ワケあってこっそり歩いていた王宮で愛妾にされました。

しゃーりん

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朝にルーチェが目覚めた時には王太子殿下はいなかった。

既に陽は高くなりつつある。当然執務に行ったのだろう。

メモ書きが置いてあった。
執務に行くこととゆっくり休んでいるようにということ。また夜に来るということ。 

……お腹が空いた。どうしたらいいのだろう。

寝室を出てみると、侍女が待ち構えていた。


「おはようございます。ルーチェ様。本日担当致しますレミと申します。
 浴室の準備を致しますので、朝食を食べてお待ちください。」

「あ、ありがとうございます。よろしくお願いします。」 


そっか。部屋の準備も出来ていたし、扉の前に護衛もいた。
王太子殿下の愛妾がいるということは通達されているということなのね。


一昨日に王宮に来てから、私の人生は変わってしまった。
……違う。
単なる侍女として働き始めていたとしても、王太子殿下は私を愛妾にしていただろう。
つまり、3年前から逃げられない状況にあったということ。
だけど、あの時に純潔を奪われたことが決定的になった気がする。


なぜ、私なのか明確な答えを殿下本人すら持っていなかったのだもの。私にわかる訳もない。
ただ、逃げられる気はしない。少しでもそんな素振りがあれば、鎖で繋がれる。


私が解放されるのは、彼が飽きた時だろう。 


それがいつかはわからない。
だけど、あんなに嬉しそうな顔をする殿下を傷つけたくはない。
国のために頑張っているのだ。
私がそばにいることを望んでくれている限り、愛妾でいよう。
その間は公の場に出ることはない。
ひょっとして、実家に顔を出すこともできない?


……侍女になってると思っている家族に何て言えばいいのかしら?


そう言えば、第二王子殿下の方はどうなったのか。
突然、連れ去られた私に代わって誰かが行ったとも思えない。
あの時の侍女の方から王太子殿下が私を連れ去ったことは伝わってるわよね。
そういえば、手紙みたいなのを渡していたから、私を連れ去る理由が書いてあったのかも。
愛妾ということも伝わっていそう。
ビリー様のことだから、すでに次の候補の方に打診しているかもね。

侍女の件もなくなっちゃったよね。
昼間は侍女になってはいけない?無理?無理か。
王宮内を愛妾が侍女としてウロウロしてるって変よね。
かといって王城内で働くと貴族たちの目に触れる。
そこで愛妾だとバレたら、貴族中に知れ渡ってしまうわ。

王族に愛妾がいることは、おそらく王宮内の秘密なのだろうから。

側妃だった場合は公にされるから誰もが知っている。
愛妾は妻ではないから。
誰に何人いようが、愛妾が変わろうが、貴族には伝わらない。


ハイネ妃殿下という完璧な妃殿下がいるために、側妃には誰もなりたくない。
なりたいという令嬢すら現れないだろう。
あの2人に割り込もうなんて、実家ごと、非難されるだけだ。

だから、私は愛妾なのだ。わかってる。

というか、絶対に表に出さないで?命がいくつあっても足りないから。



モグモグ食べながら、そんなことを考えていると侍女のレミが戻ってきた。


「浴室でお手伝いさせていただく侍女をあと一人呼びますので、少しお待ちください。」

「いえ。今日は一人でゆっくりと入りたいと思います。」

「そうですか。かしこまりました。」


……跡がすごいんだもの。恥ずかしすぎて見せられないわ。





 
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