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シェリーナは少し気分が悪いから部屋で休むと言い、侍女と部屋を出て行った。
すると、すかさず継母はフローラに向かって言う。
「私が選んだ嫁は二か月もしないうちに妊娠したわ。明らかにフローラに原因があったってことね。
アレクシスも無意味な三年を後悔しているんじゃない?もうシェリーナに夢中みたいだし。
フローラは居心地が悪いでしょう?離婚したらどうかしら。私は親切で言っているのよ?」
どこが、親切なんだか。
「継母上、やめてください。フローラは私の大切な妻です。シェリーナが妊娠したことは嬉しいですが、シェリーナに次期侯爵夫人が務まると思っているのですか?
継母上の選んだシェリーナは第二夫人向きですが、私の母が選んだフローラは第一夫人向きで、次期侯爵夫人に相応しく信頼できる女性です。今後も共にある女性を貶すのはやめてください。」
アレクシスの母を引き合いに出すと、継母の標的はフローラからアレクシスになるだろうと思った。
「ディアナの話はしないで!!」
継母がアレクシスの母を嫌うのは、父の愛する人だからというわけではない。
父の第二子を自分が生めなかったために、第二夫人がいたということ自体が許せないのだ。
「やめないか。レベッカ。そもそもの原因は君の身勝手さなのだから。」
「どういうことよ?」
「私が知らないとでも思っていたのか?君は自分の第二子の妊娠に気づいていながら身を労わらず、友人との旅行を優先した。その結果、流産したんだ。その後、妊娠できなかったのはその報いではないか?」
継母は流産したことを父に知られていたとは思っていなかったらしく、言葉を失っていた。
アレクシスは父から聞いて知っていた。
継母レベッカよりも母ディアナを明らかに愛しているのはなぜなのか、と。
父は我が子を殺した継母を愛せないと言った。
その時の子が生きて生まれていれば、父は母を第二夫人にすることはなかっただろう。
つまり、継母は自身の行いのせいで父の愛情を失うことになり、母とアレクシスが憎いのだ。
自業自得なのに、理不尽な怒りを向けられ続けていた。
「フローラはよくやってくれている。フローラを貶めることはボッティ侯爵家を貶めることだ。
自分の子供がボッティ侯爵家を継げなかったからといって、フローラの悪口を言うことでアレクシスの代を落ちぶれさせようとするならば、離婚して実家に帰るといい。もう付き合いきれない。」
「離婚……?」
「ああ。子供が産めなかったフローラをそこまで責めるなら、跡継ぎを産めなかった君も同様だとは思わないのか?」
「私が、フローラと同じ、ですって?」
まさか、愛する父に離婚を切り出されるとは思っていなかったのだろう。
実は、継母の父親である公爵はもう余命幾ばくもないと判明し、近々息子に爵位を譲る。
老公爵を気にする必要は、もう無くなったのだ。
継母が離婚を選ぶことはないだろう。
となれば、フローラへの態度は確実に和らぐことになるとアレクシスはホッとした。
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