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レティシアはリオンを信じている。
しかし、リオンがルチアを抱いていないという証明は難しい。
どうしたらいいのかと頭を悩ませているのに、ルチアはそんな姉を嘲笑うかのように次の行動を起こしていた。
レティシアは父に呼び出された時に、それを知った。
「レティシア、お前の婚約者はジョエル殿に代わることになった。」
「え……?待ってください。まだ私はリオンの婚約者です。結婚式だってもうすぐで……」
「アーノン侯爵家にルチアとリオンのことを知られた。というか、ルチアが自ら報告したらしい。」
ルチアがジョエル様に?
「ルチアの婚約解消は純潔ではなくなっている以上、仕方のないことだとわかりますが、それが何故、私とジョエル様が婚約することになるのですか?」
「……慰謝料が莫大なんだ。」
「慰謝料が?婚約時に何か特別な契約でもしていたのですか?」
「ああ。うちはもちろん、リオンのトレッド伯爵家の方にも慰謝料が請求される。うちもリオンも伯爵家だ。侯爵家の顔に泥を塗ったことになる。しかし、お前が婚約者になるのであれば両家とも、慰謝料は大幅に減額してもらえるんだ。」
侯爵令息のジョエル様の婚約者であるルチアを、リオンは奪ったと思われている。
ルチアの言ったことを両親も信じているため、こちらに非があるのはわかっており、アーノン侯爵家の要望に応えたいのだ。
それはわかる。わかる、けど……
リオンとの結婚はもうすぐだったのに、今更、ジョエル様と結婚しろっていうの?
「お父様、ルチアは嘘をついていると思います。リオンは嵌められたのよ。」
「そんなことはどうでもいいんだっ!!
ルチアの相手がリオンだろうが他の男だろうが、ジョエル殿でないことが一番の問題なんだ!!」
「……私に、ルチアの尻拭いをしろ、と?」
「そうだ。姉だろう?貴族だろう?政略結婚の相手が変わるってだけだ。」
「でも、私とリオンはちゃんと関係を築いて来て、結婚はもうすぐで……」
こんなことを父に言っても仕方がないとわかっている。
でも、あまりにも理不尽で、言わずにはいれなかった。
「レティシア、このままリオンと幸せになれると思っているのか?
いくらお前がリオンを信じていようと、アーノン侯爵家には関係ない。
ルチアはリオンと関係を持ったとジョエル殿に知らせたんだ。
お前がジョエル殿と結婚しなければどうなるかわかるか?
莫大な慰謝料を支払っても、リオンはレティシアの妹とも関係を持ったと疑われ続けて信用を無くす。
結婚したお前たちは社交界で白い目で見られることになるだろう。
そんな状態でリオンと結婚してお前は幸せになれるのか?リオンの愛人はルチアだと言われるぞ。
あるいはルチアがリオンと結婚しても同じことだ。姉の婚約者を寝取ったと言われるし、お前にもいい縁談など来なくなるだろう。
しかし、お前がジョエル殿と結婚することになれば、三家で話し合い、婚約者の交換が決まったことになるだけだ。
ルチアでは侯爵家に嫁ぐのは難しかった。優秀なお前が侯爵家に望まれた。
周りはそう思うだけだ。いや、そう思わせるだろう。」
我がクロス伯爵家とトレッド伯爵家が生き残るためには、アーノン侯爵家の有難い申し出に従う他ないのだと父は言っているのだ。
信用を無くす。
それは、領民にも多大な影響を及ぼすことで、ルチアのしたことは非常に重い。
レティシアは、ジョエル様との婚約を承諾せざるを得なかった。
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