7 / 22
7.
シェルニアは、チェルシーからハリソンが人気が高いと聞いて驚いた。
「ついこの間まで、いえ、今もかもしれないけれど、一番注目されていた人よ。」
「え……ジャレッド王太子殿下ではないの?」
「ジャレッド王太子殿下ももちろん憧れの存在よ。でもそれは12歳から15歳くらいの令嬢にとって物語の中の王子様のような存在だから。でもハリソン様は現実を見る令嬢たちに注目されているの。」
「王太子殿下は婚約者候補に選ばれなければ近づけないけれど、ハリソン様は公爵令息だから?」
「もちろん、公爵令息という理由もあるけれど、それ以上に容姿が好まれているわ。」
「え……私は好みじゃないわ。」
「それ、人前で言わないでね。それでなくともハリソン様と結婚したことであなたは恨まれているのだから。」
知らなかった。あんながっしりとした体形の人が人気なの?
「シェルニア様は王太子殿下のようなスラっとした体形で爽やかな男性が好みのようだけど、ハリソン様のようなキリっとした美形でがっしりとした男性に守られたいって思う女性は多いのよ?」
そうかしら。少し、暑苦しそうな気がするのだけれど。
「だから、結婚後もアピールしてくる女性は後を絶たないと思うから気をつけてね。」
「わかったわ。」
何を、どう、気をつければいいのかしら。
それどころか、その中から好みの令嬢を見つければいいと思うわ。
離婚後の再婚相手として。
カサンドラに似た令嬢はいるかしら?
シェルニアはハリソンに近づく令嬢を遠くで見ながら、そんなことを考えていた。
結婚して半年が経った。
シェルニアはずいぶんとテック公爵家に慣れてきたように思う。
白い結婚は誰にもバレておらず、妊娠はまだ?という声も聞こえたけれど、気にしない。
先日、ジャレッド王太子殿下とカサンドラ妃殿下が結婚した。
あの場にいるのは私だったはずなのに……と少し恨めしく思ったが、幸せそうでお似合いだと思った。
ハリソンはどう感じたのだろう。もしかしたら、ここにいるのはカサンドラだったかもしれない。
そうなっていれば、こんな離婚前提の結婚なんてすることもなかったと思ったに違いない。
ハリソンとは普通に接している。
周りから見れば新婚の空気など一切ないけれど、淡々と過ごしていればこんな夫婦なのだと思われ始めたようだった。
そして1年が経つ頃、ハリソンに話があると言われた。
「俺たちは白い結婚を2年続けるという約束をした。それは君の希望を俺が了承したわけだが、俺も希望を言わないと不公平だと思うんだ。だから、このまま白い結婚を続けるのであれば俺が遊ぶことを許してほしい。」
白い結婚はハリソンも望んでいたことよね?なのに不公平なの?
「遊ぶことを許してほしいのね?いいわよ。好きに遊べばいいわ。」
「……助かる。黙って遊んでもよかったんだが、一応確認しておきたかったんだ。」
そう言ってハリソンは部屋を出て行った。
あなたにおすすめの小説
二人の妻に愛されていたはずだった
ぽんちゃん
恋愛
傾いていた伯爵家を復興すべく尽力するジェフリーには、第一夫人のアナスタシアと第二夫人のクララ。そして、クララとの愛の結晶であるジェイクと共に幸せな日々を過ごしていた。
二人の妻に愛され、クララに似た可愛い跡継ぎに囲まれて、幸せの絶頂にいたジェフリー。
アナスタシアとの結婚記念日に会いにいくのだが、離縁が成立した書類が残されていた。
アナスタシアのことは愛しているし、もちろん彼女も自分を愛していたはずだ。
何かの間違いだと調べるうちに、真実に辿り着く。
全二十八話。
十六話あたりまで苦しい内容ですが、堪えて頂けたら幸いです(><)
私を家から追い出した妹達は、これから後悔するようです
天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私サフィラよりも、妹エイダの方が優秀だった。
それは全て私の力によるものだけど、そのことを知っているのにエイダは姉に迷惑していると言い広めていく。
婚約者のヴァン王子はエイダの発言を信じて、私は婚約破棄を言い渡されてしまう。
