿を眺めていると、声をかけられた。


「シャーロット様、そろそろお時間です。」


彼、マックスは近衛騎士で、この十年シャーロットの護衛をし続けてきた。
侍女は何人も変わったが、マックスだけは変わらなかった。

つまり、誰よりも長くシャーロットと一緒に過ごしてきた者であるため、近衛騎士でありながらまるで侍従でも執事でもあるように、シャーロットのスケジュールまで管理していた。
 

「そうね。向かわないと。」


もうすぐ意味のないものとなる、王太子妃教育。
そもそも、教育自体、とっくに終わっている。
 
 
実際は、ニコルソンが放り出した執務を手助けする時間なのだから。
 

 
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