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その後も、アレクサンドル王子殿下は聖堂にやってきては、ジュリエッタ様を罵倒する。
「イボンヌ嬢を見習えっ!!二時間も祈り続けていたそうだぞ。」
「イボンヌ嬢は聖女になりたいという純粋で清い心がある。」
「イボンヌ嬢が私の婚約者であればよかったのに。」
「イボンヌ嬢が聖女に選ばれれば私の隣に相応しい。」
「イボンヌ嬢となら話が合う。」
イボンヌ嬢…イボンヌ嬢……イボンヌ嬢………
「ごめんなさいね、ラヴェンナ様。アメリ様。殿下が毎回イボンヌ嬢ってうるさくて。」
ジュリエッタ様、うるさいって言ってしまっていますよ。
確かに幻聴が聞こえそうなほどではあるけれど。
「婚約解消、本気で考えておられないのですか?」
聖女になれなければ婚約解消と言ったからには、殿下は言葉に責任を持つべきだと思うけれど。
「殿下のご発言のことは、父にも報告してあるわ。でも、様子見といったところね。
少なくとも、殿下の戯言として笑い飛ばされはしなかったから、父も思うところがあるのかもしれないわ。」
王族との婚約を解消するには、殿下に非があることが望ましいはず。
聖女になれなければ婚約解消と言ったことや、イボンヌ様の努力と比較する程度では婚約解消するにはまだ甘いのだと思う。
イボンヌ様は伯爵令嬢。アレクサンドル殿下は第二王子なのだから、二人が結婚してもいいんじゃない?
王太子殿下にはもう男の子もいることだし。
ジュリエッタ様にはもっとお似合いの人がいると思うわ。
爵位は低くなってしまうだろうけれど、あんな風に罵倒される暮らしをするよりもいいはずよ。
それにしても、アレクサンドル殿下の思い込みは面倒なことだわ。
「聖女になれる明確な基準がないのに。努力でなれるのであればイボンヌ様でいいと思います。」
……あれ?言葉にできる?
自分が聖女になりたくないとは言葉にできないけれど、誰がなればいいということは言葉にできる?
「イボンヌ様が聖女になりたいのでしたら、どうぞと私は思っています。」
やっぱり、言葉にすることができた。
ジュリエッタ様も驚いている。ひょっとして、イボンヌ様本人の前じゃなければ言える?
あるいは、精神干渉が薄れている?
「私もよ。なりたい人がなるべきだと思うわ。」
ジュリエッタ様も口にして、すっきりしていた。
アメリ様は特に何も思っていなかったらしい。
「選ばれる基準がわからないし、私はなるようになれって思っていますね。」
どちらでも構わないらしい。
でも、おそらくアメリ様も選ばれない。
彼女の家も、聖女と関係したことがあるはずだから。
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