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しおりを挟むこれは、僕が未だに後悔し続けている、今から15年ほど昔の出来事。
起き上がれなくなってからは、眠る度に夢を見て涙を流す。
僕が死ねば、君の気が少しは晴れるだろうか。
何をするにも決断に迷い、不甲斐なかった僕を許してくれなくていい。
ただ、最期に君の昔のような笑顔が見られたら嬉しいと思いながら、今日も辛い夢を見る。
僕、伯爵令息ヒューイットの婚約者は伯爵令嬢ライザ。
政略で結ばれたけど婚約して10年になり、昔から仲良く過ごしてきた。
少し頼りなく、優柔不断なところのある僕を、ライザはいつも優しく手を引いてくれる。
そんな彼女が大好きだった。
学園卒業まであと4か月、結婚式まであと半年という頃だった。
人が少なくなった学園から帰ろうと廊下を歩いていた時、隣のクラスの男爵令嬢スカーレットに声をかけられた。
「あら。ライザ様とご一緒ではないのですね。
そうそう、結婚式まであと半年だそうですね。おめでとうございます。」
「ありがとう。ようやくあと半年になって楽しみなんだ。」
嬉しそうに言った僕に、スカーレットは声を潜めて聞いてきた。
「ヒューイット様は閨事の経験はございませんよね?まじめな方ですもの。」
まさかそんなことを聞かれるとは思わなかったけど、まぁ、こんな僕が遊んでいるとは誰も思わないなと納得した。
「初めては彼女と一緒に経験するって決めてるんだ。」
こんなことを令嬢に言うのも恥ずかしいけれど、10年も婚約している僕たちはいろんな初めてを一緒に経験してきた。だから、閨事も当然そのつもりだった。
そんな僕に、スカーレットは驚くようなことを言った。
「初めて同士って失敗しやすいって知ってます?一度目の失敗は後に響きます。
男性が前もって経験するのはそういう理由があるからですよ。本当に大丈夫ですか?」
え……?そうなのか?
ライザに初めて唇にキスをした時も、もちろんお互いが初めてで、早く目を閉じてしまったこととライザも顔を近づけていたために思ったよりも近くに唇があり、歯が当たって痛かった。
同じ方向に傾けてしまい、鼻が当たって痛かったこともある。
未だにモタモタしている感じもするが、ライザは嬉しそうに笑ってくれる。
だけど……失敗が後に響くとはどういうことなのか。
一応、指南書を読んだことはある。
やはり実践とは大きな違いがあるのだろうか。
「一度失敗すると、二度目は焦るそうです。その焦りがまた失敗を呼ぶ。
そして上手くいかないことが自分を追い込み、不能になるそうですよ。」
そもそも失敗とは?囁くように言った彼女に囁くように聞き返す。
「未通の女性の中は、もちろん狭いです。
興奮しすぎて中に少し入れただけ我慢できずに達してしまったり、硬度が足りなかったり。
中に入れる前に出してしまうこともありますし、中に入れることができても萎んだでしまったり。
どれも、男性だけでなく女性にもショックなことです。
一晩に何度も固くできる人もいますが、ショックだとたたなくなる人もいます。
一日だけなら疲れてると誤魔化せますが、次は成功させようと焦りますよね。
意外と繊細な男性は多いので、結局上手くいかない。
そして、興奮してもたつことがなくなって、不能になるみたいですね。
ヒューイット様は、失礼ですが繊細そうなので。」
ちょっと、そんなますます不安になるようなことを言わないでほしい。
それでなくとも、自信があるとは言い難いのに。
そんな僕に、彼女は追い打ちをかけるようなことを言った。
「女性と違って男性は初めてかどうかはわかりません。
婚約者のライザ様には初めてだと思わせて経験しておくことをオススメしますよ。
よくあることです。そう、誰にでも。」
そうなのか?誰でも婚約者には内緒で経験しているものなのか?それが正しいのか?
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