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レティシアが侍女ルルと共に応接室に戻ると、リオンが聞いてきた。
「間に合ったか?」
レティシアは首を横に振った。
リオンは頭を抱えていた。
「……いや、だけど、ルチアも本気じゃないよな?責任を取れって何のつもりなんだ?」
「ジョエル様と喧嘩でもしたのかしら?」
「そんなことで僕に乗り換えようと、こんなことしでかしたっていうのか?無謀だよ。」
乗り換える?
ジョエル様からリオンに?
『お姉様は幸せそうね。』
数日前、ルチアがそう呟いていたことをふと思い出した。
リオンが相手なら幸せになれると思った?
……まさか、ね。
「ルチアが迷惑をかけてごめんね。ところで今日は何の用だったの?」
リオンが驚いた顔をした。
「……僕を呼び寄せたところから計画的だったようだな。」
つまり、リオンをレティシアの名で呼び出したのはルチアということらしい。
あの子、本当に何を考えているの?
どこか気持ち悪さを感じていると、扉がノックされてルチアと両親が入ってきた。
「お父様たちにも話したわ。私の純潔を奪った責任をリオン様に取ってもらわないと。」
「リオン君、どういうことだっ!君はレティシアの婚約者だろうっ!」
ルチア、正気なの?!
「誤解ですっ!ルチア、君は僕のお茶の中に何を入れた?僕は君を抱いた記憶などないっ!」
「ハンカチという証拠があるわ。」
「こんなもの、僕が出したものだという証明にはならないっ!」
ルチアは一瞬、動揺したように見えた。
「リオン様は私を抱いた記憶がないとおっしゃるけれど、それがお姉様なら?」
「え……?」
「実は途中からリオン様は私とお姉様を勘違いしていたの。お姉様に触れているつもりじゃなかった?」
ルチアを、私と間違った?
だとしても、私はリオンと体を繋げたことなどないわ。
だから、リオンがそんなことしようとするなんて思えない。
なのに、リオンは困惑した顔をしていた。
「リオン様が疲れているように見えたから、紅茶にお酒を入れたの。そのせいなのかも。」
リオンはお酒に弱い。
そのことをルチアにも話した、ことがあるかもしれない。
呼び出したことといい、お酒といい、本当に計画的らしい。
「……いや、それでも僕は君を抱いていない。自分がスッキリした感覚がない。伯爵ならわかりますよね?」
リオンは同じ男である父に助けを求めた。
「それは……人それぞれではないか?」
父はリオンの味方にはならなかった。
それでも、父も困惑しているようだった。
「それなら、ルチアの体を調べてもらいましょう。」
母はそう言うけれど、ルチアは湯を浴びてしまっている。
「ルチアが純潔かどうか、それが証明になると思うわ。」
確かに。
ルチアはリオンに純潔を奪った責任を、と言った。
つまり、婚約者のジョエル様とは関係を持ったことはないと言っている。
ジョエル様がルチアを抱いたことがあれば、ルチアの嘘はバレることになるので関係は持っていない。
しかし、
「破瓜なさっておられますね。」
医師のその言葉に、レティシアは足元がぐらつくのを感じた。
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