身近にいた最愛に気づくまで

しゃーりん

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結婚は中止になると思っていたが、国王陛下から頼み込まれて中止にはできなかったと父が帰ってきた。 

セレスティーナ王女の汚点は王家の信頼にも繋がる。
国民に親しまれている王女であるからこそ、その反動も大きい。

既に王女の結婚をみんなが楽しみにしている状態の今、どんな理由であれ中止にするのは厳しいのだ。


「陛下は、子供を一人もうけてくれれば、後は王女に構わなくていいと言っていた。つまり、愛人を容認するということだろう。王女にも話をするはずだ。
それから、万が一2年経っても妊娠しなかった場合は、離婚することも認めてもらった。うちの跡継ぎが必要だからな。」

「わかりました。ですが本当に大丈夫ですか?あと3か月の間に孕んだ状態で嫁いできませんよね?」
 
「それは私も危惧したので、陛下にはうちの侍女に王女の世話をさせると伝えた。どうせ、護衛との関係を口止めされて黙っていた侍女たちは首になるからな。公爵家の信用できる者をつけるから問題ない。」

「そうですか。嫁いできてからも見張りは必要でしょうね。とりあえず、さっさと孕ませます。」


穴に突っ込んで子種を入れるだけだ。そのうち子供はできるだろう。
抱かなければ文句を言われて面倒が増えるだけだからな。こちらが悪者にされたら困る。
産ませた後は、別邸にでも住まわせて男娼に相手をさせれば喜ぶんじゃないか?

その方がお互いにとって、気楽でいいだろう。


王女はアネモナと一緒にいた俺に一目惚れをしたらしい。
特別なことをした記憶はないが、俺はアネモナと顔を見合わせて微笑み合っていたそうだ。

アネモナにしたように、自分にも笑顔を向けてほしい。 
そう口に出してしまったことから、侍女が王女の意を汲んで勝手に邪魔者を排除し始めた。気づかなかった自分にも責任があるが、王家の体面を気にする父や兄がヴェントスとの婚約を望んだのだ。

王女と婚約し、交流が始まったころに彼女は言い訳がましくそう説明した。 
 
それがどうした?

自分が一連の事件の首謀者ではないと、それを信じてもらえると?
仮に、侍女が勝手にしたことであったとしても、何の咎もなく思い通りにヴェントスとの婚約を願ったからこうなっているんだろう?

国民が思っている、優しくて慈悲深い王女であるならば、侍女のしたことに心を痛めたはずだ。

婚約させられた俺が代わりに咎を受けている気分だ。

だから、王女がどんなに寄り添おうとしてきても、俺はこの4年間王女に心を開かなかった。
 
割り切って王女と仲睦まじい夫婦を演じる道もあったが、やはり無理だと判断した。

王女も徐々に諦めていたな。


だが、まさか浮気を繰り返していた王女との結婚を強行されるとは思いもしなかった。

まぁ、女側からしてみれば男はほとんどが経験者なのにと言いたいだろう。
だが避妊薬も確実ではないし、どんな種を孕んだまま嫁いでくるかわからないため、女は純潔であるべきとされている。

それなのに、王家はどれだけ王女が可愛いんだ?ふざけている。

まぁ、いい。結婚式まであと3か月。
これからは王女の言うことに従う侍女も護衛もいなくなる。
もちろん、結婚してからも自由になどさせない。

王女ではなく公爵家の嫁になるんだ。義両親と夫には従ってもらわないとな。
  
 

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