男女の友人関係は成立する?……無理です。

しゃーりん

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ローゼマリーは、ようやくマチルダの魂胆が読めた。

母であるハークライト侯爵を侮辱したことでマチルダは立場を悪くしたものの、兄ヴィクトルの登場でも引き下がらなかったのは、兄に気に入られればお咎めがなくなると思ったからなのでは? 
 
いかにも物分かりのいい女と思わせて、兄の婚約者・妻の座を狙っているようだけど、無謀ね?

兄は一歳上の婚約者サラディーナ様を大切にしているから浮気はもちろん、婚約解消も有り得ない。

それに、サラディーナ様よりマチルダが勝っている部分って、何もないかも。
親の爵位、美貌、体形、教養、礼儀作法。
あと、癒し系なのにしっかりしていて、可愛いのに美人で。兄好みそのままの女性だから。
 

「……君は何様のつもりだ?自分の立場を理解できていないようだな。
婚約者はおろか、浮気相手すら、今の君が自力で望めると、望まれるとでも思っているのか?」


うわーっ……どうしよう。こんなに機嫌の悪い兄は初めて見たかも。

兄の醸し出す空気で場が凍りつきそうだと思いながらローゼマリーはロベルトを見上げると、彼は笑みを浮かべていた。 
もっとどん底まで突き落せと願っているかのように……


「う、浮気を許すって言っているのに?こんなできた女、逃したくないでしょう?」


あ、どうしよう。

マチルダってとんでもなく勘違い女だったんだわ。
自分は選ぶ側であり、しかも選ばれる側でもあると思っているのね。

浮気されるのは魅力がなくて惨めだと言ったくせに、自分は浮気されても許す。でもそれは、自分に魅力がないからじゃなくて、自分が許可したからだという謎の理論が彼女にはあるのだわ。

裕福で見目のいい男を狙う強かでわかりやすい女の方が、まだ納得できた。

でもこれでは、ただの『痛い女』。

自分で自分を過大評価しすぎているのね。


「いらないよ、君なんか。」
 

兄もこれ以上の会話は無意味だと判断したようで、もうマチルダとは話したくないとでも言うようにそう吐き捨てるように言った。
 

その時ちょうど、予鈴のチャイムが鳴り、食堂にいた者たちはハッとして席を立ち上がった。

ローゼマリーもロベルトに背中を押されるまま教室の方へと向かい、兄はそれを笑顔で見送っていた。

 

午後の授業に、マチルダの姿はなかった。

どうやら、教師もあの場にいたらしく、『著しく問題のある発言をした』として、指導室へと連行されたらしい。
もちろん兄にお咎めはなく、マチルダだけ。 


彼女は学園からは停学処分を受け、その後も学園に戻ってくることはなかった。 

ハークライト侯爵への侮辱発言をしたとして侯爵家からの抗議を受け、修道院で身を律することになったらしい。

貴族籍のままかどうかは知らないけれど、二度とローゼマリー及びハークライト侯爵家と関わることが許されないことになったという。


マチルダの学園生活はわずか三か月で終わってしまった。



 
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