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一通り聞き終えて、義父がカールストン公爵に言った。
「私は知った事実を国王陛下に上申しなければならない。隠蔽するのは同罪となってしまう。
公爵の気持ちはわからなくもないが、やはり禁術を利用したことは問題でしょう。
ただ、カル・イーストは死に、書物はどこにも流出していない。そしてグレースに罪はない。
そのことを踏まえて、国王陛下に情状酌量を願い出るつもりでいますが、陛下のお心次第です。」
「わかっています。愚かなことをしたということは。ただ、オフィーリアの罪は私に。
あの子、グレースのことは判断が下されるまで、こちらで面倒見てもらえるだろうか。」
最悪の場合、もう二度と会えない。
カールストン公爵はその覚悟でグレースに会いに来たのだ。
「グレースのことはちゃんとお預かりします。」
ブランシェはそう答えた。
「ブランシェ夫人、本当に申し訳なかった。産んでもらったあなたの後のことを考えていなかった。
こんなことを言える立場ではないが、あなたが醜聞に潰されるような女性じゃなくてよかった。
あなたの強さに救われる思いだ。」
確かに?
私は他の女性に比べて、神経が図太いとは思うわ。
離婚されなかったからといって、ひと月もしないうちからお茶会や夜会に出る女性はいないでしょうね。
大半の人が、ブランシェは穢されたと思っているから。
そんな陰口の中、堂々としていられる人は強いと思われるでしょうね。
でもね、男も女も浮気している人が多いのだから、そんな人たちに言う資格ある?って思ったわ。
自分を恥じるよりも、あなたに関係ないでしょ?って態度の方が『あれ?本当に監禁されていただけなの?』って思ってくれるし。
実際に穢されたわけでもないから、余計に堂々としていられるのよ。
ただ、これが未婚の令嬢だった場合はお先真っ暗だったことは確かね。
ブランシェが既婚で、子供二人産んだ後だったから、社交界の噂もそのうち鎮まるわ。
許したわけではないけれどね。
カールストン公爵は最悪の場合に備えていろいろと纏めておきたいので数日時間が欲しいと頼み、帰って行った。
そしてカールストン公爵と入れ違うようにやってきたのは、リンゼだった。
もう、顔も見たくなかったんだけど?
「お邪魔しまーす。ふふ。わかっちゃった。ブランシェ様の産んだ子はカールストン公爵の子なのね?」
まさか、リンゼは見張っていたの?
「高位貴族の男だとは思っていたの。勿体ないことをしたわ。私が産んでおけばよかったかも。」
「あなたが私を身代わりにしたのね?」
「ええ。だって、妊婦になんてなりたくなかったんだもの。」
「でも、アンゼムの後妻になりたかったのよね?」
「だって、もう子供がいるから産まなくて済むし、侯爵夫人になったら優雅に暮らせそうだと思って。」
自分がアンゼムの子供を産んで、その子を侯爵にしたいと思ったわけではなくて、自分が楽に暮らしたいだけだったのね。
でも、侯爵夫人って楽じゃないわよ?愛人の方がリンゼには向いてると思うわ。
アンゼムの愛人になることは、もう許さないけれど。
「出産を終えた私が侯爵家に戻ったら、あなたが後妻になれるはずもないけど?」
離婚されなかった今だから言えることだけど。
リンゼは笑みを浮かべて首を傾げていた。
「あぁ、やっぱり出産後に解放する気はなかったのね。あそこに閉じ込めたまま餓死させようと思った?」
「だって、邪魔だと思ったんだもの。」
リンゼは認めた。
殺人未遂よ。
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