聖女になりたいのでしたら、どうぞどうぞ

しゃーりん

文字の大きさ
68 / 100

68.

しおりを挟む
 
 
問題は、嫌がらせをしてくる三人の令嬢。
侯爵家と伯爵家と子爵家。

セレンティナの婚約者のことが好きなのは伯爵令嬢らしい。
だが、リリスティーナから見れば、侯爵令嬢もあわよくば婚約者の座を奪おうと狙っているのではないかと感じた。


「いい加減になさいませ!幼稚な嫌がらせだと見逃してあげていましたが、いつまで続けるおつもり?
公爵家同士の縁談を潰す勇気があるのでしたら、何度も私に婚約解消を迫るのではなく親に直接言って下さいませ。
あなた方の態度を卒業後まで私が許すと思っているのですか?学園の中のことだからと親に知らせるのは留めていましたが、社交界での立場を失っても構わないのですね?」


いつもと違い、毅然としたセレンティナにそう言われた令嬢三人は顔を青くして言った。


「っごめんなさい。もうしません。申し訳ございません。親には言わないでください。」

「もう温情はないですからね。」


そう言うと、頭を下げてから逃げていった。

嫌がらせも、わざとぶつかってきたり、机の中にゴミを入れたりする程度で、後はセレンティナに婚約解消をさせようと貶めるような発言をするくらいだった。
怪我を負わせるほどの嫌がらせをすることもできない雑魚なのだ。

おそらく、大人しいセレンティナを脅せば、もしかすれば何とかなるかもという一縷の望みだったのが、三対一という数の有利さで増長し、セレンティナが格上の公爵令嬢であるということすら忘れていたのだ。


(リリスティーナ様が言うと迫力がありますね。) 

(外見はセレンティナだから、ちぐはぐかもしれないわね。)


美少女のセレンティナの顔に迫力はない。
 



最後の問題は、婚約者である。

クローヴィス・ボッティ公爵令息。

そう。ボッティ家。
ジュリエッタの実家である。

クローヴィスはジュリエッタの兄の長男で、セレンティナの一歳上。


(セレンティナから見て、クローヴィスはどんな人?)

(私があまり話さなくても穏やかに接してくれていましたが、心の中ではイラついていそうな人?)


リリスティーナは思わず吹き出してしまい、馬車に同乗している侍女に変な目で見られた。

クローヴィスはセレンティナが見破れるほど顔に出やすいのか、あるいはわざと悟らせているのか。

まぁ、気持ちはわからなくもない。
政略結婚だとしても婚約者として努力しているのだろう。
それなのに、セレンティナが怯えていては、関係性もなかなか進まないためにイラつくのはわかる。 


(最近は、結婚式の準備で彼のお母様と話をしている時間の方が長くて。)

(なるほどね。彼の母親とは上手く付き合えているの?)

(はい。既にお義母様と呼ばせていただいています。)

(そう。わかったわ。)


公爵夫人は同性だからセレンティナは怖がらない。
クローヴィスは自分も母と接する時と同じようにしてほしいのだろう。

可愛らしいヤキモチを抱いていそうだとリリスティーナは感じた。
 

馬車はボッティ公爵家に到着した。


(クローヴィス様が出迎えて下さっているわ。) 
 

セレンティナの言葉に、あれがクローヴィスだとわかった。

セレンティナが心の中で目をつぶっているような気がする。
彼に手を取られることが嫌なのだ。

今日が最後だと思って、我慢してほしい。


 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【長編版】この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ

・めぐめぐ・
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。 アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。 『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。神聖魔法を使うことしか取り柄のない役立たずのくせに』 そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。 傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。 アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。 捨てられた主人公がパーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー長編版。 --注意-- こちらは、以前アップした同タイトル短編作品の長編版です。 一部設定が変更になっていますが、短編版の文章を流用してる部分が多分にあります。 二人の関わりを短編版よりも増しましたので(当社比)、ご興味あれば是非♪ ※色々とガバガバです。頭空っぽにしてお読みください。 ※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。

婚約者から悪役令嬢と呼ばれた公爵令嬢は、初恋相手を手に入れるために完璧な淑女を目指した。

石河 翠
恋愛
アンジェラは、公爵家のご令嬢であり、王太子の婚約者だ。ところがアンジェラと王太子の仲は非常に悪い。王太子には、運命の相手であるという聖女が隣にいるからだ。 その上、自分を敬うことができないのなら婚約破棄をすると言ってきた。ところがアンジェラは王太子の態度を気にした様子がない。むしろ王太子の言葉を喜んで受け入れた。なぜならアンジェラには心に秘めた初恋の相手がいるからだ。 実はアンジェラには未来に行った記憶があって……。 初恋の相手を射止めるために淑女もとい悪役令嬢として奮闘するヒロインと、いつの間にかヒロインの心を射止めてしまっていた巻き込まれヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は他サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(写真のID:22451675)をお借りしています。 こちらは、『婚約者から悪役令嬢と呼ばれた自称天使に、いつの間にか外堀を埋められた。』(https://www.alphapolis.co.jp/novel/572212123/891918330)のヒロイン視点の物語です。

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。

藍生蕗
恋愛
 かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。  そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……  偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。 ※ 設定は甘めです ※ 他のサイトにも投稿しています

俺の妻になれと言われたので秒でお断りしてみた

ましろ
恋愛
「俺の妻になれ」 「嫌ですけど」 何かしら、今の台詞は。 思わず脊髄反射的にお断りしてしまいました。 ちなみに『俺』とは皇太子殿下で私は伯爵令嬢。立派に不敬罪なのかもしれません。 ✻ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。 ✻R-15は保険です。

聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる

夕立悠理
恋愛
 ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。  しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。  しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。 ※小説家になろう様にも投稿しています ※感想をいただけると、とても嬉しいです ※著作権は放棄してません

冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる

みおな
恋愛
聖女。 女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。 本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。 愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。 記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。

処理中です...