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アンリエッタは13歳の時、ゼクランと婚約した。
彼は15歳で、学園に入学する半年前だった。
13歳と15歳の私たちは、子供ほど無邪気ではなく、大人ほど世の中は知らない。
しかし、着実に大人へと向かっていく途中であり、五年後の結婚に向けて交流を深めていった。
最初の頃は初々しく、どこか恥ずかしさも漂っていた。
それでも、お互いのことを知るうちに会話も増え、仲良くなっていった。
『アンと呼んでいいか?』と言われた時はもっと近づいた関係になったように思えて、とても嬉しかった。
婚約している間、マーラー侯爵家にも訪れてゼクランの母親に挨拶をしたことも何度かあった。
侯爵夫人はいつもアンリエッタを歓迎してくれていた。
しかし、ゼクランと婚約して一年ほど経った時、ゼクランの3歳上の兄のルシエルが結婚した。
兄嫁がマーラー侯爵家で暮らし始めてから、アンリエッタは侯爵家に呼ばれなくなった。
ゼクランも学園に通い始めていたし、それぞれが忙しいからだと気にしたことはなかった。
やがてアンリエッタも学園に入学し、ゼクランとは一年だけ同じ学園で過ごした。
毎日ではなくとも、昼休憩時を一緒に過ごすこともあり、一番幸せな頃だったかもしれない。
卒業したゼクランは王城で働き始めて忙しくなってしまったから。
ゼクランの兄ルシエルは、あまり賢くないと聞いた。
そのため、次期マーラー侯爵となる兄をゼクランが支えることになっていた。
卒業してすぐに侯爵家の仕事をさせなかったのは、侯爵自身がまだ引退をするわけではないし、ゼクランと比べてはルシエルの頼りなさが浮き彫りになるからだと侯爵から聞いた。
十年くらい外で働かせてから戻らせても、ゼクランなら執務に問題ないと思われていたから。
ゼクランは外で働ける間に、いろんな仕事をしてみたいと思っていたらしい。
自分の力を試したいという思いもあったのだろう。
十年で宰相室にまで行けるか。それを目標にしていた。
宰相室を目指すには、他の部でいろいろと経験を積んでいかなければならないという。
一年ほどで次の部に移ることになるため、覚えることが多い。
アンリエッタはゼクランを応援していたが、二人の時間は以前ほどなかった。
アンリエッタはゼクランと結婚後、マーラー侯爵家で暮らし始めた。
結婚式当日と翌日は結婚休暇でゼクランと一緒に過ごせたが、その後は毎日帰りが遅かった。
忙しい時は泊まってくることもあった。
アンリエッタはゼクランのいない屋敷で、義母と義姉から教わる日々だった。
すると義姉が突然、アンリエッタに暴言を吐かれたと義母に訴えた。
『子供が産めないのではないか』
『侯爵家の子供は私が産んだ子が跡継ぎになる』
アンリエッタがそう言ったと義姉は嘘を言ったのだ。
義姉は義兄の幼馴染で、義母とも仲が良く、義母は完全に義姉の味方だった。
アンリエッタは義姉が妊娠するまで避妊薬を飲むようにと命じられた。
しかも、そのことをゼクランにも義父にも話すことを禁じられた。
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