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しおりを挟む呼び鈴を鳴らしたあと、裸のまま抱き上げて風呂に向かう。
その間にシーツは綺麗になっているはずだ。
初夜だけは、破瓜による出血で汚れることがあるので侍従が控えている。
実際、出血と精液と愛液でドロドロだった。
今日以降は、必要に応じて自分でシーツをはがし、キレイなものに替える。
毎回、侍従や侍女が控えていると女性側が嫌なのだそうだ。
入浴して体を綺麗にする。中に放ったものも可能な限り出した。
また湧き上がる欲望を理性で必死に抑え込んだ。
彼女の体には所有欲の跡がいっぱいだった。…明日、侍女たちに怒られそうだ。
置かれていた丈が長めの普通の夜着を着せて、再びベッドで横になった。…シーツはキレイだ。
眠そうな彼女を腕に抱き、一緒に眠りにつきながら思った。
…あれ?なんだか甘やかしてしまったぞ?これでいいのか?
しかし、問題は翌朝に発覚することになる…
目が覚めると腕の中にセラフィーネがいた。
思わず額に口づけると、彼女が目を開けた。
「おはよう。」
「…おはようございます。…え?何時?」
「まだ7時くらいだ。もう起きる?」
「…ええ。起きなければ…」
「じゃあ、着替えて食事にしよう。」
そう言って呼び鈴を鳴らすと、セラフィーネの私室側の扉が開いて侍女が来た。
「着替えが終わったら一緒に朝食をとる。今日は君の部屋に用意させよう。すぐに行く。」
「わかりました。お待ちしております。」
着替えと食事が終わり、話をするためにソファに座ろうとした時、ノックの音がした後、扉が開いた。
「ごきげんよう、クロード様。フィリーナ、初夜は無事に終わった?」
「は?フィリーナ?…え?君がセラフィーネ?」
「そうよ。私がセラフィーネ。彼女は一応、侍女のフィリーナよ。」
セラフィーネがフィリーナの手を引いて一緒にソファに座った。
セラフィーネとフィリーナは背の高さや髪色、瞳の色も同じだ。違いは…胸の大きさか?
パッと見では似ているが、双子でもない。別人だ。メイクで更に似せるのは可能だろう。
「どういうことだ?昨日の結婚式はセラフィーネの方だったよな。(胸の大きさ的に)
化粧を濃くして彼女の素顔との違いを誤魔化したわけか?」
「そうよ。ほとんど会ってないから騙せると思ったの。
子供は私の代わりにフィリーナが産むわ。だから私には触れないで。」
「馬鹿な!国王や公爵はご存じなのか?君の子に継がせないのか?」
「知ってるわ。だから結婚を18歳まで待ったのですもの。
フィリーナは今16歳よ。2年前の14歳では代わりになれないでしょ?」
唖然とフィリーナを見た。
「申し訳ありません。フィリーナと申します。セラフィーネ様の代わりに子を産みます。
よろしくお願いします。」
「君は…貴族か?平民か?」
フィリーナに聞いたが、セラフィーネが答えた。
「それは気にしないで。フィリーナが産む子は私の子になるのだから。
確かなことは、フィリーナも彼女の両親も犯罪者ではないわ。身元はわかってる。詮索はなしよ。」
「え…どうすればいいんだ?」
「どうもこうも、閨の相手はフィリーナ、子供を産むのもフィリーナ。
私は何もしない。クロード様と結婚した。その事実だけ。
結婚式は私が出たけど、できれば社交はフィリーナに任せたかったの。
でも、伯父様にもお父様にもそれは反対されたの。
だから、最低限の社交しかしないわ。今までもしてないしね。」
「…ここと同様の私室をもう一つ。そう希望したのはセラフィーネの部屋ってことか。」
「そうよ。ここはフィリーナが使えばいいわ。妻が二人。そう思えば?」
…フィリーナはもう純潔じゃない。今更なかったことにはならない。思わず頭を抱えてしまった。
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