裏切る前提の結婚は、心が痛かった

しゃーりん

文字の大きさ
4 / 30

4.

 
 
ルチアは純潔ではない。破瓜している。

医師のその言葉に、父はリオンを罵倒し、母は呆然とし、ルチアは微笑んでいて……

レティシアは信じたくない思いでリオンを見続けていた。
 

「嘘だっ!僕はルチアを抱いていないんだっ!本当に、記憶にない。僕じゃない、僕じゃ……」 


リオンが必死に叫ぶ。
嘘をついているようには見えなくて、レティシアは少し冷静さを取り戻した。
しかし、酔って覚えていないだけで、本当は?という思いもある。

父が狂ったように叫ぶリオンに怒鳴った。


「往生際が悪いっ!ひとまず今日は帰ってくれないか?私たちも家族で話し合わなければならない。」

「話し合いって、……嫌ですっ!僕はレティシアと結婚します!!」 


話し合い、って私たちの婚約解消ってことよね。
ルチアは本気でリオンと結婚しようと?

どうして……



リオンが侍従に連れ出され、父がルチアに聞いた。
 

「ルチア、アイツは否定しているが、間違いないんだな?」

「はい。お姉様と間違われていることを承知で抱かれたことは認めるわ。それでもいいと思ったの。リオン様となら、私は幸せになれると思って。元を正すだけよ。」
 

リオンが人違いをしていると知っていて、抱かれた?

リオンとなら幸せになれると思って?

元を正すって、どういうこと?

 
レティシアの頭にはルチアの言葉がグルグルと回っていた。
 

「はぁ。アイツもお前もとんでもないことをしてくれたものだ。頭が痛いよ。」


父はそう言って、部屋から出て行った。その後を母も追って行く。

レティシアはルチアと二人になり、ルチアに聞いた。


「ルチア、どういうことなの?リオンに抱かれたなんて嘘なんでしょ?」

「どうして?私は純潔じゃないって証明されたわ。」

「リオンが相手とは限らないわ。」


リオンには記憶がない。
その間に、ルチアが別の人と、……いえ、今日じゃなくてもいいんだわ。

ルチアは、リオンでもなく婚約者のジョエル様でもない誰かと関係を持ったのよ。


「お姉様、現実を見たくないのはわかるけれど、リオン様もただの男だったってだけだわ。
記憶にない、覚えていないなんて言っていたけれど、それも本当かどうかわからないじゃない。」 

「私はリオンを信じているわ。」


そう。信じてる。
いくら酒に弱いといっても、お茶に入れた程度の酒でそこまで酩酊になるはずもない。
意識が戻ったリオンに酔った様子もなかったし。

間違ってルチアを抱いたのであれば、あそこまで否定できないはず。
少しでも覚えていれば、リオンなら責任を取ると言ったと思うから。
 

「信じている、ね。だけど、もうどうしようもないわ。」

「どうしてこんなことを?あなたにも婚約者がいるのに。」
 
「……だって、ジョエル様、全然優しくないんだもの。」

「そんなことで?ジョエル様を選んだのはあなたじゃないの。」

 
ジョエル様とリオン。

私たち姉妹には、同時に二人から縁談の話が来た。

ジョエル様はレティシアの一歳上の侯爵令息で、リオンはレティシアと同い年の伯爵令息。
ルチアは自分より二歳上のジョエル様と婚約したいとレティシアの希望も聞かずに父にねだった。

どちらかと言えばレティシアよりもルチアに甘い両親は、それを受け入れた。

ジョエル様のこともリオンのことも、当時はあまり知らなかった相手なので、ルチアがジョエル様がいいと言うのであれば構わなかった。
 

つまり、ルチアが元を正すと言ったのはジョエル様ではなくリオンを選び直すということらしい。
 



 

あなたにおすすめの小説

最後に一つだけ。あなたの未来を壊す方法を教えてあげる

椿谷あずる
恋愛
婚約者カインの口から、一方的に別れを告げられたルーミア。 その隣では、彼が庇う女、アメリが怯える素振りを見せながら、こっそりと勝者の微笑みを浮かべていた。 ──ああ、なるほど。私は、最初から負ける役だったのね。 全てを悟ったルーミアは、静かに微笑み、淡々と婚約破棄を受け入れる。 だが、その背中を向ける間際、彼女はふと立ち止まり、振り返った。 「……ねえ、最後に一つだけ。教えてあげるわ」 その一言が、すべての運命を覆すとも知らずに。 裏切られた彼女は、微笑みながらすべてを奪い返す──これは、華麗なる逆転劇の始まり。