その後、エイダは私の力が必要ないと思い込んでいるようで、私を家から追い出す。
これから元家族やヴァンは後悔するけど、私には関係ありません。
幼馴染が最優先な婚約者など、私の人生には不要です。
たると
恋愛
シュタイン伯爵家の長女エルゼは、公爵子息フィリップに恋をしていた。
彼の婚約者として選ばれた時は涙を流して喜んだが、その喜びもいまは遠い。
『君は一人でも大丈夫だろう。この埋め合わせは必ずする。愛している』
「……『愛している』、ですか」
いつも幼馴染を優先するアルベルトに、恋心はすっかり冷めてしまった。
融資できないなら離縁だと言われました、もちろん快諾します。
音爽(ネソウ)
恋愛
無能で没落寸前の公爵は富豪の伯爵家に目を付けた。
格下ゆえに逆らえずバカ息子と伯爵令嬢ディアヌはしぶしぶ婚姻した。
正妻なはずが離れ家を与えられ冷遇される日々。
だが伯爵家の事業失敗の噂が立ち、公爵家への融資が停止した。
「期待を裏切った、出ていけ」とディアヌは追い出される。
ただ誰かにとって必要な存在になりたかった
風見ゆうみ
恋愛
19歳になった伯爵令嬢の私、ラノア・ナンルーは同じく伯爵家の当主ビューホ・トライトと結婚した。
その日の夜、ビューホ様はこう言った。
「俺には小さい頃から思い合っている平民のフィナという人がいる。俺とフィナの間に君が入る隙はない。彼女の事は母上も気に入っているんだ。だから君はお飾りの妻だ。特に何もしなくていい。それから、フィナを君の侍女にするから」
家族に疎まれて育った私には、酷い仕打ちを受けるのは当たり前になりすぎていて、どう反応する事が正しいのかわからなかった。
結婚した初日から私は自分が望んでいた様な妻ではなく、お飾りの妻になった。
お飾りの妻でいい。
私を必要としてくれるなら…。
一度はそう思った私だったけれど、とあるきっかけで、公爵令息と知り合う事になり、状況は一変!
こんな人に必要とされても意味がないと感じた私は離縁を決意する。
※「ただ誰かに必要とされたかった」から、タイトルを変更致しました。
※クズが多いです。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※独特の世界観です。
※中世〜近世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物など、その他諸々は現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
私は『選んだ』
ルーシャオ
恋愛
フィオレ侯爵家次女セラフィーヌは、いつも姉マルグレーテに『選ばさせられていた』。好きなお菓子も、ペットの犬も、ドレスもアクセサリも先に選ぶよう仕向けられ、そして当然のように姉に取られる。姉はそれを「先にいいものを選んで私に持ってきてくれている」と理解し、フィオレ侯爵も咎めることはない。
『選ばされて』姉に譲るセラフィーヌは、結婚相手までも同じように取られてしまう。姉はバルフォリア公爵家へ嫁ぐのに、セラフィーヌは貴族ですらない資産家のクレイトン卿の元へ嫁がされることに。
セラフィーヌはすっかり諦め、クレイトン卿が継承するという子爵領へ先に向かうよう家を追い出されるが、辿り着いた子爵領はすっかり自由で豊かな土地で——?
【完結】よりを戻したいですって? ごめんなさい、そんなつもりはありません
ノエル
恋愛
ある日、サイラス宛に同級生より手紙が届く。中には、婚約破棄の原因となった事件の驚くべき真相が書かれていた。
かつて侯爵令嬢アナスタシアは、誠実に婚約者サイラスを愛していた。だが、サイラスは男爵令嬢ユリアに心を移していた、
卒業パーティーの夜、ユリアに無実の罪を着せられてしまったアナスタシア。怒ったサイラスに婚約破棄されてしまう。
ユリアの主張を疑いもせず受け入れ、アナスタシアを糾弾したサイラス。
後で真実を知ったからと言って、今さら現れて「結婚しよう」と言われても、答えは一つ。
「 ごめんなさい、そんなつもりはありません」
アナスタシアは失った名誉も、未来も、自分の手で取り戻す。一方サイラスは……。