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しおりを挟むフレージュは、女心を弄ぶような男が自分の婚約者なのだと気づき、未来は明るくないと落ち込んだ。
そんな様子を見て、フレージュの兄ローレンスは優しく言った。
「フレージュ、無理して婚約を続けることはない。嫌なら嫌だと言ってくれ。父上に話すから。」
「でも……今のウィリアム様はまだ浮気しているとは言えないんじゃないかしら。それなのに婚約解消を言い出せば、こちらが不利になるのではないの?」
今のウィリアムは、マリエッタのことを知り、彼女の好意に応えるかどうかを検討中といった感じで遊んでいるだけ。
婚約者でもないのに二人で会っていることはよくないことだが、フレージュの許可があるとか言って上手く言い訳するに違いない。
それなのにこちらから婚約解消をすると、支援金を踏み倒されるとか、こちらが悪いわけでもないのに損をする気がする。
「そうならないようにちょっと考えていることがあるんだ。上手くいくかはわからないが、上手くいかなくてもお前がこの先も嫌な思いをするのがわかっているのに結婚する必要はない。
もし、支援金が戻ってこなかったとしても父はトレイル領の領民に役立てばそれでいいと思うだろうし、ウィリアムの行動を見ている者は学園内でも多くいるだろう。ウィリアムが誠実な婚約者だったと思われないことは確かだ。」
父は、ウィリアムのことはともかく、トレイル侯爵のことは信用しているらしい。
婚約が解消になったとしても、鉱山がうまく稼働すればおそらく支援金は戻ってくるはずで、気にする必要はないという。
兄がそう言うのであれば、婚約を解消してもいいだろうか。
ウィリアムはフレージュの前の前でマリエッタを優先したり、貶めるような発言をした。
彼と過ごした時間はさほど長くはないが、彼に好意を抱く前に傷ついてしまった心は今後も修復されることはないと思う。
そして何より、邪魔だと言われたことが許せない。
「私は、ウィリアム様との婚約を、解消したいです。」
兄は大きく頷き、他の四人もそれでいい、そうするべきだと頷いてくれた。
その日の夜、フレージュは兄と共に父にウィリアムのことを報告し、結局、マリエッタがウィリアムに告白してから二週間も経たないうちに、フレージュとウィリアムの婚約は解消されることになった。
トレイル侯爵夫妻もウィリアムの軽率な行動にお怒りで、本人の了承なく決定した。
ウィリアムが婚約解消をいつ知るかは、本人次第。
フレージュとは学園じゃなくても会えると言ったにも関わらず、ウィリアムは休みの日に誘ってくることもなく、彼がマリエッタを捨ててフレージュの元に戻ってくるまで気づかない可能性はある。
それでも構わないけれど……と思っていたが、三か月後、フレージュの次の婚約が決まった。
近々、公表することになり、未だ気づいていないウィリアムに事前に婚約が解消になっているということを伝えておくべきかどうか、悩んでいた時のことだった。
久しぶりに、マリエッタが絡んできたのだ。
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