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僕はアデライン夫人に確認する前に、ライザの兄である伯爵に話を聞いてみることにした。
10年が経ち、あの頃よりかは落ち着いて話せると思ったからだ。
約束をして、家を訪れた。
「ご無沙汰しております。」
「ああ。ライザの件って書いてあったけど、ライザがどうした?」
世間話をするような関係でもなくなった伯爵は、すぐに聞いてきた。
「ライザがどこの修道院にいるか、ご存知ですか?」
「いや、知らない。
ライザは両親を恨んでいた。君と婚約解消させてくれなかったせいでこんなことになったと。
自分の人生がおかしくなったのは、両親のせいだと言ってね。
絶縁を申し入れてきたから、受け入れた。
さすがに死んだら連絡は来ると思うが、連絡がないところ見ると生きているとは思う。」
「絶縁はライザから言ってきたということですね。
絶縁を申し入れられたのは修道院に入る前?それとも入ってから?」
「入ってからだ。バリーの妻、アデライン夫人がライザの恨み言と絶縁を伝えに来た。
彼女ならライザの居場所を知ってるんじゃないか?」
「え?ライザがご両親を恨んでいるということは、アデライン夫人から伝えられたのですか?
ライザ本人からではなく?」
「……本人、ではない。アデライン夫人が絶縁状にサインを求めてきたんだ。
ライザの言葉と共に。」
「ご両親やあなたはライザを追い出そうと思っていたのですか?」
「いや、両親も私も傷ついたライザが立ち直るまで面倒を見るつもりだった。
なのに、子供をアデライン夫人に引き渡したと思ったら、逃げると言い出した。
バリーが愛人として閉じ込めようとしているから、と。
守ってやるって言ったけど、家に面倒はかけられないからって。
修道院の方が安全だから今のうちに行くと出て行った。
アデライン夫人が馬車まで準備してくれていた。
どこの修道院か聞いたら、ライザも行き先を聞いていないようだった。
僕たちや使用人の口からバリーに行き先を知られては困るからって。
ああ、そうだ。それからすぐに寄付金の話をしようと思ってアデライン夫人に連絡を取ったんだ。
その時、絶縁のことを言われたんだった。
ショックだったけど、ライザの望みを受け入れるしかなかった。
ライザは平民として静かに生きたいんだと思って。
サインをしてライザに送ってくれるようにアデライン夫人に渡した。」
嫌な予感がした。
僕たちはアデライン夫人を信じすぎていたのではないか。
「ライザから絶縁っておかしくないですか?
ライザ自身は、どちらかと言えば被害者です。
加害者は僕と、あの男。
僕たちは、結婚してから徐々にまた心を通い合わせ始めました。
あの子が僕たちの子供だと信じていたから、生まれた時は確かに驚きました。
だけど、2人で育てようと話していたんです。
僕の両親が勝手にあの男とやり取りするまでは。
最悪、子供は取られても僕はライザと別れる気はありませんでした。
ですが、僕が監禁されている間にライザは実家に帰って、修道院に行っていた。
アデライン夫人は、ライザに手紙を渡してくれると言いました。
だけど、返信は一度もない。
僕の養子が跡継ぎになれたら迎えに行くとこの10年間、ずっと手紙を書いていたんです。
その返事が全くない。
ライザなら、受けるにしても断るにしても返事をくれると思うんです。
アデライン夫人はライザに手紙を送っていないのではないか?
僕はようやくそう思いました。
父も、アデライン夫人の実家が寄付金を払ったという話に疑いを持っています。」
「え?アデライン夫人の実家が寄付金を払った?それは知らない。
私たちが聞いたのは、絶縁することと寄付金は不要だということだ。
アデライン夫人は寄付金がなくてもひどい扱いをされない平等な修道院だと言っていたが。
どういうことだ?」
ああ……こんなに簡単に答え合わせができることをどうして確かめなかったのだろう。
僕たちが話をするとは思えなかったから、こんな簡単な嘘をつくことができたのだ。
本当に、気づくのが遅い僕は、愚かだ。
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