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事件を起こしたのが王宮の女官だったということは王族にも衝撃を与えたという。
彼らの側にいる顔見知りの女性が、同性の女性を襲ったのだから。
「事件は公にはならない。王宮の女官の犯行というのは国の恥を晒すことになるからな。」
確かに、王族に近づける者が起こした凶行とは聞こえが悪すぎる。
「犯人は公にならなくても、私が襲われたと知られることは隠しようがないですね。」
腕の傷は隠すことができても、切られた髪が伸びるまでには数年かかるから。
「君の顔はお見合いパーティーで知っている者も多いからな。口止めをしても広まってしまった。人事部には命に別状はないがしばらく休むと伝わっている。」
「そうなのね。」
「心配して医務室を訪れたり、興味本位で覗きに来る奴もいるとかで、ここに移していてよかった。」
「そんなことが?」
「ああ。人の出入りは多いところだからな。あんなところで休めたもんじゃない。」
「それは、ありがとう。」
ゼクランの部屋で看病されることになったのは、そんな状況を先読みしたからだったのかもしれない。
誰になら看病を頼めただろうと考えても思いつかない。
今更、他に移ることもできないため、今日まではゼクランのお世話になるしかない。
ならば、彼の仕事が休みなうちに、彼の真意を確かめようと思った。
「あの、朝の話なんですけど、ゼクラン様はそのうち実家に戻られるのですよね?」
「いや、戻ることはない。そうだな、そのことから話すべきだな。」
戻ることはない。
つまり、マーラー侯爵とも話はついているということね。
「君が侯爵家を出て行った後、母や義姉が君にしていたことをある侍女が教えてくれた。」
「侍女が?どんなことを?」
「義姉の虚言を母が信じ、二人で君を見下す言動をしていたこと。それから、私たちが結婚して一年もの間、義姉より先に妊娠しないよう避妊薬を飲まされていたこと。それが父に知られて避妊薬を飲ませられなくなったために妊娠しにくい日を妊娠しやすい日だと偽って私に手紙を寄こしていたこと。」
実際にあったことばかりだわ。
母や義姉を裏切ってゼクランに報告する侍女がいたなんて。
てっきり、侯爵が話したのだと思ったのに。
「誰が教えてくれたのですか?」
「ジェシカという侍女だったかな。」
「え!?あの人が?」
侍女の中で一番ジェシカが意地悪だったのに。
「彼女は『本当のことを教えてあげたんだから私と結婚して』と言ってきたよ。断ったけどな。」
そういうことね。
ジェシカはゼクランとの結婚を元から狙っていたんだわ。
ゼクランと話すきっかけを作るために、離婚の裏には何が起こっていたかを教えると彼を呼び出したりして気を引こうとしたに違いない。
聞かれたわけでもないのに勝手にペラペラと情報を漏らして結婚してもらおうだなんて浅はかだわ。
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