学生のうちは自由恋愛を楽しもうと彼は言った

mios
恋愛
学園を卒業したらすぐに、私は婚約者と結婚することになる。 学生の間にすることはたくさんありますのに、あろうことか、自由恋愛を楽しみたい? 良いですわ。学生のうち、と仰らなくても、今後ずっと自由にして下さって良いのですわよ。 9話で完結

【完結】どうか私を思い出さないで

miniko
恋愛
コーデリアとアルバートは相思相愛の婚約者同士だった。 一年後には学園を卒業し、正式に婚姻を結ぶはずだったのだが……。 ある事件が原因で、二人を取り巻く状況が大きく変化してしまう。 コーデリアはアルバートの足手まといになりたくなくて、身を切る思いで別れを決意した。 「貴方に触れるのは、きっとこれが最後になるのね」 それなのに、運命は二人を再び引き寄せる。 「たとえ記憶を失ったとしても、きっと僕は、何度でも君に恋をする」

【完結】私の事は気にせずに、そのままイチャイチャお続け下さいませ ~私も婚約解消を目指して頑張りますから~

山葵
恋愛
ガルス侯爵家の令嬢である わたくしミモルザには、婚約者がいる。 この国の宰相である父を持つ、リブルート侯爵家嫡男レイライン様。 父同様、優秀…と期待されたが、顔は良いが頭はイマイチだった。 顔が良いから、女性にモテる。 わたくしはと言えば、頭は、まぁ優秀な方になるけれど、顔は中の上位!? 自分に釣り合わないと思っているレイラインは、ミモルザの見ているのを知っていて今日も美しい顔の令嬢とイチャイチャする。 *沢山の方に読んで頂き、ありがとうございます。m(_ _)m

これ以上私の心をかき乱さないで下さい

Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。 そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。 そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが “君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない” そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。 そこでユーリを待っていたのは…

婚約七年目、愛する人と親友に裏切られました。

テンテン
恋愛
男爵令嬢エミリアは、パーティー会場でレイブンから婚約破棄を宣言された。どうやら彼の妹のミラを、エミリアがいじめたことになっているらしい。エミリアはそのまま断罪されるかと思われたが、彼女の親友であるアリアが声を上げ……

【完結】断罪された悪役令嬢は、全てを捨てる事にした

miniko
恋愛
悪役令嬢に生まれ変わったのだと気付いた時、私は既に王太子の婚約者になった後だった。 婚約回避は手遅れだったが、思いの外、彼と円満な関係を築く。 (ゲーム通りになるとは限らないのかも) ・・・とか思ってたら、学園入学後に状況は激変。 周囲に疎まれる様になり、まんまと卒業パーティーで断罪&婚約破棄のテンプレ展開。 馬鹿馬鹿しい。こんな国、こっちから捨ててやろう。 冤罪を晴らして、意気揚々と単身で出国しようとするのだが、ある人物に捕まって・・・。 強制力と言う名の運命に翻弄される私は、幸せになれるのか!? ※感想欄はネタバレあり/なし の振り分けをしていません。本編より先にお読みになる場合はご注意ください。

殿下が私を愛していないことは知っていますから。

木山楽斗
恋愛
エリーフェ→エリーファ・アーカンス公爵令嬢は、王国の第一王子であるナーゼル・フォルヴァインに妻として迎え入れられた。 しかし、結婚してからというもの彼女は王城の一室に軟禁されていた。 夫であるナーゼル殿下は、私のことを愛していない。 危険な存在である竜を宿した私のことを彼は軟禁しており、会いに来ることもなかった。 「……いつも会いに来られなくてすまないな」 そのためそんな彼が初めて部屋を訪ねてきた時の発言に耳を疑うことになった。 彼はまるで私に会いに来るつもりがあったようなことを言ってきたからだ。 「いいえ、殿下が私を愛していないことは知っていますから」 そんなナーゼル様に対して私は思わず嫌味のような言葉を返してしまった。 すると彼は、何故か悲しそうな表情をしてくる。 その反応によって、私は益々訳がわからなくなっていた。彼は確かに私を軟禁して会いに来なかった。それなのにどうしてそんな反応をするのだろうか。