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ゼクランが頼んでいたのか、病人食が届けられた。
お腹は元気なんだけど、と思っていたが、襲われた恐怖と高熱で胃も疲れていたらしく、柔らかく優しい味が心を落ち着かせてくれる気がした。
ちなみに、両腕を負傷しているため、ゼクランが食べさせてくれた。
結婚していた時にもこんなことはされたことがないため、恥ずかしく感じてもどうしようもなかった。
紛れもなく、腕を負傷しているアンリエッタは看病されなければ何もできないのだと身に染みた。
しかも、思い出したくもないのにまた思い出してしまったから。
アンリエッタはお手洗いで、全てのことをゼクランにさせてしまった。
下着も後処理も、熱で朦朧とした上、腕を負傷している自分ではできなかった、というよりアンリエッタは目を閉じてほとんど寝ており、ゼクランにされるがままだったという方が正しい。
思い出して赤くなった顔を隠すにも、腕が痛くてできそうになかった。
……熱で朦朧としていた記憶を思い出したことは、また忘れよう。
薬湯を飲んだことも覚えていなかったと言ったことで、ゼクランはアンリエッタがお手洗いでのことも覚えていないと思ったはずだから。
元夫で全てを見られたことがあったとはいえ、今は他人。
羞恥でしかないわ。
そう思ったところに、ゼクランが驚くようなことを言った。
「アン、体を拭こうか。」
「……え!?」
「背中とか、汗で気持ち悪いだろう?君は手を使えないし。君の体は全部知ってるし。」
本気で言ってるの!?
アンリエッタは眉をひそめた後、ゼクランが寝不足でおかしくなったのではないかと思った。
「ははは。冗談だよ。でも、思い出したんだろう?昨夜のこと。さっき、顔が真っ赤になってた。」
「……意地悪だわ。忘れたフリしたかったのに。」
「役に立てて嬉しかったよ。……なあ、アン。ここで一緒に暮らさないか?」
はい!?
何とおっしゃいました?
「私は今でもアンを愛している。」
アンリエッタは驚いてゼクランを見つめることしかできなかった。
「私と再婚することを考えてみてくれないか。……君の体を拭いてくれる女官を呼んでくるよ。」
そう言ってゼクランは部屋を出て行った。
「……一緒に暮らす?愛している?本当に?」
離婚して9年が経ち、アンリエッタはもう29歳になった。
「若い女性と結婚して子供を持つことができるのに。あの人だって、まだ31歳だし。」
出産を望むなら26歳までと言われている。
もう子供を望める歳ではなくなってしまったアンリエッタを選ぶということは、子供は望まないということになる。
「ここで暮らすって言ったわよね?実家に帰るんじゃないの?どういうことかしら。」
再婚を考えてくれと言われても、疑問に思うことがありすぎるわ。
そう思いながらも、ゼクランに愛していると言われて嬉しく思ったことも事実だった。
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