聖女になりたいのでしたら、どうぞどうぞ

しゃーりん

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セレンティナは夫クローヴィスの言葉をどう受け止めるべきか困惑したままだった。

子供の頃のクローヴィスが聖女に治癒してもらったこと。
五日前、長女アリアローズが指を怪我したこと。

彼はそう言っただけだ。
核心を突くようなことを言ったわけではない。


「私たちが結婚する前、今から六年近く前になるかな。聖力が尽きたと聖女は存在しなくなった。」 


……あぁ、クローヴィスは違和感を繋ぎ合わせて一つの結論を見出したということか。


「今思えば同じ頃、セレンは結婚に前向きになった。」
 

そうね。リリスティーナがセレンティナになったから。


「そして、聖女の役目を終えたイボンヌ妃は聖女だった時の記憶がないとか乗っ取られていたとか話しているらしいと父から聞いた。」


そうね。義父は公爵なのだから、極秘の話も耳に入ることもあるわよね。


「聖女の正体は、『聖力を持った精神体』で今から170年以上前に亡くなったリリスティーナ様らしいが、聖力を失った精神がまだ聖堂を彷徨っているのかどうかは確かめようがないらしい。」


そうね。ここにいるけど。
 

「過去の聖女たちは、次の聖女に聖力を授けて代替わりをしてきたが、その方法を変えようと思い、聖力が尽きたことにした。変えた方法は、子供に聖力を繋げていくこと。」


そうね。さすが次期公爵だわ。頭の回転が速い。
アリアローズが自分の怪我を治癒したことで、あの子に聖力があるということは母親の私に聖力があるのではと気づいたのね。

でも、リリスティーナもセレンティナもクレベール公爵家の娘なのだから、クレベールに聖力があるとは考えなかったのかしら? 


「イボンヌ妃が聖女だった頃、聖女が聖力を失えば、どこかに聖力を持った者が現れるとまるで予言めいたことを告げていたらしい。現れても聖女として取り立てたりしないように守らなければならない、と。」

 
あー……言ったわね。
それじゃあ、クレベールの血筋が密かに聖力を持っていたとは考えにくいわね。
リリスティーナがいきなり聖力を授かったように、再び同じように授かる者がいるだろうと予言したように聞こえるもの。

いきなり授かったのがセレンティナと考えることもできる。
でも、リリスティーナが精神体であることと、セレンティナが結婚に前向きになった時期を考えれば、セレンティナがリリスティーナなのではないかとクローヴィスは気づいたということね。
 

「私はね、アリアローズとレイノルズ、そしてそのお腹の子の父親だ。そして君の夫でもある。
子供たちを守るためには手の数が多いに越したことはない。そう思っている。」


だから、自分を信頼してほしい。そう言っているのね。

もうお手上げだわ。

何一つ、間違っていないのだから。
 

 

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