裏切る前提の結婚は、心が痛かった

しゃーりん

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2.

 
 
外出から帰ったレティシアは、婚約者のリオンが来ていると聞いて応接間に向かった。

約束していた覚えはなかった。

扉をノックして、返事がないので扉を開けてみると、そこには妹のルチアもいた。……ほぼ、裸で。 

 
「え……?ちょっと、これ、なに?どういうこと?」

 
ソファに寝そべったリオンに覆い被さるようにルチアがいて、慌てて扉を閉めた。

上体を起こしたルチアがレティシアに言った。


「あ……お姉様、ごめんなさい。リオン様のお話の相手をしていたら、こんなことに……」

 
申し訳なさそうに言いながらも少し嬉しそうなルチアに、レティシアは困惑した。

ルチアは自分の婚約者であるジョエル様を好きなはずなのに。

それに、リオンは眠っているように見えるから。


(ルチアのいたずら?) 


それにしては、質が悪い。


「早くっ!!服を着なさい!!」


状況がよくわからないが、ルチアの胸が丸見えで、服は腰で止まっているのだ。
そのままの姿で部屋に戻らせるわけにもいかない。

その時、リオンの意識が覚醒し出して、間近にいるルチアとその胸を見て目を丸くした。
 

「は……?っなんだ?!」
  

リオンが思わず手で目を覆った隙に、レティシアはルチアを立ち上がらせて自分の後ろに隠した。


「早く、着なさい!!」

「はーい。……でもね、さっきまでリオン様が触ってくれていたのよ?」


ルチアの爆弾発言に、レティシアよりもリオンの方が驚いて言った。


「はあ?僕が?そんな覚え、ないぞ?」

「覚えてないの?お茶を飲んでたら、私のこと可愛いって言ってくれたでしょ?」

「可愛い?……あぁ、可愛い義妹と言った覚えが、ん?」


リオンは部屋の中をキョロキョロと見ていた。


「一緒にいた君の侍女は?」


そういえば、ルチアの侍女も誰もいない。


「リオン様が出て行けっていったんじゃない。」

「僕が、言った?……言った、か?」

「ほら、私のこと、お姉様と似ているって髪に触ってきて……」

「髪に、触った?」

「髪以外にも、全部。私を抱いたのに、覚えていないの?」


再びの爆弾発言に、レティシアはもう我慢ならなかった。


「ルチアっ!!いたずらもいい加減にしなさいっ!!」


ルチアの発言は、いたずらの範疇では済まされない。
 

「いたずらじゃないわ。だってほら、そのハンカチ、リオン様のでしょう?私の体から出てきた子種を拭った証拠よ。」


ソファの下にはハンカチが落ちていた。

リオンが呆然としながら、震える手でハンカチを拾った後、顔をしかめた。


「私、湯を浴びてくるわね。リオン様、責任を取ってね。」
 

ルチアはそう言って、部屋から出て行った。



残されたレティシアは、リオンが慌ててシャツのボタンを留めているのを見ていた。


「レティシア、聞いてくれ。本当にほとんど記憶にない。だがこれだけは言える。ルチアを抱いていない。」

「……覚えていないのに?」 

「コレは僕の子種じゃない。出した感覚がないんだ。自分の体のことだ。ちゃんとわかる。」

「……ルチアのいたずらってこと?」

「そうだと思う。……お茶に何か入っていたのかもしれない。」


お茶。
もうここには、カップはなかった。
侍女が部屋を出るときに片づけたのだろう。

ルチアが仕組んだ。

間違いないと思う。


「あっ!!証拠が流されちゃうっ!!」


本当に体内に子種を受けていたのであれば、医師に診てもらえばわかるはず。
嘘だったのなら、子種などないので、リオンが抱いた証拠もない。


慌ててルチアの元に向かったが、ルチアは既に湯を浴びていた。
 


 

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