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レティシアは、リオンに会いに行く途中の宿で足止めされていた。
長雨による土砂崩れだった。
リオンはレティシアの元婚約者で、妹ルチアの元夫でもある。
『三年経ったら離婚して、一緒になろう』
お互いが別の相手と結婚する前に、リオンはレティシアにそう言った。
リオンは昨年、独り身になった。
レティシアは少し前に離婚届にサインをした。
レティシアはリオンとの約束のために、リオンに会いに行くのではない。
『リオンとは一緒になれない』
そう告げるために、会いに行こうとしている。
そして、こうして足止めされている間に、一緒になれない理由がもう一つ増えてしまった。
三年間、夫のジョエルを裏切り続けた報いなのかもしれない。
今後の生活に不安を覚えながら、窓の外の土砂降りの雨を眺めていた。
今から三年半ほど前、レティシアは学園を卒業してリオンとの結婚式を楽しみに待っていた。
母と二人、談話室でおしゃべりをしていると、妹のルチアが帰って来た。
ルチアはレティシアの一歳下で学園の最終学年になったところである。
「おかえりなさい。遅かったわね。物騒なんだから寄り道はしないで帰りなさい。」
「物騒って、あれは心中事件で解決したでしょう?」
「あぁ、そうだったわね。でも身近で起こると落ち着かないのよ。」
少し前に学園の敷地奥にある池に、ルチアの同級生の男女が浮かんで亡くなっていた。
事故、事件の両方で捜査されていたけれど、心中ということで解決したらしい。
二人が恋仲だったことは誰も知らなかったようだけど。
「まさか、またジョエル様のところにお邪魔したの?」
母の問いに、ルチアは顔を顰めた。
ジョエルはルチアの婚約者。
ルチアよりも二歳年上のジョエルは、アーノン侯爵家の跡継ぎとして忙しい。
それなのに、度々ルチアが訪れているようで、迷惑をかけているらしい。
「……お姉様は幸せそうね。」
「ルチア?どうかしたの?」
まるで、自分は幸せではない。そう言っているかのように思えた。
「なんでもないわ。着替えてくる。」
いつも明るいルチアの表情が気になった。
気になったのに、母が話の続きをし始めたことで追いかけなかった。
この時、ちゃんと話を聞いてあげていたら、私たちは仲のいい姉妹でいられたかもしれない。
二日後、妹ルチアと婚約者のリオンが部屋に二人きりでいるところを見て、いろんなことが変わらざるを得ないことになるとは思いもしていなかったから。
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