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ここ1年ほどの間に、令息令嬢の事件・事故が多発している。
最初の出来事はヴェントスが15歳の時だった。
モールメント公爵令息であるヴェントスには同い年の婚約者アネモナがいた。
12歳で婚約してから3年、明るく可愛いアネモナに対し特別な愛情は抱いてはいなかったが、結婚相手として問題ないとヴェントスは思っていた。
だが、彼女は襲われて額に頬、鼻、腕に胸元などを切りつけられ、屋敷から出て来れなくなった。
犯人たちは捕まっていない。一緒にいた侍女や護衛は覆面をした暴漢たちに手早く気絶されており、何人いたか、どこに逃げたのか、などはさっぱりわからなかったという。
アネモナとの婚約は解消となった。
その直後、学園に入学したヴェントスは、婚約者のいない高位貴族令息として令嬢から狙われていた。
特に婚約者のいない年上の令嬢たちは冷静さを装いながらも必死だったのだろう。
ヴェントスの知らないところで、令嬢同士の争いもあったそうだ。
誰かの婚約者になっている令嬢から選ぶつもりはないので、同い年でも年上でも伯爵令嬢以上で婚約者がいなければ話をすることもあった。
両親が選んだ令嬢と婚約することになるだろうが、自分の目で見て人となりを判断するのも参考になるだろうと思っていたからだ。
その内の数人と個人的に会うこともした。
そして言い寄ってきていた令嬢を見かけなくなったことには気づいたが、性格が合わないと向こうが判断して離れていったのだと思っていた。
そして、アネモナとの婚約解消から半年経った頃、王女セレスティーナとの婚約を打診された。
これには両親もヴェントスも驚いた。
王女の降嫁はよくある。他国に嫁がなければ自国の貴族に嫁ぐことになる。
だが、祖母が王女だったこともありモールメント公爵家ではなく他の公爵家か侯爵家に嫁ぐべきなのだ。
王女セレスティーナはヴェントスより2歳下。
ヴェントス以外にも年齢的に釣り合いの取れる令息はほかにもいる。
王女の婚約者に選ばれるという可能性があるため、まだ婚約していない令息たちが。
それなのに、なぜヴェントスなのか。
両親は、先代に王女の降嫁があったことを挙げやんわりと断った。
他家に睨まれるのはうちなのだから。
しかし、なぜか保留ということになった。
ヴェントスは新たな婚約者を決められなくなった。
「ヴェントス、知ってるか?君に言い寄っていた年上の侯爵令嬢が結婚したこと。」
友人のサリオが聞いてきた。
「侯爵令嬢?あぁ、最近見なくなっていたな。他に縁談が見つかったのか。それにしても結婚は早いな。」
3か月前まではまだ言い寄って来ていた気がするが。
「従兄と関係を持って妊娠したとか聞いたぞ?入籍してから田舎の領地に向かったとか。」
「ふーん。従兄はワザと孕ませたか?卒業まで待てなかったんだろうな。」
「ヴェントスに取られるのを危惧したんじゃないか?
君に言い寄っていた他の令嬢の中にも婚約者じゃなくても候補の男はいるんだろうな。なんか減ったし。」
王女の婚約者にと打診されていることを知っていれば、無謀にも言い寄る令嬢が減るのは納得だ。
この時はまだそう思っていた。
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