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しおりを挟む外出から帰ったレティシアは、婚約者のリオンが来ていると聞いて応接間に向かった。
約束していた覚えはなかった。
扉をノックして、返事がないので扉を開けてみると、そこには妹のルチアもいた。……ほぼ、裸で。
「え……?ちょっと、これ、なに?どういうこと?」
ソファに寝そべったリオンに覆い被さるようにルチアがいて、慌てて扉を閉めた。
上体を起こしたルチアがレティシアに言った。
「あ……お姉様、ごめんなさい。リオン様のお話の相手をしていたら、こんなことに……」
申し訳なさそうに言いながらも少し嬉しそうなルチアに、レティシアは困惑した。
ルチアは自分の婚約者であるジョエル様を好きなはずなのに。
それに、リオンは眠っているように見えるから。
(ルチアのいたずら?)
それにしては、質が悪い。
「早くっ!!服を着なさい!!」
状況がよくわからないが、ルチアの胸が丸見えで、服は腰で止まっているのだ。
そのままの姿で部屋に戻らせるわけにもいかない。
その時、リオンの意識が覚醒し出して、間近にいるルチアとその胸を見て目を丸くした。
「は……?っなんだ?!」
リオンが思わず手で目を覆った隙に、レティシアはルチアを立ち上がらせて自分の後ろに隠した。
「早く、着なさい!!」
「はーい。……でもね、さっきまでリオン様が触ってくれていたのよ?」
ルチアの爆弾発言に、レティシアよりもリオンの方が驚いて言った。
「はあ?僕が?そんな覚え、ないぞ?」
「覚えてないの?お茶を飲んでたら、私のこと可愛いって言ってくれたでしょ?」
「可愛い?……あぁ、可愛い義妹と言った覚えが、ん?」
リオンは部屋の中をキョロキョロと見ていた。
「一緒にいた君の侍女は?」
そういえば、ルチアの侍女も誰もいない。
「リオン様が出て行けっていったんじゃない。」
「僕が、言った?……言った、か?」
「ほら、私のこと、お姉様と似ているって髪に触ってきて……」
「髪に、触った?」
「髪以外にも、全部。私を抱いたのに、覚えていないの?」
再びの爆弾発言に、レティシアはもう我慢ならなかった。
「ルチアっ!!いたずらもいい加減にしなさいっ!!」
ルチアの発言は、いたずらの範疇では済まされない。
「いたずらじゃないわ。だってほら、そのハンカチ、リオン様のでしょう?私の体から出てきた子種を拭った証拠よ。」
ソファの下にはハンカチが落ちていた。
リオンが呆然としながら、震える手でハンカチを拾った後、顔をしかめた。
「私、湯を浴びてくるわね。リオン様、責任を取ってね。」
ルチアはそう言って、部屋から出て行った。
残されたレティシアは、リオンが慌ててシャツのボタンを留めているのを見ていた。
「レティシア、聞いてくれ。本当にほとんど記憶にない。だがこれだけは言える。ルチアを抱いていない。」
「……覚えていないのに?」
「コレは僕の子種じゃない。出した感覚がないんだ。自分の体のことだ。ちゃんとわかる。」
「……ルチアのいたずらってこと?」
「そうだと思う。……お茶に何か入っていたのかもしれない。」
お茶。
もうここには、カップはなかった。
侍女が部屋を出るときに片づけたのだろう。
ルチアが仕組んだ。
間違いないと思う。
「あっ!!証拠が流されちゃうっ!!」
本当に体内に子種を受けていたのであれば、医師に診てもらえばわかるはず。
嘘だったのなら、子種などないので、リオンが抱いた証拠もない。
慌ててルチアの元に向かったが、ルチアは既に湯を浴びていた。
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