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研究所を取り壊し、聖堂を建てる話は聞いていた。
その間に、リリスティーナが乗っ取ることのできるかもしれない意識不明者を探すという案も。
しかしその前に、リリスティーナは施された禁術を確認したいため、書物が見たいと父に頼んだ。
(お嬢様、まさか、術を解除する方法を探すのですか?)
心の中でミミが話しかけてきた。
(解除はおそらく無理じゃないかしら?生きている血が解除に必要だとわかっているのだから。その当時の人たちが禁術にしなければならなかったのだから、私にわかるわけがないもの。)
(では何故、書物を?)
(術は特別な文字を使っているのか、何て書いてあるのかさっぱりわからなかったの。殿下のことだから一人でコソコソと書き写したんだろうけど、どんな言葉なのかなって。間違いなく術は発動しているけれど、あの敷地に50年間閉じ込められる以外に何か書いてあるかもしれないでしょう?)
(あぁ、確かに。)
ウォルタスの言葉を鵜呑みにせずに、ちゃんと調べておくべきだから。
(解除方法を探して、お嬢様がいなくなるのかと思いましたよ。)
(……もうそろそろミミに体を返さなきゃ。)
研究施設に施されている術を見に行く時に、リリスティーナはそのまま精神体としてあそこに留まるつもりでいた。
意識不明者が見つかったとしても、あそこに連れて来てもらわなければ乗っ取れないと思うし。
(ミミはこうしてお嬢様と同居で構いません!)
(そういうわけにはいかないわ。やっぱりミミとは向かい合って話したいもの。)
あの研究施設の中でミミと違う人の中に入ればそれも可能になる。
しかし、現在は立ち入り禁止となっていることもあり、リリスティーナはまだミミの体以外の人に入ったことはなかった。
リリスティーナが精霊体としてミミの中にいることも、父と兄、それから数人の側近と護衛が知っているだけである。
母と妊婦の義姉にはまだ話しておらず、義姉の出産後でもいいかという話になっている。
母に話してしまうと、ミミをずっと側に置いたり、自分の中に入れと言いかねないと父は苦笑していた。
ミミをリリスティーナにするわけにはいかないし、リリスティーナが母になるわけにもいかないのだ。
しかし、父と兄が同時に悩みだした。
母と義姉から、『娘や妹が亡くなったというのに何事もなかったかのように笑って平然と過ごせるような冷たい人だとは思わなかった』と言われたらしい。
確かにリリスティーナの体は死んだ。
でも父と兄は、姿は違ってもリリスティーナと話ができることで、母や義姉ほどリリスティーナの死を感じていなかったのだ。
棺は埋葬したし死んだことはわかっているが、無惨な姿の記憶を消した影響もあるのかもしれない。
それに、義姉に至っては、ミミと頻繁に話すようになった夫に対し、浮気疑惑まで抱いているらしい。
まさかそんな疑いがかけられるとは思いもせず、父と兄が気の毒になった。
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