妻の選択と夫の決意

しゃーりん

文字の大きさ
11 / 18

11.

 
 
シェリーナは少し気分が悪いから部屋で休むと言い、侍女と部屋を出て行った。

すると、すかさず継母はフローラに向かって言う。


「私が選んだ嫁は二か月もしないうちに妊娠したわ。明らかにフローラに原因があったってことね。
アレクシスも無意味な三年を後悔しているんじゃない?もうシェリーナに夢中みたいだし。
フローラは居心地が悪いでしょう?離婚したらどうかしら。私は親切で言っているのよ?」 
 

どこが、親切なんだか。


「継母上、やめてください。フローラは私の大切な妻です。シェリーナが妊娠したことは嬉しいですが、シェリーナに次期侯爵夫人が務まると思っているのですか?
継母上の選んだシェリーナは第二夫人向きですが、私の母が選んだフローラは第一夫人向きで、次期侯爵夫人に相応しく信頼できる女性です。今後も共にある女性を貶すのはやめてください。」
 

アレクシスの母を引き合いに出すと、継母の標的はフローラからアレクシスになるだろうと思った。


「ディアナの話はしないで!!」


継母がアレクシスの母を嫌うのは、父の愛する人だからというわけではない。
父の第二子を自分が生めなかったために、第二夫人がいたということ自体が許せないのだ。


「やめないか。レベッカ。そもそもの原因は君の身勝手さなのだから。」
 
「どういうことよ?」

「私が知らないとでも思っていたのか?君は自分の第二子の妊娠に気づいていながら身を労わらず、友人との旅行を優先した。その結果、流産したんだ。その後、妊娠できなかったのはその報いではないか?」


継母は流産したことを父に知られていたとは思っていなかったらしく、言葉を失っていた。

アレクシスは父から聞いて知っていた。
継母レベッカよりも母ディアナを明らかに愛しているのはなぜなのか、と。

父は我が子を殺した継母を愛せないと言った。

その時の子が生きて生まれていれば、父は母を第二夫人にすることはなかっただろう。

つまり、継母は自身の行いのせいで父の愛情を失うことになり、母とアレクシスが憎いのだ。
自業自得なのに、理不尽な怒りを向けられ続けていた。 


「フローラはよくやってくれている。フローラを貶めることはボッティ侯爵家を貶めることだ。
自分の子供がボッティ侯爵家を継げなかったからといって、フローラの悪口を言うことでアレクシスの代を落ちぶれさせようとするならば、離婚して実家に帰るといい。もう付き合いきれない。」

「離婚……?」

「ああ。子供が産めなかったフローラをそこまで責めるなら、跡継ぎを産めなかった君も同様だとは思わないのか?」

「私が、フローラと同じ、ですって?」


まさか、愛する父に離婚を切り出されるとは思っていなかったのだろう。
 
実は、継母の父親である公爵はもう余命幾ばくもないと判明し、近々息子に爵位を譲る。

老公爵を気にする必要は、もう無くなったのだ。 


継母が離婚を選ぶことはないだろう。
となれば、フローラへの態度は確実に和らぐことになるとアレクシスはホッとした。

 

あなたにおすすめの小説

【完結】今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~

コトミ
恋愛
 結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。  そしてその飛び出した先で出会った人とは? (できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)

あなたの隣に私は必要ですか?

らんか
恋愛
政略結婚にて、3年前より婚約し、学園卒業と共に嫁ぐ予定であったアリーシア。 しかし、諸事情により結婚式は延期され、次の結婚式の日取りさえなかなか決められない状況であった。 そんなアリーシアの婚約者ルートヴィッヒは、護衛対象である第三王女ミーアの傍を片時も離れようとしない。 月1回の婚約者同士のお茶会もすぐに切り上げてしまい、夜会へのエスコートすらしてもらった事がない。 そんな状況で、アリーシアは思う。 私はあなたの隣に必要でしょうか? あなたが求めているのは別の人ではないのでしょうかと。 * 短編です。4/4に完結します。 ご感想欄は都合により、閉じさせて頂きます。

【完結】白い結婚はあなたへの導き

白雨 音
恋愛
妹ルイーズに縁談が来たが、それは妹の望みでは無かった。 彼女は姉アリスの婚約者、フィリップと想い合っていると告白する。 何も知らずにいたアリスは酷くショックを受ける。 先方が承諾した事で、アリスの気持ちは置き去りに、婚約者を入れ換えられる事になってしまった。 悲しみに沈むアリスに、夫となる伯爵は告げた、「これは白い結婚だ」と。 運命は回り始めた、アリスが辿り着く先とは… ◇異世界:短編16話《完結しました》

結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です

柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。 そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。 真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。 けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。 「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」 彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。 アンリは実は、亡き国王の婚外子。 皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。

わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑

岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。 もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。 本編終了しました。

従姉と結婚するとおっしゃるけれど、彼女にも婚約者はいるんですよ? まあ、いいですけど。

チカフジ ユキ
恋愛
ヴィオレッタはとある理由で、侯爵令息のフランツと婚約した。 しかし、そのフランツは従姉である子爵令嬢アメリアの事ばかり優遇し優先する。 アメリアもまたフランツがまるで自分の婚約者のように振る舞っていた。 目的のために婚約だったので、特別ヴィオレッタは気にしていなかったが、アメリアにも婚約者がいるので、そちらに睨まれないために窘めると、それから関係が悪化。 フランツは、アメリアとの関係について口をだすヴィオレッタを疎ましく思い、アメリアは気に食わない婚約者の事を口に出すヴィオレッタを嫌い、ことあるごとにフランツとの関係にマウントをとって来る。 そんな二人に辟易としながら過ごした一年後、そこで二人は盛大にやらかしてくれた。

【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。

こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。 彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。 皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。 だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。 何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。 どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。 絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。 聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──…… ※在り来りなご都合主義設定です ※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です ※つまりは行き当たりばったり ※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください 4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!

【完結】他の人が好きな人を好きになる姉に愛する夫を奪われてしまいました。

山葵
恋愛
私の愛する旦那様。私は貴方と結婚して幸せでした。 姉は「協力するよ!」と言いながら友達や私の好きな人に近づき「彼、私の事を好きだって!私も話しているうちに好きになっちゃったかも♡」と言うのです。 そんな姉が離縁され実家に戻ってきました。