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「お生まれになりました。女の子です。」

「まあ!よかったわね、クロード。」

「ありがとうございます。母上はやはり女の子が欲しかったのですね。」

「だって。みんな、娘や孫娘の可愛い話ばかりするのよ?
 フィーちゃんはあまり連れ出せないからねぇ。これから買い物が楽しみだわ!」

「父上。…嬉しそうですね。普通、跡取り息子を願いませんか?」

「別に女の子でも継げるからいいじゃないか。
 私たちの年代ではそう望まれたが、お前たちの時代から変わった。
 名前はどうする?候補はあるのか?」

「いくつかは。セラフィーネにも頼んだけど考えたかな?」



フィリーナと子供に会えるようになり部屋の中に通されると、二人が並んでベッドにいた。

「フィー、大丈夫か?」

「はい。女の子です。抱いてあげてください。」

母上に教わりながら抱き上げた。

「小さいな。温かい。かわいいなぁ。」

うわっ!もうかわいいと思ってしまった。母に子を手渡す。

「フィー、お疲れさま。ありがとう。」

「いえ、女の子だろうなぁと思っていたんです。次に産んでもそうかもしれません。
 どうしましょう?」

…女系なのか?

「別に姉妹でもいいじゃないか。どう思いますか?」

両親に聞いてみた。喜ぶに決まってるが…

「まあ、フィーちゃん。姉妹も素敵じゃない。別にこだわらないわ。
 フィーちゃんが元気で、生まれてくる子供も元気なら何も問題ないわ。」

母上から孫を手渡された父上がニコニコして頷いていた。




フィリーナを休ませるために揃って部屋を出ると、セラフィーネがやってきた。

「女の子だそうね。少し覗いてくるわ。」

「ああ。名前の候補はあるか?」

「私はあまり周りの人を知らないから…お義母様の知り合いにいない名前がいいんじゃない?
 一応いくつかは考えたわ。明日みんなで考えて決めましょう。」

そう言って、部屋に入って行った。



次の日、5人で案を出し合った。知り合いの娘や孫の名前を省く。
そして『リシェル』に決まった。


リシェルは順調に育っている。
ある日、フィリーナが母乳をあげている最中に部屋に入ってしまった。
胸元を隠そうとするが、今更だ。気にするなと言って続けさせた。
母乳のせいか、胸が一層豊かになっている気がする。…触りたい。
乳首をくわえて必死に母乳を飲んでいるリシェルが男の子だったら、腹立たしい気持ちになっていたかも。と考えた自分が大人げない。赤ん坊を羨むなんてバカらしい。


閨事の再開はそろそろ許可が出るはず。
そうすれば、フィリーナは一緒に寝てくれる。
今は別に寝ているが…そろそろ限界だ。


「フィー、そろそろ寝室に戻っておいで。リシェルは夜中は乳母がいるだろ?」

「はい。っあ、でもまだ…明日、先生の診察があります。」

「ああ。許可が出るまではしない。側で寝てほしいだけだ。」

「わかりました。今晩から一緒に寝ますね。」


よかった。嫌がられなかった。俺は何を不安がってる?
子を生んだから出ていく?
いや、姉妹を産む話もしていた。次期公爵夫人の仕事も覚えているんだ。
次の子はいつ頃になったら孕めるようになる?医師に確認しないと。
孕んだ状態では出ていけないよな?ここにいるよな?


…俺の執念が実ったのか、リシェルが生まれてから8か月後、フィリーナは妊娠した。
 
 
 
 
 
 
 
 
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