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第一章 台風21号
しおりを挟む枝川裕樹は、大事な交渉に向かっていた。
気象庁所属の高性能の小型飛行艇に乗り、高度6,000メートル上空にいる。
2週間前、台風20号の担当者は、交渉を失敗させて、最悪な結果になった。
大型に成長した台風は通過進路の1都7県で16名もの死亡者、そして31名の行方不明者を出した。
その為、交渉人の中のエースである枝川が政府からの指名で駆り出され、台風21号の担当者としてココにいた。
それは11年前のこと。
気象庁の自然科学研究の機関が発表した驚きの事実。
これまで地球上に存在するのではないかと考えられていたが、まったく未知の存在であった、ガイア理論の実存を発見し証明してみせ、世界を驚かせた。
その理論とは、ある一定以上の規模の地球上の自然現象には、人類とは、かなり異質だが、何らかの知性が存在しているということ。
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