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翌日、アレックスは父にフローラと離婚しないこと、第二夫人を娶ることを伝えた。
「わかった。お前たちがそう決めたのであれば、それでいい。」
「継母上には父上から伝えてください。不満を言うでしょうが私は聞きたくありませんので。」
父は深いため息をついた。
父と継母も政略結婚である。
継母レベッカは父を愛しているが、父は第二夫人になったアレクシスの母ディアナを愛した。
そして未だ亡きディアナを忘れられない父に継母は不満があるのだ。
そのイライラをフローラにぶつけて楽しんでいるように思える。
「レベッカがお前と結婚させようと思っていた令嬢は、まだ学園の卒業まであと一年半ある。フローラと離婚しないのであればその令嬢の卒業を待つ意味もないから、また別の令嬢を探すだろう。
あいつは顔が広い。自分の気に入る令嬢をお前の第二夫人に選ばないと気が済まないだろう。
それだけは許してやってくれ。」
「私が自分で探すと言っても?」
継母の気に入る令嬢だとフローラを敵対するだろう。
アレクシスとしては、第二夫人という立場を弁えた令嬢を妻に選びたい。
「やめた方がいい。おそらくレベッカが先回りしていて、断られることになるだろう。」
継母レベッカは元公爵令嬢で、未だ親の権力を利用するところがある。
アレクシスも父同様、深いため息をつくしかなかった。
継母が選ぶアレクシスの第二夫人はどんな令嬢になるだろうか。
苛烈な令嬢だけは、勘弁してほしい。
その夜、フローラを抱いた後、アレクシスは彼女に伝えた。
「第二夫人は継母が選ぶ令嬢になるそうだ。」
「……お義母様が。わかりました。」
「すまないな。友人の伝手で選ぼうかと思っていたが、継母の横やりが入るだろうから、我慢してくれと父に頼まれた。不甲斐ないな。父も私も。」
「そんなことは……お義母様は影響力のある方ですから。」
その影響力のせいで、フローラは結婚一年が経った辺りから子供が産めない嫁に違いないと広められてきた。
自分も二人目が生めなかったせいで第二夫人を許すことになったというのに、心無い言葉だった。
社交界では、それでも第一夫人が正式な妻と見做される。
フローラが離婚して出て行くだろうと思っていたからこそ、継母はフローラを貶してきた。
だが、フローラは今後もアレクシスの妻として社交界に顔を出す。
周りはどう思うだろうか。
『ボッティ侯爵夫人が気に入らなかった嫁は、夫に愛されているから離婚しなかった』
そのような噂が流れるだろう。
そうなると、社交界の見方は変わる。
『ボッティ侯爵夫人は夫に愛されている嫁が憎くて貶める発言を繰り返してきたのだろう』と。
父が第二夫人ディアナを愛していたことは、母が亡くなった後の父を見て知っている者は多くいる。
継母は何事もなかったかのように社交界で振る舞っているが、一時は継母が第二夫人を殺したのではないかという噂まで流れたのだ。
子供が生めなくても、フローラはアレクシスの第一夫人として堂々としていればいい。
義母の影響力は、実父の公爵が引退すると共に衰えるだろう。
公爵はもう歳だから、その日はそれほど遠くない。
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