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数か月後、ファルクが朝帰りした。
「ティナ、昨夜はごめん。友人の屋敷で酔って寝てしまってね。起きたら朝だったんだ。」
「そうでしたの。心配しましたが、何事もなくてよかったわ。」
ニコニコ笑顔の私と、若干顔色が悪く目が泳ぐファルク。
しっかりお楽しみになったかしら?
午後になって、ゆっくりお茶を飲んでいる時に予定になかった来客が訪れたようだ。
お客様はもちろん公爵様。ファルクを呼び出せと物凄い剣幕。……演技だろうけど。
「ティナ、君はここにいて。心配しなくていいから。」
そういうファルクは少し震えてる。行ってらっしゃーい。
廊下まで怒鳴り声が聞こえるわ。ドアが開いているのかしら?
「私の娘レーシアが泣いて帰って来た。聞けば、お前に襲われたと言ったぞ!
未婚の娘を傷物にした責任を取れ!!!」
「襲ったわけでは…どちらかと言えば酔って迫られたのです。
レーシア嬢がいきなりキスをしてきて…何か飲まされたのです。
体が熱くなったので媚薬の類かと。
決して私から襲ったわけではありません。信じてください。」
「しかし、お前は3度もレーシアの中に子種を放ったそうじゃないか。それも違うのか?」
「そ、それは…なかなかしずまらなくて。
それに、彼女は純潔ではありませんでした。だから責任と言われても……」
「お前は私の娘を愚弄するのか?純潔じゃなかったなんて今更どうやって証明できる?」
「で、ですが、彼女は私の上に乗っかって腰を振るほど慣れて……」
「それが証明になるか!レーシアは妊娠したかも知れない。公爵家の娘がだぞ?
幸い、侯爵家にはまだ子供がいないそうだな。離婚しろ。レーシアを娶るんだ。」
「っそんな……私は妻を愛して…」
「子爵家出なんだろ?公爵家の方が相応しい。そう思わんか?侯爵夫妻。」
「え、ええ。」
「そう、ですわね?」
侯爵夫妻の戸惑いの声が聞こえた。夫妻はレーシアが純潔じゃなかったことがわかったのだろう。
公爵様とレーシア嬢に嵌められたと気づいたかしら?
だけど、もう引き返せないわ。お気の毒さま。
「孕んでたら侯爵家の跡継ぎだ。妊娠が判明してからでは体裁が悪い。
書面上だけでも夫婦になるべきだ。
さぁ、届は持ってきた。離婚と結婚、両方に署名しろ。
今の妻を呼べ。私が説明してやる。」
「い、いえ。妻は今……」
仕方がない。お呼びなのでこちらから出ていきましょうか。
「失礼いたします。公爵様。
無作法な真似を致しますが、お話は伺わせていただきました。
私は離婚届に署名いたします。
ご令嬢、レーシア様と侯爵家のご縁、祝福いたしますわ。」
離婚届にサラサラっと署名をした。
「物分かりのいい女性だな。慰謝料を渡してやろう。なんなら再婚相手を探してやろうか?」
「お心遣いありがとうございます。
ですが、実家でゆっくりと今後のことを考えますのでご心配には及びませんわ。
では荷物をまとめますので失礼いたします。」
「っティナ!」
………無視無視。さっさとまとめなきゃね。
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