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しおりを挟む媚薬事件が解決し、シャノンは無事に出歩けるようにもなったが醜聞として噂が広まっている。
そのうち落ち着くことはわかっているが、コソコソ話されるのは鬱陶しい。
そこで、結婚式とパーティーを早くすることにした。
仲の良さを見せつけて上書きする。ということだ。
残念ながら妊娠していなかったので、準備が出来次第、結婚式をあげられる。
一番時間のかかるウエディングドレスについては、いつ何が起こるかわからないこともあって、ベースは仕上がっていた。あとは、その時のシャノンに相応しい装飾をつけるだけなのだ。
入籍した時から、妊娠していれば出産後、あるいは事件解決後に結婚式をするつもりで公爵家では動いていたらしい。
まだ若いシャノンに合ったデザインを依頼し、結婚式はひと月後に決まった。
その間に伯爵邸の二人の部屋も仕上がって、結婚式後は新生活を始めることになる。
既に夫婦ではあるが、ようやく堂々と一緒に過ごせるようになるのだ。
結婚式にはブレッド殿下と婚約者のカトリーヌ嬢も招待すべきかみんなで話し合った。
円満な婚約解消と周りに示したいところではあるが、ただの伯爵家の結婚式に王族を呼ぶというのも不釣り合いかということになり、招待状は出さないことにした。
殿下が公爵になっていれば、出席か欠席かは問題なく招待状を送れたのだけれど。
…と、思っていたのに結婚式にもパーティーにも勝手に出席していた。
おそらく、婚約者のカトリーヌ嬢の父、侯爵夫妻と共に来たのだろう。
別にいいんだけどね。
そのパーティーで、やはり言われた。
『責任を取って結婚するなんてお気の毒ですわね』
どっちが気の毒に思われてる?ライオネル?シャノン?
『責任を取って結婚するのが公爵令嬢なんてうまいことやったな』
これはライオネルに対してだな。
『責任を取って結婚してもらうなんて公爵家が押しつけたのね』
これはシャノンに対してだな。
よし。もっとイチャイチャしよう。
「シャノン、もっと近くにおいで。」
「ライオネル様?」
シャノンの腰を引き寄せて、しばらく見つめ合った後に髪やこめかみに口づけると甘い雰囲気に周りが照れた。
「あのー。お二人は仲が良い?」
「ええ。シャノンの兄のニールは私の友人で、シャノンとも何度も会ってましたからね。
シャノンのことを前から大切に思っていましたが、伯爵令息の自分が交際を申し込むには…
悩んでいるうちにシャノンの婚約が決まってしまい、彼女の幸せを願っていたのです。
しかし、今回の事件で自分が助けられる位置にいたことに感謝しています。
責任を取って結婚したと思われているでしょうが、私は喜んでいますよ。」
「もう。ライオネル様ったら。
責任を取ってもらおうだなんて思ってもいませんでした。
でも、プロポーズはとても嬉しかったですわ。ライオネル様と結婚できて幸せです。」
幸せな姿を見せつけると結婚の経緯なんて他人事だ。
またまたみんなの前でイチャイチャする二人に新たな問いかけがあった。
「ブレッド殿下に未練はないのですか?」
「ブレッド殿下とは半年しか婚約していませんでしたが、数回しかお会いしていないのです。
なので、お互いにわだかまりもなく婚約解消したのです。」
ちょうど、そこにブレッド殿下がカトリーヌ嬢を連れて現れた。
「ああ。結果的にはお互いに合う伴侶が見つけられて良かったと思っている。」
そう言ったブレッド殿下とカトリーヌ嬢の仲の良さに周りも納得した。
「言っておくが、媚薬で女性を落として結婚しようとするのは犯罪だからな。
今後はもっと厳しく取り締まると国王陛下が申していた。
媚薬に対する特効薬も早急に開発するように指示を出された。
シャノン嬢とカトリーヌのような誰にとっても幸運な例は滅多にないのだから勘違いしないように!」
ブレッド殿下にしてはまともなことを言った。
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