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僕は家に戻り、両親と妻に親戚から養子を貰いたいと言った。
「どういうことだ?ヒューイット、お前の妻が生んでくれるだろう?」
「僕は、不能になりました。彼女を抱けません。なので、僕の子供は生まれません。
僕の次に跡継ぎになる子供を、早く育てるべきです。」
「……そんな。どうしても無理なの?」
「ごめん。婚姻無効にしてほしいんだ。君もその方がいいだろう?」
「……考えさせて。」
妻が出した結論は、離婚せずに養子を育てたいということだった。
両親は喜んだが、僕は困った。
いずれ、成長した養子にこの家を任せて僕はライザを迎えに行くつもりだから。
このことはまたいずれ話し合う必要がある。そう思った。
誤算がもう一つあった。
両親が勝手に養子を選んでしまったのだ。
僕は、できれば12歳~15歳くらいですぐに教育のできる子供を考えていた。
だが両親が選んだのは、まだ5歳の子供だった。
この子を育てて跡継ぎにして、ライザを迎えにいけるのはいつになるのか。気が遠くなった。
そして、養子を育てたいと言っていた妻は、家の執事見習いと不貞。
結局離婚することになった。
ライザを迎えに行くときに話し合う手間が省けてよかった。
僕は、月に2度ほどライザに手紙を書いた。
もっと書きたかったが、返信がないために迷惑がられているのではないかと不安になる。
手紙は名前を変えてアデライン宛に送る。そして、彼女が修道院に送ってくれる。
アデラインからも何も言ってこない。
ライザがアデラインと連絡を取り合っているのは、生んだ子供を気にかけているのかと思っていた。
子供のことを聞いたり教えたりしているものだと。
アデラインに手紙を返信しているのなら、僕宛が全くないのはどうしてだろうか。
そんな疑問を抱きながらも、10年が過ぎた。
養子にしたウォーカーは利発な子だった。
早ければ、あと5年で爵位を継げるかもしれない。
そう思った時、自分の愚かさを自覚し、頭を抱えてしまった。
「父上、どうかしましたか?」
「……ウォーカー、僕はなんて愚かな10年を過ごしてきたんだろう。」
「は?」
「僕は間違った。お前を僕の養子にするんじゃなかった。父上の養子にすべきだったんだ。」
「はぁ?」
僕は、15歳になった息子にライザのことを話した。
「……つまり、父上の爵位を僕が継げるようになってから迎えに行くるもりだったと。
だけど、お祖父様から僕に継がせれば、父上はそのライザ様をもっと早く迎えに行けた。
そういうことですね?」
「ああ。」
「まぁ、そうですね。実際、まだ爵位はお祖父様にある。
というか、父上。独身になった時点でライザ様を近くに呼び寄せればよかったのでは?
結婚できないとしても、恋人同士でいることはできましたよね。
あるいは、僕の義母にするという手もあったのに。
いや、それは無理か。
そのライザ様の不貞ということで向こうの伯爵家から慰謝料を受け取った時点で再婚は厳しいか。
まあ、世間には子供が産めないということになってるだけだから本来は問題はなさそうだったのに。
お祖父様たちは、父上がそんなにライザ様に拘っているとは思ってないんじゃないですか?
なんとかお願いすれば、再婚は無理でも側に置くこともできたと思いますが。」
ウォーカーに言われたことが胸に刺さった。
そうだ。どうしてそれも思いつかなかったのだろうか。
いつも、何かを相談するのはライザだった。
そのライザがいないから、僕は自分でグルグル考えて良案が浮かばない。
ウォーカーにもっと早く相談すればよかったのか。
この息子は僕より跡を継ぐのに相応しいと思う。
僕は、ライザがいないとポンコツ過ぎるから。
そう、まだ僕が継いでもいないのに5年後には僕からウォーカーに爵位を渡すつもりだったんだ。
僕が数年だけ継ぐ意味がどこにあるというのか。
父から僕、僕からウォーカーでないといけないと思い込んで10年を過ごしてしまった。
父からウォーカーへ。その考えがあれば、もっと早く迎えに行けたんだ。
今更、愚かさを悔いても仕方がない。
まずは両親に、ライザを迎えに行きたいと伝えよう。
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