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結婚して今日で三年が経った。
先ほどの晩餐は私たちの三周年を祝うものではなく、普段と大差ない食事だった。
それを指示したのは、継母だろうとアレクシスはわかっている。
そのため、アレクシスは妻フローラの好むワインを部屋に用意させ、二人で三周年の乾杯をしていた。
「アレクシス様、三年が経ちました。私たちには、子供がいません。」
祝いの最中、フローラからそのことを口にするとは思っていなかった。
明日以降にアレクシスの方から話すつもりでいたのだ。
「継母から何か言われたのだろう?」
「跡継ぎをもうけることは重要なことですから。一日も早く、と言われました。」
一日も早く、か。
継母はどちらの意味で言ったのだろうな。
離婚か、第二夫人か。
この国の貴族は、結婚して三年経っても子供がいなければ、離婚か第二夫人を娶ることが許される。
また、三年で子供が一人だった場合でも第二夫人を娶ることが許される。
父は継母との結婚後、アレクシスの異母姉であるケイティが生まれた。
しかしその後、継母は妊娠しなかったため、ケイティの誕生から四年後にアレクシスの母である第二夫人を娶っている。
母はアレクシスが八歳の時に亡くなっており、父の妻は継母だけになった。
ケイティが嫁ぎ、父と継母、そしてアレクシスだけで暮らすボッティ侯爵家は息苦しかった。
そんな中、フローラがアレクシスに嫁いだが、継母はフローラを嫌っていた。
おそらく継母は、フローラが離婚でここを出て行くと思っているだろう。
「フローラ、私は君が望む方を受け入れたい。離婚か第二夫人を認めるか、選んでほしい。」
フローラは驚いた様子でアレクシスを見てきた。
「離婚、ではないのですか?」
子供がいない状態での離婚であれば、新たな夫人に制限はない。
しかし、第二夫人を娶る選択をすると、第一夫人よりも格下を選ばなくてはならない。
フローラは侯爵家の出であるため、伯爵令嬢以下ということになる。
それは、あくまでも第一夫人が正式な妻であると示すためで、王家の関わる行事などに第一夫人を差し置いて第二夫人を連れて行くことは許されないのだ。
たとえ、跡継ぎを生んだのが第二夫人であっても、第二夫人は陰のような存在である。
フローラと離婚すれば、アレクシスは公爵令嬢でも侯爵令嬢でも新たに妻にすることが可能になるのに、どうして離婚一択ではないのかと不思議なのだろう。
アレクシスとフローラは政略結婚である。
お互いにどこか心の距離があり、愛し愛されているといった間柄ではない。
だからこそ、アレクシスがフローラに選択を任せたことに驚いているのだ。
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