物言わぬ家

itti(イッチ)

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同姓同名か

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 少しシラケた空気の中で、アイスを食べ終えた祐二たちは、美乃利のパソコンを開いて検索した内容を確認した。
祐二は、こういったSNSとは無縁の生活をして来た。大学生の時も、試験が近い時以外はアルバイトで忙しく、寝る時間を確保するのに必死。こんな風にSNSでコミニュケーションをとる余裕も無かったし、元より興味も無かった。

「聞いてはいたけど、このチャンネルはなんていうか、興味を持った話題に群がって来るんだね。大半は面白がってる人だけど、中には子供の事を心配してる人も居る」
「なんかさ、その人の腹の底が見えるって感じ。普段はこんな事言えないのに、自分の素性が分からないから思ったまま書き込めるのよ」
  水野が祐二の方に顔を向けると言う。

「それでも、ここに書かれている事であの家族の事が分かったし、あと、その子供が入った施設も。書き込みした人は、友達が施設育ちで、あの事件の子供と同じだったって。小さなクマのぬいぐるみを大事そうにしてて、それをからかわれていたらしい」
  画面を見ていた美乃利は、顔を上げると言ったが、眉を下げると悲しそうな顔をする。

「あれ、じゃあ、あそこにあったぬいぐるみと同じ物を未だに持ってる可能性もあるわね。一体どれだけ持ってたんだろう。あそこには6体のテディベアがあったよね」
「確かそうですね。て言うことは、岬さんが1体持ち出して、その子が1体持ってて」
「全部で8体。大きさは違うけど、同じぬいぐるみを買い与える?ん~~」
  水野が顎に手をやると考え始める。

「子供に買い与えるのって、普通は色々変えるよね。犬とか猫とか、女の子なら他の人形もあるし。どうして同じテディベアなんだろう」
  眉間に皺を寄せて、尚も首を傾げる水野だった。

  そんな時、祐二の携帯に電話が入る。
慌てて持ち上げると、相手は佐伯から。
「あ、はい。奥村です」
「すみません、こんな時間に」
「いえ、まだ全然大丈夫ですよ。どうかしました?」
  祐二が訊ねると、佐伯は落ち着いた声で少し間を置くと言った。
「あの、コレ、たまたまかもしれないんですが」
「はい」
「あの事件で助かった子供の名前」
「スガヌマサオリさんですよね。それが何か」
「同姓同名の女性がいるんですよね」
「え、、、誰ですか」
  そこまで聞くと、祐二は水野と美乃利の顔を交互に見る。水野は、気になって(どうかした?)と口だけ動かすと訊ねた。

「岬さんの同部屋の、菅沼さん」
  佐伯に名前を言われて、祐二はハッとした。今まで忘れていたのだ。

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